京都に行きたくなる 綾瀬はるか×堤真一『本能寺ホテル』と、武田信玄・豊臣秀吉が愛した温泉地トリビア!

京都に行きたくなる 綾瀬はるか×堤真一『本能寺ホテル』と、武田信玄・豊臣秀吉が愛した温泉地トリビア!
『本能寺ホテル』
Blu-ray: ¥5,280 (税込)
DVD: ¥4,180 (税込)
発売元: フジテレビジョン
販売元: ポニーキャニオン
©2017 フジテレビジョン 東宝 ホリプロ

■そろそろ旅行したい

すっかり秋も深まり、紅葉を見に行く季節になってきた。某鉄道会社の「そうだ、京都へ行こう」というキャッチフレーズに心躍る季節でもある。京都のお寺の境内で真っ赤に色づく色鮮やかな紅葉……もちろんそれもいいが、戦国オタクとしては紅葉に染まった木々から見るお城も捨てがたい。私は心の中で「そうだ京都へ行こう、そしてお城も見て回ろう」と変換しワクワクしているのだ。 しかしコロナ禍以降、どこも旅行に行けていない。都内から出ると言っても、趣味のゴルフで近県の埼玉や千葉、行って茨城くらいのもの。観光などにはどこにも行けていないのだ。昔は温泉旅行によく行ったものである。思い返すと、初めて自分の稼いだお金で温泉旅行に行ったのが20歳の頃。地元の悪友5人と滋賀から、福井県の温泉街に1泊2日で行ったのが最初だった。

■ハタチの思い出~初・温泉ドタバタ旅行~

あの日、私が仕事終わりで1人遅れて温泉街に着くと、先に来ていた友達4人はホテルの部屋で大宴会を始めていて、日本酒好きの悪友たちだけに熱燗の徳利が大量に並んでいた。私も一風呂浴びてその宴会に加わり、夜中遅くまで飲めや歌えやの大騒ぎ! そのまま雑魚寝で朝を迎えた。見渡すとテーブルの上には大量の空の徳利が。そこに仲居のおばちゃんが会計伝票を持って入ってきた。そして値段を見てびっくり! 宿泊費は大したことがなかったのだが、飲んだ酒代がかなりの額だったのだ。とりあえず高額な会計を5人で割って、1人頭の金額を出したが、悪友のバカ4人はそこまでお金を持ってきておらず、払えないと言い出す始末。まだ20歳の若造、値段も見ずに安い居酒屋の感覚で、ホテルのお酒を大量に注文していたため、財布の中のお金では足りないというハメになったのだ。今でこそコンビニに走って銀行口座からお金をおろせばいい話だが、まだ地方では地元の銀行カードが使えなかった時代。しかもクレジットカードなんぞ誰も持っていない。 かなりのピンチ! だがその点、私はなにかあっちゃいけないと、お金を多めに持ってきていたので、バカ4人の有り金をかき集め、足りない分は私が立て替えて、なんとか支払うことができた。荷物を持ってホテルを出た時の所持金が、唯一私の財布に残った千円札一枚。他の4人の財布は空っぽ。ここから観光に行っても、昼飯さえ食えない。こうなれば一か八か打って出るしかない。バカ友4人を駐車場に残し、私はたった1枚の千円札を握りしめてパチンコ屋さんに向かった。 緊張しながら最後の千円札で台を打ち始める。これが無くなれば私までお昼ご飯抜きになってしまう。しかし、神は我々を見捨てなかった! その千円が、なんと1万円になったのだ!! 私は玉を換金し、駐車場で待つバカ友に1人2千円ずつ渡してやった。なんとかそのお金で昼飯も食べ、温泉まんじゅうのお土産まで買うことができたのだ。――首の皮一枚からの逆転の旅。まったくおバカな珍道中だが、懐かしき若気の至りの、今でも忘れられない旅の思い出である。 さて今回のおすすめ映画は、2017年1月に公開された『本能寺ホテル』。以前このコラムでも書いた、2011年公開の『プリンセス・トヨトミ』の鈴木雅之監督(歌手の鈴木雅之さんとは同姓同名の別人)と綾瀬はるかさん&堤真一さんが再びタッグを組まれた作品だ。

■ユーモラスなタイムスリップ時代劇『本能寺ホテル』

『本能寺ホテル』の物語は、綾瀬さん演じる主人公・倉本繭子が自分の生き方に自信が持てないまま、婚約者の両親に会いに一足先に一人で京都にやってくるところから始まる。しかしホテルの手違いで予約ができておらず、泊まることができない。途方に暮れていると、路地裏にひっそりと佇む“本能寺ホテル”にたどり着く。そして部屋をとってエレベーターに乗り込み、京都の街中で買った金平糖を一粒食べると、なんとエレベーターが到着したのは戦国時代の京都! しかも本能寺の境内にタイムスリップしてしまうのだ。 そんな彼女の前に現れたのが森蘭丸と、天下統一を目前にした織田信長! そして彼女は戦国一の謎、<本能寺の変>に巻き込まれていくのである。

