日本のほぼ全声優が出演するSFアニメ巨編の概略をざっくり解説!『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』

「銀河英雄伝説」600名以上のキャラ登場 日本の全声優ほぼ出演で"銀河声優伝説"とも

記事まとめ

  • 『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱 第一章』が9月27日から上映している
  • SF小説が原作の「銀河英雄伝説」は1988年からOVA化され、これ以外に劇場公開作が3作
  • 600名以上のキャラクターが登場、日本の全声優がほぼ出演するため"銀河声優伝説"とも

日本のほぼ全声優が出演するSFアニメ巨編の概略をざっくり解説!『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』

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『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』©田中芳樹/松竹・Production I.G

原作は80年代刊行の長編SF小説! OVAは“銀河声優伝説”とも称されたアニメ巨編

『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱 第一章』が2019年9月27日(金)から上映中だ。ここでは「銀河英雄伝説」のタイトルくらいしか聞いたことがないという人のために、その概略を解説したいと思う。

まず原作は、田中芳樹が1980年代に執筆したSF小説「銀河英雄伝説」。本伝が全10巻あり、外伝が5巻刊行されている。はるか未来を舞台に、皇帝と貴族が支配する銀河帝国と、民主主義を標榜する自由惑星同盟の間で繰り広げられる戦争が主題で、軸となる人物が2人登場する。

ひとりは、銀河帝国で“常勝の天才”と呼ばれる若き英雄、ラインハルト・フォン・ローエングラム。もうひとりが、自由惑星同盟の“不敗の魔術師”ことヤン・ウェンリーだ。大きな歴史のうねりの中で、ラインハルトとヤンの2人が何を目指しいかに戦ったかが、歴史小説を思わせる筆致で描かれていく。宇宙を舞台にした“三国志”的な興趣を持つ本作は、多くの読者を虜にした。

本作は1988年からOVA化(オリジナルビデオアニメ化)されていて、こちらは本伝を全110話で完全アニメ化したもの。これ以外に劇場公開作が3作あり、外伝の各エピソードも全52話でアニメ化されている。帝国軍、自由惑星同盟軍ともに600名以上の多彩なキャラクターが登場する作品のためキャストも豪華で、“銀河声優伝説”とも呼ばれるのは有名なエピソードだ(ラインハルトは堀川亮[現・堀川りょう]、ヤンを富山敬、そのほかにも森功至、若本規夫、野沢那智、大塚周夫、池田秀一、納谷悟朗、玄田哲章、堀内賢雄、山寺宏一、森川智之、石田彰、榊原良子、勝生真沙子、三石琴乃ら)。

なお、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』(1977年)『超時空要塞マクロス』シリーズ(1982年〜)の石黒昇監督が総監督を務めたので、こちらは「石黒版」と呼ばれている。

第2シーズンは3章に分けて劇場上映!「石黒版」との違いは?

そして、現在進行中のアニメ版が『銀河英雄伝説 Die Neue These』である。監督は『黒子のバスケ』(2012年〜)の多田俊介だ。

こちらは、まず2018年に第1シーズン『邂逅』が全12話でTV放送された。そして劇場版の『星乱』は、第2シーズン全12話分を、全3章に分けて上映する。話の進み具合からして、おそらく『星乱』は原作前半の大きな節目である第2巻までを映像化する予定だろう。

原作の圧倒的な魅力に加え、ファンの間で“定番”となっている「石黒版」の存在を踏まえてのリメイクだが、『Die Neue These』は押さえるべきところは押さえつつ、新しい魅力をしっかりと加えていて見ごたえがある。

ひとつは艦隊戦の表現と内容。「石黒版」当時は手描きでしか表現できなかった艦隊戦だが、『Die Neue These』では3DCGを駆使。デティールまで作り込まれた艦船や艦載機を大胆なカメラワークで映し出し、宇宙における艦隊戦を激しくも美しいものとして見せている。また『星乱 第1章』では、「アムリッツァ星域会戦」における同盟軍の作戦に原作にはない新しいアイデアを盛り込んで、原作通りの展開の中に「そんな手があったのか!」というサプライズ感を増す工夫もなされている。

もうひとつはキャラクターの掘り下げ方で、特に印象的なのがラインハルトの描き方だ。超然とした印象がまず先にたつ「石黒版」に対し、『Die Neue These』のラインハルトはもっと人間くさく、野心や皇帝たちへ怒りをにじませるように描かれている。特に、親友にして右腕であるキルヒアイスと個人的に会話するシーンでそうした人間味を感じさせることが多く、ラインハルトとキルヒアイスの関係性がはっきり伝わるように描かれている。

このあたりは、原作が歴史小説の体裁で描かれていることもあり、ドラマごとに解釈が異なる「信長像」を見るような楽しさもある。そして、言うまでもなく本作もキャストは豪華(ラインハルトは宮野真守、ヤンは鈴村健一、ほかに梅原裕一郎、梶裕貴、小野大輔、中村悠一、坂本真綾ら)で、こちらも“銀河声優伝説”と呼ぶにふさわしいメンバーが競演している。

原作のバックボーンにあるのは「英雄による理想的な絶対王政」と「衆愚に陥った民主政治」では、どちらがよいのか? という究極の問いかけだ。この問いは、最初にアニメ化された1980年代末から1990年代にかけてより、現在のほうがより生々しく感じられるかもしれない。その点に注目しながらラインハルトとヤンを取り巻く状況を見ると、より一層『Die Neue These』を深く味わえるはずだ。

文:藤津亮太

『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』は2019年9月27日(金)より、第一章〜第三章まで各3週間限定で劇場上映

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