邪悪な少年に戦慄!もしスーパーマンが悪ガキだったら?『ブライトバーン/恐怖の拡散者』

邪悪な少年に戦慄!もしスーパーマンが悪ガキだったら?『ブライトバーン/恐怖の拡散者』
『ブライトバーン/恐怖の拡散者』© The H Collective

新人監督が描くスーパーマンの恐怖パロディ!

2018年のサンディエゴ・コミコン(SDCC)、ここで大きな事件が起こりました。ジェームズ・ガン監督がディズニーを解雇され、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズから手を引く、というニュースが流れたのです。僕はホールHという大会場でのパネル(発表会)に参加するため、丸1日行例に並んでいたのですが、そこにいたファンの間では悲鳴にも似た嘆きが。ご存知のように、後にこれは撤回されジェームズ・ガン監督は『ガーディアンズ〜』3作目の監督をします。

実はこの時、ガン監督はソニー映画のパネルに参加することになっており、そこである映画の発表をするはずでした。しかし、こうした騒動が起こり、この発表はキャンセルとなります。そう、ここで発表する予定だった映画こそ『ブライトバーン/恐怖の拡散者』でした。

邪悪な少年に戦慄! の前に、そもそも『スーパーマン』ってどういう設定だっけ?

なので『ブライトバーン/恐怖の拡散者』の説明を始める前に、そもそも『スーパーマン』について触れておきましょう。

アメリカのカンザス州のスモールヴィルという田舎町に、宇宙船が不時着します。その宇宙船には赤ん坊が乗っていました。爆発寸前の惑星クリプトンから脱出させるため、地球へと送られてきたのです。その赤ん坊は、農家を営む心優しきケント夫妻に発見されます。夫妻は彼を我が子として育てますが、地球とクリプトン星の環境の違いが彼の肉体に作用し、スーパーパワーを発揮するようになります。

ケント夫妻の愛情を受け正しい大人に育った彼は、その力を人々のために使うことを決意します。こうしてスーパーマンが生まれたのです。

『ブライトバーン/恐怖の拡散者』は、この有名すぎるスーパーマン伝説をベースに、「もしも宇宙から来た赤ん坊が邪悪な存在だったら?」「もしもスーパーマンが成長の途中で、とんでもない悪ガキになったら?」というお話です。

タイトルの“ブライトバーン”とは、この映画に登場する架空の田舎町の名前ですが、カンザス州にあるという設定ですから、明らかにスーパーマンの物語をなぞっているわけです。というわけで、恐怖の12歳の暴走に、この田舎町は地獄絵図となるわけです。

とはいえ、もうちょっとこの子が悩んだりとか、我が子がモンスターになってしまった親の悲劇ととかエモーショナルに描かれると思ったのですが、そういう“まどろっこしさ”はなく(笑)、この子の暴れっぷりを描くアクション・ホラーになっていきます。

快作で怪作! ホラー映画ファンにもスーパーヒーロー映画ファンにもオススメ

邪悪な子どもが世界を滅ぼすという意味では『光る眼』(1995年/『スーパーマン』シリーズ(1978年〜)の出演スター、クリストファー・リーヴ氏が主役)や『オーメン』(1976年)に通じるものがあり、ホラー映画とスーパーヒーロー映画ファンの両方に観ていただければ、話のネタになること間違いなしの快作で怪作。ジェームズ・ガン監督の、ヒーローをテーマにした映画『スーパー!』(2010年)が好きな方にとっても(いろいろな意味で!)嬉しい作品です。

また、エンド・クレジットにサプライズがあり、そう来るか! と叫びたくなること必至です。マーベル・シネマティック・ユニバースでもDC映画作品でも、人々が“スーパーパワーを持つ者は人類にとって脅威である”と不安がる、みたいな描写が出てきますが、プロデューサーであるジェームズ・ガンはまさにそこを描いています。

それにしても、スーパーマンというDCの伝説的なヒーロー物語を“悪の映画”に仕立てたジェームズ・ガンが、今度はDCのヴィランたちが世界を守るために活躍する『ザ・スーサイド・スクワッド(原題:公開日未定)』を撮るというのも面白いですね!

文:杉山すぴ豊

『ブライトバーン/恐怖の拡散者』は2019年11月15日(金)より全国ロードショー

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