と、この作品は戦国末期の有名な本能寺の変をテーマにした作品なのだが、実はコメディタッチでユーモアのある作品なのだ。繭子と、森蘭丸役の濱田岳さんとの掛け合いは随所で笑える。また織田信長役の堤真一さんとのコンビネーションも良く、織田の家臣たちが緊張した面持ちで接している信長に対し、現代からタイムスリップしてきた繭子がずけずけと言いたいことを言い、信長の心境にも変化が起こっていくあたりは、他の作品には無い面白さがある。 また、風間杜夫さんや近藤正臣さんといった名優たちが脇を固めており、見ていて安心できる。特に私が目を見張ったのが、現代の京都の場面で、料理人の役を近藤正臣さんが演じてらっしゃるのだが、この京都弁が優美でナントもたまらなく心地いいのだ。調べれば、近藤さんは京都市生まれの京都人とのことで、ま~完璧な京都弁なのだ。 さて、この作品は<本能寺の変>という、一見暗いテーマをコメディで明るくユーモラスに描き、その中で現代の人にも戦国時代の人にも根底にある、人間としての考え方や生き方に共感でき、映画を見終わると自分の未来にも希望が持てるような、そんな気持ちにさせてくれる作品なのである。

■信玄も秀吉も温泉大好き! 戦国“湯治”トリビア!

では今回の雑学は、旅行にちなんだ戦国雑学でもお話ししよう。国内旅行といえば、やっぱり温泉! 戦国時代にも温泉にちなんだ戦国武将がいたのだ。 まずは“信玄の隠し湯”でもお馴染みの武田信玄。信玄は数多くの温泉地を隠し湯として治めていた。地元の甲斐(山梨県)の下部温泉や川浦温泉にとどまらず、信濃(長野県)の渋温泉に大塩温泉や駿河(静岡県)の梅田温泉などなど、各地に隠し湯を置いていたのだ。領土が拡大するにつれて、武田軍団が効率よく体力回復や戦場での傷を癒す温泉を各地に設けていたのである。 そんな中の一つが、山梨県にある川浦温泉。ここも信玄の指示で開発された温泉で、信玄自身も戦さの傷や疲れを癒すために浸かったと言われている。そして、この温泉地の開発を信玄から命じられた家臣が、あの武田四天王の一人で“武田の赤備え”を率いた、山県昌景(やまがた まさかげ)なのだ。しかも、この川浦温泉には現在も源泉かけ流しの、山県館という立派な温泉宿があり、ここの女将はまさに山県昌景の子孫でもあるのだ。私はまだ行ったことがないのだが、ぜひ訪れてみたい温泉宿の一つである。 もう一人、温泉を愛した戦国武将といえば、あの豊臣秀吉。彼が愛した温泉地が、有名な兵庫県の有馬温泉だ。この温泉は「太閤秀吉が愛でた西の奥座敷」と言われる、道後温泉、白浜温泉と並ぶ日本三古泉の一つ。神戸電鉄・有馬温泉駅から歩いてすぐの所に太閤秀吉の銅像があり、向かい側には秀吉の正室・ねねの銅像もある。 秀吉が有馬の地を訪れたのは天正7年(1579年)、まだ織田軍の西国方面の軍団長時代。攻めていた播磨の三木城攻略に必要になった道の整備に訪れ、天正8年の2月に三木城を攻略した後、有馬温泉に浸かり城攻めの疲れをとったと記述が残っている。おそらく秀吉はこの入浴がきっかけで有馬を気に入り、その後<本能寺の変>からの明智光秀との戦いの後や、柴田勝家との織田家家督争いの後、徳川家康ら敵対勢力との争いを繰り広げている最中でも、しばしば有馬温泉を訪れている。 天正17年(1590年)に小田原北条氏を滅ぼし、名実ともに天下人となった秀吉は、9月に有馬の地で大茶会を開催する。その後、慶長元年(1594年)に大がかりな別荘<湯山御殿>を建てたが、慶長3年(1596年)7月に発生した慶長伏見大地震によって全壊。有馬の地は大きな痛手を追い、温泉を利用することができなくなってしまった。しかし秀吉は、直ちに復旧に乗り出して災害などで源泉が破壊されることを防ぎ、大規模な改修工事を敢行。このおかげで有馬の源泉はその後350年間、改修工事を行う必要がなかったと言われている。 そして現在、有馬温泉の地に<太閤の湯殿館>という施設があるが、ここは1995年の阪神淡路大震災で損壊した極楽寺の調理場の下から安土桃山時代の遺跡が見つかり、調査の結果400年の時を経て秀吉が作らせた<湯山御殿>の一部と見られる浴室跡の遺構が確認された。これらの遺跡と出土品を保存・公開するとともに、秀吉とゆかりの深い有馬温泉の歴史と文化を紹介するために建てられたのが<太閤の湯殿館>という施設なのだ。 慶長伏見大地震で復旧した湯山御殿の遺跡が阪神淡路大震災で発見されるなんて、なんとも不思議な話である。これからの季節、これらの温泉地にでも行って、ゆっくりお湯に浸かりながら戦国武将に思いを馳せるのはいかがかな。 文:桐畑トール(ほたるゲンジ) 『本能寺ホテル』はブルーレイ/DVD発売中、U-NEXTほか配信中

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?