なぜ『呪怨』は画期的だったのか? 「観るお化け屋敷」で背筋凍る“おうちレジャー”を楽しもう!

なぜ『呪怨』は画期的だったのか? 「観るお化け屋敷」で背筋凍る“おうちレジャー”を楽しもう!
『呪怨 劇場版』
発売元:NBCユニバーサルエンターテイメントジャパン合同会社
価格:Blu-ray 2,500円+税
©「呪怨」製作委員会

■「呪怨の家」に触れてしまった人々をデストロイしていく伽倻子の恐怖!

Netflixオリジナルドラマ『呪怨:呪いの家』(2020年)絶好調記念! ということで、今回は劇場版『呪怨』(2002年)をご紹介。

Netflixで『呪怨』シリーズ初ドラマ化! ドス黒い日本犯罪史とシンクロする恐怖『呪怨:呪いの家』

『呪怨(劇場版)』は、2000年にリリースされたオリジナルビデオ版2作の続編。引き続き、かつて陰惨な殺人事件が起きたとある一軒家(ロケ地も同様)と、何らかの形で「呪怨の家」に触れてしまった複数の人々、そして彼らをデストロイしてゆく伽倻子をパワフルに描く。

■90年代Jホラーの礎「小中理論」を限界突破した“観るお化け屋敷”

『呪怨』の一世代前。90年代のJホラーといえば、Jホラーの礎ともいえる小中千昭脚本の『サイキックビジョン 邪願霊 〜狙われた美人キャスター〜』(1989年)、鶴田法男監督の『ほんとにあった怖い話』シリーズ(1991年〜)や、中田秀夫監督・高橋洋脚本の『リング』(1998年)など。そこでは「小中理論」という方法論が確立され、心霊写真のように輪郭がぼやけた、漠然とした不条理な存在の幽霊=恐怖が描かれていたのでした。

しかし、清水監督が「呪怨」シリーズで提示したのは、「小中理論」とは真逆のもの。「小中理論」的にはタブーであった幽霊の主観視点もあるし、幽霊ナメもある。幽霊が劇中何度もはっきりと全身を晒し、さらには「ああああああ」と声を出して階段を這って降りてくるという荒唐無稽さ! 伽倻子はもはや幽霊ではなく神出鬼没のモンスターともいえるような存在になっていき、「小中理論」を限界突破したのでした。

とはいえ、バンバン現れるといっても「どこで、どうやって現れるのが怖いか?」ということは考え抜かれていて、本作ではシャワー中に髪の中に入ってくる手や、ベッドの中に現れる変態モードの伽倻子、ランチの最中にテーブル下から顔を出すお茶目な俊雄くんなどは、観た者の日常生活までもが歪んでしまうほどなのはご存知の通り。このあたりの徹底した手法は、かのサム・ライミも唸らせ、ハリウッド・リメイク版『THE JUON/呪怨』(2004年)につながり、結果的に実写映画では日本人監督として初の全米興行収入2週連続1位という快挙をもたらします。

ということで、清水監督が確立した<観るお化け屋敷>である『呪怨』。コロナ禍でどこにも行けないこの夏の“おうちレジャー”にはうってつけなのではないでしょうか!

文:市川力夫

『呪怨(劇場版)』はNetflixほか配信中

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