祝「4Kニューマスター吹替版」劇場公開!<34年目の『コマンドー』:止まらない進化を追って>

祝「4Kニューマスター吹替版」劇場公開!<34年目の『コマンドー』:止まらない進化を追って>
『コマンドー』©1985 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

■『コマンドー』4Kニューマスター吹替版が劇場公開中!

『コマンドー』4Kニューマスター吹替版が、2019年11月から日本全国で順次公開されている。言わずと知れたアーノルド・シュワルツェネッガー主演、あまりにエクストリームなアクション映画の傑作である。初公開から34年経ってのリバイバルは当然のことだし、むしろ1年中『コマンドー』が上映されている映画館があるべきではないかとさえ思う。

『コマンドー』©1985 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

だがその凱旋の報を初めて聞いたときには、よ、4K! と思わず我が目を疑った。『コマンドー』のDVDやブルーレイはつい最近まで毎年のように、新たな要素を加えてリイシューされてきた。こちらとしてはそのたびに購入するしかないので、結果的にブルーレイ棚の1セクションが右から左まで丸々『コマンドー』という事態が起こることになる。

しかし、それだけバージョンアップを重ねておきながら、まだ4Kマスター版という切り札が残されていた。すぐ売ってくれたまえ、2万円までならポンと出す、と思ったが、その超高画質に触れるには今のところ劇場に足を運ぶしかないのである。年端もいかない子どもの時分に初めて触れて以来、シュワルツェネッガーが愛する娘を救うため、あちこちでランダムな暴力を振るう約90分の本作にずいぶん長いこと付き合ってきた。もうそろそろ「コマン道(どう)」を極め尽くしたのではないかと思ったタイミングで新しいバージョンが出てくるのだから、その世界の奥深さには改めて慄然とさせられる。

『コマンドー』©1985 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

しかし、実はそれ以上に慄然としたことがある。「4Kニューマスター吹替版」と聞かされた際、「4Kニューマスター」にはずいぶん反応したものの、「吹替版」の部分に自分がさほど驚かなかったことだ。『コマンドー』といえば吹替版。しかも1989年1月1日にテレビ朝日の「日曜洋画劇場」で、淀川先生の解説付きで放映された、シュワルツェネッガーを玄田哲章が吹き替えているバージョン。そのことが自分のなかで、あまりにも当たり前のことになっていた。だから34年前の大名作を劇場で再公開します、もちろん吹替版です、と言われてもまるで動じなかったのだ(それにしても1989年は元旦からテレビで『コマンドー』がかかっていたのである。どうかしている)。

『コマンドー』©1985 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

■ファンの心を鷲掴みにした89年テレ朝吹替版『コマンドー』

吹替版『コマンドー』は映画公開の翌々年、1987年10月にはすでにTBSで放映されている。屋良有作氏がシュワルツェネッガーを演じたこちらもまた非常に味わい深いが、日本中のファンの心を鷲掴みにしたのは89年テレ朝版のほうだといえるだろう。

「とんでもねえ、待ってたんだ」
「10万ドル、ポンとくれたぜ」
「無事取り戻したければ、俺たちに協力しろ。OK?」「OK!」
「小銭だ! 小銭を出せ」
「容疑者は男性。190cm、髪は茶。筋肉モリモリマッチョマンの変態だ」 
「お前は最後に殺すと約束したな。あれは嘘だ」
「ただのカカシですな」
「何が始まるんです?」「第3次大戦だ」

こうしてスラスラと吹替版の名台詞が出てくる。未見の方はいったい何のことかと思われるかもしれない。だが一度でも89年テレ朝版をご覧になった方なら、上記の台詞がどれだけ強烈にオーディエンスの心に刻み込まれたかお分かりいただけると思う。

また特筆すべきは、これらの吹替台詞が実は原語版にかなり忠実なものであるということだ。ゼロ年代に入って、インターネットで大きな話題を集めた89年吹替版『コマンドー』。今に至るまでカルト的な人気を集め、ついには原語版より吹替版を観ているオーディエンスのほうがおそらく圧倒的に多いという現象を巻き起こした。その本質はもともとの意味合いを真面目に保ちつつ、そこへあまりにもご機嫌なグルーヴ感を盛り込んだということにあると思えてならない。

『コマンドー』©1985 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

という『コマンドー』日本語版脚本を担当したのは翻訳家の平田勝茂さん。テレビがまだ白黒だった頃から、洋画や海外ドラマの吹替脚本を無数に手掛けてきた。平田さん、それに玄田哲章さんにはネット配信の番組やトークショウなどで、都合4回ほど『コマンドー』についてお話を伺ったことがある。子どもの時から聞いてきた声が目の前で響いている。それを書いた人もいる……そんな状況に震えつつ、少なからず衝撃を受けたのは、玄田氏も平田氏も最初は『コマンドー』収録当時のことをそこまではっきりと覚えていなかったことだ。両氏ともに「そんなこともありましたかねえ……」と、穏やかに笑っている。考えてみれば無理もないことだ。当時は1週間に何本もの洋画がテレビで放映されていた。次から次へと仕事を突っ込まれていた彼らにしてみれば、そのひとつひとつを詳細に記憶していられるわけもなかった。洋画吹替の収録はだいたい1日仕事で、脚本家も俳優たちもその日に仕事をしてはすぐに別れていく。そしてまた次の現場に向かう……。そんなエピソードにむしろプロフェッショナルの迫力を感じたものだ。

■新録吹替、応援上映……日本で独自の進化を続ける『コマンドー』

長い年月を経て、ついには原語版以上の人気を獲得するに至ったコマンドー』吹替版。そんな事実を目の前にして、平田氏にも玄田氏にも、当時の記憶が徐々に蘇っていった。そして2015年にはついに[製作30周年記念]と題して、オリジナルキャストを可能な限り集めた吹替新録版が世に送り出されることとなる。2018年には日本語吹替版が池袋新文芸坐ほかで公開、今やメジャーな興行形態となった「応援上映」が行われた。

本作のシュワルツェネッガーは応援などなくとも全勝ちじゃないか、と思ったが、満場の観客はむしろ悪役たちに必死の声援を送っていた。思わず目頭が熱くなった。そして今年の4Kニューマスター吹替版(しかもまた劇場公開)である。聞けば今回は新たな試みとして、シュワルツェネッガーの筋肉を観客みんなで応援する「極上爆音筋肉応援上映」まで実施されたという。

『コマンドー』©1985 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

『コマンドー』はここ日本で、独自の進化を続けている。すでにご覧になった方はその行く末を占うために、未見の方はその何かがどうかしている魅力に触れるために、ぜひ劇場に足を運んでいただきたい。

文:てらさわホーク

『コマンドー』4Kニューマスター吹替版は2019年11月より全国順次限定公開

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