『バズ・ライトイヤー』名作SF映画オマージュたっぷり!『トイ・ストーリー』ファン感涙のバズ誕生譚

『バズ・ライトイヤー』名作SF映画オマージュたっぷり!『トイ・ストーリー』ファン感涙のバズ誕生譚
『バズ・ライトイヤー』©2022 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

■「無限の彼方へ、さぁ行くぞ!」

「To infinity and beyond!」この映画史に残るキメ台詞を持つ男といえば、アニメ『トイ・ストーリー』シリーズ(1995年〜)に登場するおもちゃ、バズ・ライトイヤー。宇宙の平和を守るスペース・レンジャーという設定で、腕からはレーザー光線、背中からは飛び出す翼、得意の空手チョップも繰り出し、収納箱は宇宙船型というとんでもないシロモノ。発売してたちまち人気商品となり、誕生日プレゼントとしてバズ人形を手に入れたアンディ少年は、それまで大事にしていたカウボーイ人形ウッディを放り出してしまうほどだった。そんなバズは、アンディも夢中になった、とある映画の主人公だった。その映画こそ本作『バズ・ライトイヤー』なのだ。

スペース・レンジャーのバズは親友であり同僚のアリーシャ・ホーソーンと共に、大勢の乗組員を引き連れて居住可能な惑星を探索していた。そしてとある惑星に降り立つが、すぐに危険な惑星ということが判明。命からがら逃げ出すが、自らを過信したバズの手によって宇宙船が大損傷。1000人を超える乗組員らと共に、虫型クリーチャーうごめく惑星に閉じ込められてしまう……。

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■容赦ない難ミッションとメンタルヘルスケアの重要性

本作のバズは(当然だけど)のっけからバズらしさ満点で、自信過剰、イケイケどんどん、猪突猛進タイプ。いっぽう相棒のアリーシャは冷静沈着で、突っ走るバズに「すぐ盛り上がる!」と突っ込みを入れる具合。そのフリが効きまくったアクション満載の楽しいオープニングから一転、「脱出失敗」というとんでもない挫折と、乗組員たちを地球に帰還させなきゃいけない! という重責がバズにずしんとのしかかる。いきなり描かれるエリートの挫折はけっこう重く、そういえば『トイストーリー』1作目でもバズは自分がおもちゃだと知って正気を失ったよな……と、彼の今後が心配になってしまう。

もちろんその嫌な予感は的中し、バズには徹底的に過酷な試練が降りかかる。ディズニー・ピクサーだし描かれ方はじゅうぶんポップだけど、普通の人間なら逃げ出したくなるほどのものだったりする。そんなバズに支給されるのが大変キュートな猫型ロボット、ソックスだ。このソックス、とんでもなくハイスペックな機能を持ち合わせている最新型ロボットだが、ソックスにプログラミングされているミッションは、「バズの情緒安定のために寄り添うこと」というのがなんとも現代的。ただの便利ロボットではなく、メンタルヘルスケアが最重要なのだ。

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本作が現代的に感じるということは、今の時代を映す正しいSF映画の在り方であるのだと思う。監督のアンガス・マクレーンは大のSFファンであり、子供の頃からとくに『スター・ウォーズ』(1977年〜)に夢中だったことは有名だ。

そして、やはりすでにネット上でも話題に上がっている同性愛描写の件についても書き留めておきたい。本作では、同性カップルのキスシーンが存在し、イスラム圏やアジアの一部地域など14か国で上映禁止となってしまった。国によっては該当シーンの削除を公開条件として提示してきたというが、バズの声優を務めるクリス・エヴァンスの言葉通り、本当にバカげている。該当シーンを観ればわかるが、本当に何の変哲もない女性同士のキスシーンだ。何の変哲もないからこそ存在理由があり、感動的なものだった。愛する者同士が寄り添ってキスをする。映画だろうがなんだろうが、誰もが目にする当たり前の光景であるべきなのに。
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■『スターウォーズ』ほか名作SFから『トップガン』まで彷彿!

というわけで、いろいろと文字にするとお堅い印象を持ってしまわれるかもしれないけれど、基本は楽しくレトロなポップコーンムービーなのはお忘れなく。当然これまでの『トイ・ストーリー』シリーズと、長編スピンオフ『スペース・レンジャー バズ・ライトイヤー 帝王ザーグを倒せ!』(2000年)や、TVシリーズ『スペース・レンジャー バズ・ライトイヤー』(2000年)などを予習しておくとさらに楽しめる内容になっているし、アンガス・マクレーン監督の趣味全開で楽しいSF映画オマージュが散りばめられているのも特筆すべきところ。

『スターウォーズ』シリーズや『スタートレック』シリーズ(1966年〜)はもちろん、バズのキメ台詞「To infinity and beyond!」の元ネタである『2001年宇宙の旅』(1968年)を彷彿させるところも。それに後半でバズが落ちこぼれポンコツチームを率いるところなんて『特攻大作戦』(1967年)はたまた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)的な、ベタだけど燃える展開が満載。猫型ロボットのソックスなんて、モロに『エイリアン』シリーズ(1979年〜)の猫ジョーンズだし、極めつけは(公開時期を考えると偶然だと思うけど)戦闘機チックな宇宙船で超高速を目指すバズに『トップガン マーヴェリック』(2022年)のトム・クルーズを見ることができる名シーンも!

出会いと別れ、孤独と仲間、そして存在理由といった『トイ・ストーリー』のテーマを受け継ぎながら、バズ・ライトイヤーを主人公にした誰しもが夢中になれるスーパーヒーロー映画となっている本作。観ればきっとアンディ少年の気持ちがよくわかる。おもちゃ、欲しくなるよね!

文:市川夕太郎『バズ・ライトイヤー』は2022年7月1日(金)より全国公開

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