パンデミックの20年後を描くU-NEXTドラマ『ステーション・イレブン』 文明が崩壊した終末世界に希望はあるか?

パンデミックの20年後を描くU-NEXTドラマ『ステーション・イレブン』 文明が崩壊した終末世界に希望はあるか?
『ステーション・イレブン』©2021 Paramount Television Studios, a division of Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved

■端々から感じる“新しさ”の予感

世界的ベストセラー小説を米HBOmaxがドラマ化した『ステーション・イレブン』が、U-NEXTにて2022年4月29日より全話一挙配信される。大型連休に一気観不可避なSFサスペンス大作の日本上陸だ。「日本最大級のVODサービス」U-NEXTとは?

原作小説が発表されたのは2014年。『ステーション・イレブン』の世界は新種のインフルエンザがまん延したことにより滅亡の危機に瀕しているようだが、いわゆる終末的な空気は薄く、パンデミックによる淡いパニック描写が挿入されるだけ。やがて大した説明もなく自主隔離を始めるが、それでも私たちをラップトップに釘付けにして停止ボタンに触れさせないのは、魅力的すぎるキャストのおかげでもある。

まるで『ドント・ルック・アップ』(2021年)のようにシニカルに始まり、『ウォーキング・デッド』(2010年〜)ほど絶望に支配されてはいない世界へ。正直、最初の1〜2エピソードでは詳細はほとんど何も掴めないが、“ドラマは3話目まで我慢”という古くさいセオリーも当てはまらない。たびたび時代を前後する展開は観客を煙に巻くためではなく、必然に基づいているであろうことも想像できる。

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■マッケンジー・デイヴィスとマチルダ・ローラーの魅力に釘付け

ドラマはジーヴァン(ヒメーシュ・パテル)が観劇していた「リア王」の公演中に、主演のアーサー(ガエル・ガルシア・ベルナル)が急死する不穏な展開で幕を開ける。両親とはぐれたらしい子役のキルステン(マチルダ・ローラー)を保護したジーヴァンは、危険を察知して兄弟のマンションに籠もる。それから80日後、世界は人類のほとんどが死滅し、恐ろしく静まり返っていた。

成長したキルステン(マッケンジー・デイヴィス)はパンデミックから20年が経っても演劇を続けていて、アメリカ大陸を巡業するシェイクスピア劇団の花形として人気を集めている。牧歌的ですらあるこのコミューンの存在は、伝統・言語、文化保全活動のようであり、互助会のようであり、宗教のようでもある。世界には“交流”や“芸術”がなければ生きる張り合いがない。ゾンビ世界のように“ただただ生き延びる”ことが目的では、真に生きる喜びは味わえない。コロナ禍における断絶に救いを見出している人にとっては、地味にズシンとくるテーマかもしれない。

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■フィクションのパンデミックに託す希望

世紀末救世主云々的なヒャッハー世界ではないし、高度に管理されたディストピア世界でもない。文明社会の破滅は、ごく自然に多様性社会の実現を成し遂げた。しかし、ここまで生き延びてきたキルステンは当然ながら清廉潔白なヒロインなどではなく、危険を察知したら暴力で排除することもいとわない。むしろ私たちが真に共感できる(したい)のは、パニック障害を抱えながらも幼いキルステンを保護し、躊躇しながらも自らを犠牲にし他人を助ける、ジーヴァンのほうだ。キルステンはいつ、どこで彼と別れることになったのだろうか。

たびたび印象的に引用されるSFコミック「ステーション・イレブン」は何を象徴しているのか、あやしい“預言者”の正体は何者なのか、この世界の行き着く先は? そして人類の未来は……? 実際にパンデミックを体験してしまった我々は、もう“それ”がなかった世界には戻れない。でもフィクションのパンデミック世界から、逆説的に希望を見出すことはできる。

加入済みの人はすでに鑑賞していると思うが、そろそろU-NEXT加入が我慢できなくなってきた人にとっては最適なきっかけになりそうな『ステーション・イレブン』。連休明けの会話のネタにもぴったりな、あらゆる面で新しいドラマである。

「日本最大級のVODサービス」U-NEXTとは?『ステーション・イレブン』は2020年4月29日(金)よりU-NEXTで独占配信中

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