【カンフー俳優SP:第3弾】ジェット・リー&ドニー・イェン! カンフー映画を一大ジャンルに押し上げた“两个英雄”

【カンフー俳優SP:第3弾】ジェット・リー&ドニー・イェン! カンフー映画を一大ジャンルに押し上げた“两个英雄”
『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』 価格:Blu-ray ¥4,700+税 / DVD ¥3,980+税 / 発売・販売元:ツイン
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』価格:Blu-ray ¥2,381+税 / DVD ¥1,429+税 発売元:ツイン / 販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

■李小龍、成龍に続く二大スター

1970年代前半に、現代カンフー映画の基礎を築いたブルース・リー。1970年代末に、コミカルカンフー映画でカンフー映画を次のレベルに押し上げたジャッキー・チェン。時代を切り拓いた二人のスーパースターの登場によって、カンフー映画は香港だけでなくアジアの映画を代表するエンターテインメントとなった。 二人の後に続くように、カンフー映画は次々とスター俳優を生み出した。ブルース・リーの現場で頭角を現したジャッキーの兄弟子サモ・ハン、サモ・ハンの弟弟子であるユン・ピョウ、名門・劉家の末弟リュー・チャーフィー……。そして1963年に生を受けた二人のカンフースターによって、カンフー映画は世界に冠たる一大映画ジャンルへと進化していくことになる。その二人の名はジェット・リー、そしてドニー・イェンである。

■『少林寺』&『ワンチャイ』で世界を席巻したジェット・リー

北京市に生まれたジェット・リーは8歳の時に、中国全土からスポーツエリートが集う北京業余体育学校に入学。11歳から連続5年間、中国全国武術大会で個人総合優勝を果たすという前人未踏の偉業を成し遂げた。19歳の時に主演したカンフー映画『少林寺』(1982年)は中国全土で大ヒットを記録。中国では大少林寺ブームが巻き起こり、少林寺を目指して家出少年が続出する社会現象にまでなった。 その後ヒット作に恵まれなかったが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』(以下『ワンチャイ』)シリーズで演じたウォン・フェイフォン役が大当たり。以降、ハリウッドにも進出し、カンフー映画界の第一線で活躍してきた大スターである。

ジェットの当たり役となった『ワンチャイ』の主人公であるウォン・フェイフォンは、清代末期に活躍した医師で武術家。死後、新聞などで伝記小説が連載されるなどして伝説のヒーロー化し、第二次世界大戦後にクワン・タクヒン主演で映画化。以降、武術映画の定番テーマとして多くの派生映画が作られてきた。その決定版がジェット・リー版『ワンチャイ』なのである。

監督として『皇帝密使』(1984年)などのヒット作を送り出し、プロデューサーとして『男たちの挽歌』シリーズ(1986年ほか)を制作していた気鋭の映画人ツイ・ハークだったが、1980年代後半はくすぶっていた時期でもあった。そしてジェット・リーもまた『少林寺』以降ヒット作に恵まれていなかった時期。この二人が出会い、起死回生のホームランとなったのが『ワンチャイ』シリーズの第一作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』(1991年)だったのだ。 一作目のメガヒットを受けて即座に作られたのが『ワンス・アポン・ア・タイム/天地大乱』(1992年)。シリーズ最大のヒットとなった『天地大乱』は、アクション監督にユエン・ウーピンを迎え、主題歌はジャッキー・チェンが歌うなど、映画のスケールも大きくグレードアップ。そんな『天地大乱』が史上最高のカンフー映画のひとつに数えられる大きな要素となったのが、ウォン・フェイフォンと大バトルを繰り広げるラン提督を演じたドニー・イェンの存在だった。

■『ドラゴン怒りの鉄拳』リメイクから始まったドニーの本格キャリア

ジェット・リーと同じく1963年に広州市で生まれたドニー・イェンは、2歳で香港に渡り、11歳の時にアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンに移住した。母は世界的に有名な太極拳の達人マク・ボウシムで、9歳から母に武術を学んでいる。ブルース・リーに憧れて武術の修練に邁進したドニーは、長じるにしたがってケンカばかりする不良少年になっていた。 将来を心配した両親は、ドニーを北京業余体育学校へと送り込む(ドニーが敬愛するブルース・リーは香港でケンカ三昧の日々を送り、心配した両親にアメリカへ送りだされた)。同時期にジェット・リーも同校に在籍していたが、ジェットは『少林寺』の撮影に入っており、二人の接点はほとんど無かった。 学校を卒業し、ボストンに帰る途中で立ち寄った香港で、ドニーは名武術指導家で映画監督のユエン・ウーピンと出会う。ウーピンのスタントチームに参加したドニーは、ウーピン監督作で俳優デビューを果たすも、なかなかヒット作には恵まれない日々を送っていた。そんなドニーは、師匠ウーピンがアクション監督を務める『ワンチャイ/天地大乱』で、主人公の宿敵ラン提督役をゲット。同い年の学校の先輩であるジェットと奇想天外で激しく、そして恐ろしいほど美しいアクションシーンを演じ、香港電影金像奨(香港のアカデミー賞)の助演男優賞にノミネートされるなど大きな評価を得た。 引き続き主演俳優としてのヒット作には恵まれていなかったところ、ブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』(1971年)のリメイクドラマ『精武門/ドラゴン怒りの鉄拳』(1995年)に主演し、これがアジア全土で大ヒットを記録。しかしなかなか続くヒット作が生まれず、徐々にアクション監督としての裏方の仕事にシフトしていくことになる。アメリカで育ち英語が堪能なドニーは、世界各国でアクション監督として評価されており、その縁で『ハイランダー/最終戦士』(2000年)や『ブレイド2』(2002年)といったハリウッド作品に出演。映画俳優としても再評価されていく。 そして盟友ウィルソン・イップ監督と出会ったドニーは、総合格闘技の要素を取り入れた新機軸のアクション映画『SPL/狼よ静かに死ね』(2005年)を発表。高い評価を得るだけでなく、興行的にも大ヒットを記録した。さらにイップ監督と制作した『イップ・マン』シリーズがカンフー映画の興行記録を塗り替えるメガヒットとなり、ついに主演俳優としても名実ともにアジア最大のスターの仲間入りを果たしたのであった。 そんなドニーは、映画俳優であれば誰でも憧れる『スター・ウォーズ』シリーズにも出演。ジェダイに憧れる盲目の戦士チアルートを好演し、全世界でファンを獲得することに成功している。そしてドニーが、日本を舞台に大先輩であるサモ・ハンの代表作『燃えよデブゴン』(1978年)をリメイクしたのが『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』(2020年)。実はコメディも得意とするドニーの本領発揮となる本作は、コロナ禍を吹き飛ばす痛快な作品となっている。

同じ年に生を受け、タイミングは違えど紆余曲折の末に世界的な大スターとなったジェット・リーとドニー・イェン。その二人の代表作『ワンチャイ』シリーズと『燃えよデブゴン』は、CS映画専門チャンネル ムービープラスの「3ヶ月連続!カンフースターSP」で放映される。この機会に是非、二人の魅力を再発見して頂きたい。

文:高橋ターヤン 『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズはBlu-ray&DVD発売中、CS映画専門チャンネル ムービープラス「3ヶ月連続!カンフースターSP」で2022年10月放送

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?