【3月8日は国際女性デー】尊厳を守るため語り合う女性たちの物語『ウーマン・トーキング 私たちの選択』を“いま”届けたい理由【アカデミー賞ノミネート】
2023年03月08日 07時00分BANGER!!!

■監督サラ・ポーリー、主演ルーニー・マーラ
映画『ウーマン・トーキング 私たちの選択』の原作は2018年に出版され、<The New York Times>ブックレビュー誌の年間最優秀書籍に選ばれたミリアム・トウズによるベストセラー小説「WOMEN TALKING」。2005年から2009年にボリビアで起きた実際の事件をもとに描かれている。 監督は『死ぬまでにしたい10のこと』(2003年)『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)『スプライス』(2008年)などで俳優として活躍し、27歳にして『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』(2006年)で監督・脚本家としてデビュー、ゴールデングローブ賞ほか数々の賞を受賞したサラ・ポーリー。本作もすでに世界の賞レースで多くの受賞を果たし、本年度アカデミー賞では作品賞、脚色賞の2部門でノミネートされている。■現在(いま)と繋がる女性たちの団結
1857年、ニューヨークの被服工場で多くの女性が亡くなったことをきっかけに、女性たちが低賃金・長時間労働に対する抗議を行ったことが<国際女性デー>の起源だ。そして、約60年後となる1908年3月8日に女性労働者たちが賃金改善、労働時間短縮、婦人参政権を求めてデモを実施。それ以来、3月8日は国際女性デーとして制定され、賃金・労働条件の向上を示す<パン>と、女性の尊厳・人権の確保を表す<バラ>がシンボルとなっている。 本作の舞台は2010年。1908年からおおよそ100年後の女性たちが、女性の尊厳をかけた話し合いを行う。赦すか、闘うか、それとも去るか――。48時間の語り合いはそれ自体が、これまで男性に対して従順であった彼女たちによるデモ行為の第一歩である。新型コロナウイルス禍の中、DVが増加しているという報告をたくさん聞き、この物語はリアルタイムで私たちの周りに起こっていることだと気づきました。多くの女性や子どもたちが家庭に閉じ込められ、ひどい暴力を受けているのです。社会が大きく後戻りしているように感じました。そんな中、ロー対ウェイド判決が覆され、私は耳を疑いました。でも『では何ができるか』を考える時、私の答えはいつも『諦めないこと』です。なぜなら、映画と同じように、共に立ち向かう時こそ私たちは最も強いからです。
■「優しさを究極の目標とする世界への希望」
「この物語を伝える必要があるとすれば、今なのです」と語るのは本作のプロデューサー、デデ・ガードナーだ。これは生涯続く話だと思います。なぜなら、これまでもそうだったからです。残念ながら、この映画が描いていることが解決し見当外れになる日があるのか分かりません。ですがこの映画が本当に生きているのであれば、制作されている瞬間や公開された瞬間と対話するものだと思います。――本作で描かれるのは単なる過去の話ではなく、今の女性たちの話でもあるのだ。 本作での演技が評価され、多数の助演女優賞を受賞したクレア・フォイは、「『ウーマン・トーキング 私たちの選択』は男性を非難するための映画ではない」と語る。
この映画は、女性が男性より優れていると主張したり、男性を非難したりするためのものではありません。人類すべてが互いに傷つけあわずに生きていける世界、優しさを究極の目標とする世界への希望を描いているのです。
記事にコメントを書いてみませんか?