『ジョーカー』のヒットに続け! マーゴット・ロビー主演『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』が面白い2つの理由

『ジョーカー』のヒットに続け! マーゴット・ロビー主演『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』が面白い2つの理由
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BIRDS OF PREY and all related characters and indicia c&TM DC Comics.

■DCコミックが誇る人気女性ヴィラン、ハーレイ・クイン待望のソロ映画!

数多くのアメコミ映画が封切られる中で、バットマンやアクアマンを有するDCが先行しているジャンルがあります。それはヴィラン(悪役)を主役にした映画。ホアキン・フェニックスが第92回アカデミー賞で主演男優賞を獲得した『ジョーカー』(2019年)は、まさにその代表例となりました。そして、この作品に続いてDCが放つのが『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(2020年)。ジョーカー同様、バットマンのコミックに登場する女ヴィラン、ハーレイ・クインを主人公にしています。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BIRDS OF PREY and all related characters and indicia c&TM DC Comics.

ハーレイ・クインがデビューしたのは1992年。バットマンのコミックは1939年から出版されていますから、その歴史を考えると比較的“最近”生まれたキャラと言えます。ハーレイが登場するまで、バットマン世界の人気女性ヴィランといえばキャットウーマンでした(2020年でデビュー80周年!)。

ハーレイについて特筆すべきなのは、コミックではなくバットマンのアニメ・シリーズのために作られた悪女であり、ここで人気が出てコミックの方にも登場するようになったということ。アニメ発のキャラだけあって、美少女アニメやゲームに登場する小悪魔的な女の子に通じる愛らしさがあります。「アンパンマン」のドキンちゃんと「ルパン三世」の峰不二子をかけあわせたような感じでしょうか(笑)。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BIRDS OF PREY and all related characters and indicia c&TM DC Comics.

このキュートな悪女を、いま最も旬なマーゴット・ロビーが演じるわけですから、もうそれだけで満足なのですが、本作を観てを観て感心したことが2つあります。

■ジョーカーを卒業したハーレイと個性的な仲間たちによる正統派女性映画!

1つは、あのシリアスで重い人間ドラマだった『ジョーカー』の次に、痛快でポップなハーレイの活劇をリリースしたこと。どちらも同じバットマンのコミックを“原作”にしているのに、まるでテイストが違う。様々なアプローチやアレンジが可能という意味で、改めてバットマンやDCコミックの懐の深さ、ポテンシャルを感じました。そしてもう1つ称えたいのは、ハーレイを演じるマーゴット・ロビーのプロデューサーとしての才能です。そう、今回の彼女は出演だけでなく、プロデューサーも務めているのです。

どうやらマーゴットは、本作を究極のガールズ・ムービーにしたかったようです。というのも、彼女は『スーサイド・スクワッド』(2016年)で一度ハーレイを演じていますが、この役を気に入り、今度はハーレイが主役の映画を作りたいと思ったそうです。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BIRDS OF PREY and all related characters and indicia c&TM DC Comics.

主役であるとはどういうことか?『スーサイド・スクワッド』のハーレイは、あくまで“ジョーカーの恋人”でした。それに対し本作では “男ありきのヒロイン”から脱却し、自立した女性として描かれています。『スーサイド・スクワッド』が一風変わったラブ・ストーリーなら、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』は正統派の女性映画を目指したということでしょう。だからマーゴットは、女性監督のキャシー・ヤンにメガホンをとらせました。彼女が長編作品を手掛けるのは、これが2作目というから大抜擢です。

彼女の前作『DEAD PIGS(原題)』は日本未公開なので未見ですが、予告編を見ると、確かに『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』に通じるタッチだし、群像劇であるというところもマーゴットがキャシーを選んだ理由だそうです。なぜなら『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』は、ハーレイ以外にもクセのある女性たちが活躍する集団ドラマでもあるからです。

■プロデユーサー・マーゴットの手腕が光る! 適材適所でドラマとアクションを見事に融合

マーゴットは女性映画をちゃんと撮れる監督を選ぶ一方で、観客がハーレイ・クインというキャラクターに何を求めているのか、ちゃんと分かっています。ハーレイはオシャレでクレイジーでカッコいい。この3原則にのっとった見せ場をちゃんと作っています。「ハーレイがワケありの女性たちと手を組んで、共通の敵である犯罪界の帝王ブラック・マスクに挑む」というストーリーはシンプルで、だからこそ余計なことを考えずにハーレイの暴れっぷりを楽しむことができるのです。アーノルド・シュワルツェネッガーの人気作に『コマンドー』(1985年)がありますが、あの作品も、とにかくシュワちゃんのケレン味たっぷりのアクションを堪能する作品ですよね。あの面白さに近いのです。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BIRDS OF PREY and all related characters and indicia c&TM DC Comics.

となると、アクション・シーンの出来栄えが映画の魅力を左右する。『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』では、あの『ジョン・ウィック』シリーズ(2014年〜)の監督でスタントマンでもあるチャド・スタエルスキをアクション監督としてジョインさせています。これが功を奏し、歴代アメコミ・ヒーロー映画の中でもトップクラスの爽快バイオレンス・エンタテインメントに仕上がっています。つまり、マーゴット・ロビーはプロデューサーという名の総監督という立場で、ドラマ部分をキャシー・ヤン、アクション部分をチャド・スタエルスキに振り分け、それらを見事に融合させたのですね。

僕は、憧れの女性という目で見ると『スーサイド・スクワッド』のハーレイに軍配をあげますが、憧れのヒーローという意味では今回のハーレイに最大限の賛辞を贈りたい。繰り返しになりますが、ハーレイ・クインはヴィランです。しかしDCの場合、ヒーローとヴィランは善か悪かの二極ではないようです。ヒーローとは秩序を守る者であり、ヴィランとは混乱を巻き起こす奴らです。ハーレイは混乱の化身ですが、決して邪悪な存在ではありません。だから彼女の冒険は観ていてスカっとする。もし、あなたが今の生活になんとなく閉塞感を感じているのなら、彼女の過激さにきっと癒されますよ。

文:杉山すぴ豊

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』は2020年3月20日(金)より全国ロードショー

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