ハリウッド版「魁!!!男塾」? ニコラス・ケイジ主演『コン・エアー』の意外な功績とバンド“イエス”ギタリスト作曲のロックな劇伴
2023年03月11日 07時00分BANGER!!!

映画公開から26年が経った今も多くのファンから愛されている本作は、元陸軍レンジャー隊員の模範囚キャメロン・ポーを演じたケイジだけでなく、共演者やスコア(劇伴)を作曲したミュージシャンのキャリアの転機になった作品でもあった。2023年3月にCS映画専門チャンネル ムービープラスで放送されるこの機会に、『コン・エアー』公開当時の彼らの活躍を簡単に振り返ってみたいと思う。Simon West's CON AIR (1997) in Tom Gormican's THE UNBEARABLE WEIGHT OF MASSIVE TALENT (2022) #FilmsinFilms pic.twitter.com/Yw7bzwGKX4
— Films In Films (@FilmsInFilms) January 7, 2023
■「ニコケイ黄金時代」の到来を告げた『コン・エアー』
『ザ・ロック』(1996年)に続くケイジとジェリー・ブラッカイマーのタッグ作となった『コン・エアー』は、「マッチョなアクション俳優ではなく、演技派俳優を主役に据える」という次世代アクション映画のトレンドに乗って大ヒット。両者はその後も『60セカンズ』(2000年)や『ナショナル・トレジャー』シリーズ(2004年/2007年)などで成功を収めた。■個性派コワモテ俳優集結! タフガイぶりを競い合った撮影現場
最凶最悪の囚人キャラが多数登場する本作は、学位持ちの天才凶悪犯サイラス役のジョン・マルコヴィッチを筆頭に、スティーヴ・ブシェミ、ヴィング・レイムス、ダニー・トレホ、ニック・チンランド、ミケルティ・ウィリアムソン、デイヴ・シャペル、M・C・ゲイニーら個性派俳優が大挙出演。■プログレッシブ・ロック界の凄腕ギタリストが映画音楽家に転身
本作のスコア作曲を手掛けたトレヴァー・ラビンは、1983年に再結成した英国のプログレッシブ・ロックバンド、イエスの新加入メンバーとして「Owner Of A Lonely Heart」を大ヒットさせたギタリスト/シンガーソングライターである。 バンド脱退後、ラビンは映画音楽の分野に進出。自身のソロ・ツアーでキーボードを弾いていたマーク・マンシーナが『スピード』(1994年)で成功を収めたように、ラビンも『グリマーマン』(1996年)で映画音楽家としてのキャリアをスタートさせた。 当初『コン・エアー』はマンシーナとラビンが共同でスコアを作曲する予定だったが、途中でマンシーナが『スピード2』(1997年)の仕事に専念しなければならなくなり、ラビンが一人で残りの作曲を仕上げることになったという。エモーショナルなギターサウンドを前面に出したロック色の強い音楽になったのはそのためだろう。 この仕事でブラッカイマーからの信頼を得たラビンは『アルマゲドン』(1998年)の作曲の機会を勝ち取り、『60セカンズ』、『ナショナル・トレジャー』シリーズ、『魔法使いの弟子』(2010年)など10タイトルを超えるブラッカイマー映画で音楽を担当している。 ラビンは2012年から2020年頃まで映画音楽の仕事をセーブし、ソロアルバム「Jacaranda」のリリースやARW(イエス feat.ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン)のプロジェクトで活動。ARWは2017年に来日公演を行い、巧みなギタープレイで観客を魅了した。 また、トリーシャ・イヤウッドが歌った本作の主題歌「How Do I Live」を作曲したダイアン・ウォーレンは、自身3度目となるアカデミー歌曲賞にノミネート。その後もブラッカイマー映画の主題歌を作曲し、『アルマゲドン』の「I Don’t Want To Miss A Thing」と『パール・ハーバー』(2001年)の「There You’ll Be」で同賞にノミネートされた。本作をご鑑賞の際は、ラビンの劇伴とウォーレン作曲の主題歌にも是非、耳を傾けて頂きたいと思う。 文:森本康治 『コン・エアー』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2023年3月放送 『マッシブ・タレント』は2023年3月24日(金)より全国公開
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