ワニが大量発生‼『クロール −凶暴領域−』はサメ映画における『ジョーズ』に匹敵するワニ映画の“金字塔”となるか!?

ワニが大量発生‼『クロール −凶暴領域−』はサメ映画における『ジョーズ』に匹敵するワニ映画の“金字塔”となるか!?
『クロール ―凶暴領域―』Ⓒ 2019 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

サム・ライミ製作! ワニ映画シーンでトップクラスの水準を誇る最新作が登場

アニマル・パニック映画の人気は根強い。日本でも馴染みが深い“サメ映画”に始まって、クマ、ヘビ、クモ、トラ……様々な動物が、長年スクリーンから私達に牙を剥いてきた。中でも“ワニ映画”は、サメ映画と並んで有名なジャンルである。

下水道に潜む巨大なワニを扱った、『アリゲーター』(1980年)を筆頭に、獰猛なワニが迫りくるアニマル・パニック映画は、今もなお撮り続けられている。だが一方でワニ映画には、「サメ映画でいう『ジョーズ』のような、ジャンルを象徴する“金字塔作品”がない」という声も聞こえてくる。少なくとも、『クロール ―凶暴領域―』のプロデューサー、クレイグ・フローレスはそう考えたとのことである。

この『クロール ―凶暴領域―』が今後、ワニ映画の代表作として頭角を現していくのか……それは分からない。だが、少なくとも作品の出来については、本作はワニ映画において、トップクラスの水準に位置すると言って差し支えないだろう。

監督を務めるのは、『ピラニア3D』(2010年)が記憶に残るアレクサンドル・アジャ。すなわち、“面白い”アニマル・パニック映画に必要なユーモアや、空気感を既に掴んでいる人物だということだ。また製作は『死霊のはらわた』(1981年)や『スパイダーマン』3作品(2000年〜)でご存知、サム・ライミという手堅い布陣である。

冴えるパニック演出! スタンダードなディザスター展開に突然ワニがぶっ込まれる

さて、『クロール ―凶暴領域―』だが、導入はシンプルなディザスター・ムービーのテンプレートに則っている。父親との関係に問題を抱えたヒロイン。ヒロインの住む地域に迫る台風。連絡の取れない父親。実家の地下で家族を探している最中に、広がっていく災害……。だがそこに平穏な日常を破壊する怪物として、突然ワニが現れる。そして、本作は“ワニ映画”として、本領を発揮していくのだ。

所謂ネタバレを避けるために、細かいストーリーは伏せておくが、本作は二段構えのプロットを採用している。「浸水した窮屈な地下でワニから逃げ惑う、ソリッド・シチュエーション・スリラー風味の前半」と、「豪雨で河川が氾濫した地上でワニと渡り合う、正統派パニック映画としての後半」に分かれた構成だ。よって複数のアプローチから成る “ワニ映画”を楽しむことができるのは、本作の大きな魅力だろう。

昨今の派手かつスケールの大きなモンスター・パニック映画に慣れている方には、設定の都合上ややこじんまりとした序盤が物足りないかもしれないが、中盤から終盤にかけてパニック演出も加速度的に盛り上がってくるので、その辺りの心配は無用だ。

ヒロインもモンスター級!? 適度に怖くてジョークも愉快なポップコーン・ムービー

ただし本作、先述の『ピラニア3D』や、監督の有名な過去作である『ハイテンション』(2003年)『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006年)『ミラーズ』(2008年)等と比べると、凄惨なスプラッター描写は少ない(とはいえアレクサンドル・アジャは直近でも、スプラッター演出のないスリラー/ドラマである『ルイの9番目の人生』(2015年)を撮っているが)。

また、パニック映画として「登場人物が怪物の間近で油断する」「主役だけ異様に頑丈」等の様式美が根本的に合わないという方には、本作は向いていないかもしれない。何せ主人公父娘、特にヒロインは極めて強靭で、“ワニに何度も手や足を噛まれた程度”なら元気に立ち上がってくるという、恐ろしいフィジカル・モンスターなのだ。

重ねて、本作の方向性は「適度に怖いがジョークも多くて愉快なポップコーン・ムービー」に近いので、“何やら高尚な超大作”を期待するとズレが生じるだろう。要は、良質な“ワニ映画”として、肩の力を抜いて楽しんで欲しい。

ワニ映画の中でも群を抜いて強い“最強捕食者”が、貴方を待っている。

文:知的風ハット

『クロール ―凶暴領域―』は2019年10月11日(金)より公開

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