S・キング×『CUBE』監督の迷宮ホラー その草むらに入ったら生きては出られない⁉『イン・ザ・トール・グラス −狂気の迷路−』

S・キング×『CUBE』監督の迷宮ホラー その草むらに入ったら生きては出られない⁉『イン・ザ・トール・グラス −狂気の迷路−』
Netflixオリジナル映画「イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-」独占配信中

天然の迷宮!? まるで意思を持って人間を閉じ込める草むらの怪

シチュエーション・スリラーの先駆け(と僕は思ってます)『CUBE』(1997年)で一躍有名になったものの、ハッキリ言って『スプライス』(2008年)以降、なかなかパッとしなかったヴィンチェンゾ・ナタリ監督。そんな監督の最新作『イン・ザ・トール・グラス −狂気の迷路−』がNetflixで配信中と聞いて、『CUBE』『ELEVATED』(1996年)大好きな僕が、さっそく観てみました!

カルとベッキーの兄弟は、背の高い草むらの中から助けを求める少年の声を聞き、探しに入って行く。すると、あっと言う間に方角を見失って離れ離れに。草むらに閉じ込められた2人には、想像を絶する恐怖が待ち構えていた……いや、ネット上では“草生える”(=笑える)なんて表現をよく見かけるけど、こっちの草は笑いごとじゃないですから!!

小さい頃、草原(と言っても知れた広さ)の近くで遊んでいてボールが迷い込んだ時、中から何が出てくるか分からない恐怖感で、ボールを取りに行くのを断念した記憶があります。大人にしてみればたかだか膝上くらいの草原なんですが、小さな子供には顔を出すのがやっとで、その怖さはかなりのものでした。

しかし、本作に出てくる草むらは大人の背丈をゆうに超える高さで、どうやら相当に広い。僕みたいな思い出のある人間にとっては、もうそれだけで怖いはず! しかも一度入ってしまったら最後、(ある状態のままでは)脱出は不可能らしい……というか、もしかしてループしてる? しかも、草むらの中の“住人”に見つかったらヤバいことに……!?

草むらの中で起こる暴力の連鎖……それは人類の負の歴史!?

本作はスティーヴン・キングと、キングの息子であるジョー・ヒルによる共著「In the Tall Grass」が原作。そこにナタリが監督・脚本で加わり、『インシディアス』シリーズ(2010年〜)などホラー映画にひっぱりだこのパトリック・ウィルソンが出演しております。『死霊館』シリーズ(2013年〜)ではパトリックがゴーストハンターのエド・ウォーレン役として登場すると少し安堵しますが、本作では全然違う! 本当に信じて良い人物なのか半信半疑にさせる、怪しい人物を好演しています。

これは『CUBE』の方式とも似ていますが、登場人物が1人ずついなくなるホラーと違い、本作では主人公たちが草むらへ入ると、その中で1人、また1人と出会っていきます。草むらから出られないという恐怖に加え、やがて“もう一つの恐怖”から逃げることになるのですが、途中からタイムリープ要素まで入り、恐怖と混乱、現実か幻か、そこに伏線も散りばめられています。

途中で出現する巨大な“石”は、まるで『2001年宇宙の旅』(1968年)のモノリスのような存在感。実際、それに近い発想が込められていて、本作の重要なキーになっているのでは? と思いました。ただし、それは人類の“次なる進化”ではなく、人類が“繰り返してきた歴史”であり、それを数人の登場人物に投影しているのでしょう。さらに土着信仰のような描写もあって、紀元前アメリカ大陸の呪術的な恐怖も纏っています。もちろんキング原作だけに、我が子を里子に出そうとしている妊婦や近親姦、教会など、キリスト教的なメタファーも散りばめられていて……本作を観終わった後、そんな風に思いを巡らせてしまいました。

そういえば、数年前に『CUBE』のリメイク企画が始動したという噂がありましたが、あれは頓挫したのかな? なんてことも思い出しつつ、ナタリ監督の今後の活躍にも期待です!

文:ゾニー(KING BROTHERS)

『イン・ザ・トール・グラス −狂気の迷路−』はNetflixにて独占配信中

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