大ヒット潜水艦映画の続編ドラマ!『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』 深海に響く「ピキ〜ン」音は何?

大ヒット潜水艦映画の続編ドラマ!『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』 深海に響く「ピキ〜ン」音は何?
『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

■あの『U・ボート』の正統な続編がドラマシリーズに!

1981年に公開されたドイツ映画『U・ボート』は、精緻なメカ描写とスクリーンに漲る緊迫感、そして諸行無常なドラマ性をもって潜水艦映画に革命を起こした作品でした。『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』(2018年〜)は、その映画『U・ボート』の続編として制作されたTVミニシリーズです。

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ただし本作は作品スタイルをガラリと変えて、潜水艦内とドイツ占領下のフランスを舞台にした現代っぽいサスペンス・ドラマ(驚きの百合展開も有り)となっています。しかも全8話を通して「起承転結」な構成になっており、ネタバレになるのでストーリーを紹介できないのが残念です。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』
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■群狼(ぐんろう)戦術

なぜ「Uボート」は小説や映像作品の題材に取り上げられ続けるのでしょうか?

第二次世界大戦期、アメリカは、ナチス・ドイツの攻撃に晒されているイギリスやソ連を支えるため、大量の援助物資を送りました。とくに島国のイギリスにとって、海路で運ばれてくる各種物資は文字通りに命綱でした。その海上交通路を断ち切らんと襲いかかったのがUボート(ウンター・ゼー・ボート/海面下の船)だったのです。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

この戦略を「通商破壊戦」と呼びますが、そこでドイツ海軍が用いたのが、輸送船団に多数のUボートが群がり、数日数夜にわたって連続攻撃する群狼(ウルフパック)戦術でした。大規模な輸送船団は50隻〜100隻近くにもなりますが、そこに20隻以上のUボートが群がって片っ端から魚雷攻撃で撃沈することもあったといいますから、まさに羊の集団を襲う狼のようです。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

この“海の狼”という強烈なイメージ、そして一時期ながらイギリスを経済的に追い詰めたという威力によってUボートは伝説的存在となったのです。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

■エニグマ暗号機

この群狼戦術のためには、ドイツ海軍司令部は情報活動で把握した船団の位置を洋上に展開しているUボートに伝えねばなりません。そこで使われたのがエニグマ暗号機です。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

ドラマ第2話で、通信兵曹のフランクが武骨なタイプライターのような機械で受信文を打ち出すシーンがありますが、あれがエニグマ暗号機です。原理は「換字式」で、これは例えば、「BANGER!!!」の全文字を一字だけ後にずらすと「CBOHFS”””」となりますが、エニグマでは巧緻なメカニズムによって一文字ずつ換字数が変化。その変換パターンの総数は最大で60垓(がい)、つまり6,000,000,000,000,000,000,000パターンというから驚愕です。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

ドイツが「エニグマ暗号の解読は不可能」と自負したのも納得ですが、結局、使い方がパターン化したことなどからイギリスに解読されてしまい、群狼戦術凋落の一因にもなっています。ベネディクト・カンバーバッチ主演の『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014年)もエニグマ暗号解読ネタでした。

■海上を進むUボート

さて、劇中では浮上して海上を進むUボートの艦橋で、乗員たちが双眼鏡で周囲を見張るシーンがたびたび登場します。何気ない描写ですが、あれこそがUボートのリアルなのです。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

実は、当時の潜水艦は水上航走が基本でした。と言うのも、戦後に登場した原子力潜水艦をのぞいて、潜水艦の主動力はディーゼル・エンジンなのです。

501「そうりゅう」 出典:海上自衛隊ホームページ(https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ss/souryu/#501-3)

ディーゼル・エンジンを動かすためには空気が必要ですし、排気ガスも放出しなければなりません。そこで普段はディーゼルで水上を航走しつつ蓄電池に充電、敵から逃れるなど必要な時だけ潜水して蓄電池で電気モーターを動かし水中航走するのです。まぁハイブリッド・カーのようなものですね。

『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』©BAVARIA FICTION. ALL RIGHTS RESERVED

この原理は、最新の通常動力型(非原子力)潜水艦でも変わっていません(実はいろんな進歩があるのですが、それは別の機会に……)。『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』で蓄電量を確認する会話が何度かあるのは、そのためなのです。

ちなみに群狼戦術においても、昼間は水上航走で船団を追跡し、夜の闇に隠れて水上航走のまま接近して雷撃、護衛艦に発見された時だけ潜水して離脱する――というのが基本でした。

「くろしお」出典:海上自衛隊ホームページ https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ss/oyashio/

■「ピキ〜ン、ピキ〜ン」

海中に潜った潜水艦を探知するのがソナーです。そう、潜水艦映画でお馴染みの「ピキ〜ン」と響いてくる、あの音です。

あれは「アクティブ(能動的)ソナー」といって、水中に向けて発振した音波が潜水艦の船体に反響して返ってきたエコーで位置を把握するのです。

「くろしお」出典:海上自衛隊ホームページ https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ss/oyashio/

一方、ひたすら“聞き耳を立てる”のが「パッシブ(受動的)ソナー」で、Uボート艦内でヘッドセットをつけた乗員が「後方からスクリュー音!」とかやっているのが、それです。

次回は爆雷や魚雷、そして実在した「U612」についてお話したいと思います。

文:大久保義信

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『Uボート ザ・シリーズ 深海の狼』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年8月放送

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