安彦ガンダムの到達点!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』で描かれた「ニュータイプじゃない未来」

安彦ガンダムの到達点!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』で描かれた「ニュータイプじゃない未来」
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』©創通・サンライズ

■安彦ガンダムがやり残した「ニュータイプじゃない未来」

1979年に放送された『機動戦士ガンダム』、いわゆるファーストガンダムでキャラクターデザイン・作画監督を担当した安彦良和氏が、2001年に自らの手でファーストガンダムのコミカライズとして連載を開始したのが「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」だ。愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN vol.1 始動編大筋では、原典であるファーストガンダムのストーリーに沿いつつ、前日譚や様々な追加要素を加えた「安彦ガンダム」と呼べるリメイク作となっていた。安彦氏は、一貫して「ニュータイプ」という概念に違和感を表明しており、「THE ORIGIN」の執筆には「ニュータイプ」の捉え直しという目的もあったという。ガンダムの世界=宇宙世紀には、宇宙での生活に適応した結果、超人的な感知能力に目覚め、言葉を介さずに相互理解が可能になった存在=「ニュータイプ」が登場し、シリーズ通しての重大な要素となっている。安彦氏は「ガンダム=ニュータイプ」というイメージが広がっていったことを、「広い世界で小さな人間がどう生きているかというリアルな物語だったのに、いつのまにか飛び抜けた人間、特別な人間の物語に変わっていたのだ。選民思想の物語、何とも危うい」と述べている。
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安彦氏の考えるガンダムとは、テレビシリーズの前半部分、戦争という時代に翻弄されながらも生き抜こうと必死であがく者たち、安彦氏の言葉を借りるなら「小さき者たちの物語」であったのだろう。実際に、ガンダムの中盤で物語が「ニュータイプ思想」へと進んでいくことを発案した富野由悠季監督に、安彦氏は反対したという。では、「THE ORIGIN」の中で、「安彦ガンダム」だからこそのニュータイプ論が描かれたかというと、一読者としての僕はそう考えられなかった。

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