大ヒットの予感!『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 愛の意味を問う少女の無償にして無垢の愛

大ヒットの予感!『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 愛の意味を問う少女の無償にして無垢の愛
公式サイトより

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開されることになった。原作は一応完結していることもあって、この待望の新作アニメがどういう結末を迎えるのかとヤキモキしているファンは多いはずである。戦う武器だったヴァイオレット・エヴァーガーデンの過酷すぎる人生にクロスした、陸軍時代の上官ギルベルト・ブーゲンビリア。ただひたすらギルベルトに愛の意味を問い続けるヴァイオレット・エヴァーガーデンの無償にして無垢の愛は、韓流の有名作品にも負けない壮大なドラマ性をはらんでおり、一刻も早くその行方を確かめたいところである。

■『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の見所

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(以下『エヴァーガーデン』)は2018年にオンエアーされたテレビアニメである。オンエアー当時から人気は高く、2019年に劇場公開されたスピンオフ作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 −永遠と自動手記人形−』は8.3億円もの興行収入を上げた。

このエヴァーガーデンの見所は、大胆な設定と起伏に富んだストーリー、無垢でストイックなキャラクター、息を呑むほど完成度の高い演出・作画が、三位一体となって醸し出す濃厚な世界にある。感動せずにはおられないその展開に魅了されたファンにとって、完全新作となる『劇場版ヴァイオレットエヴァーガーデン』は待ち焦がれた作品であった。

■京都アニメーションという会社

『エヴァーガーデン』という超ハイクオリティ作品が誕生したのは、やはり京都アニメーションというスタジオの存在が大きい。昨年の不幸な事件ではからずも有名になってしまったが、それまではアニメ業界において、理想を追求し続ける孤高の存在(京都という立地もあるが)として知られていた。1981年創業なのでアニメスタジオとしては古い方であるが、妥協を許さない誠実な作品づくりで信用を築き上げ、その結果、2010年代に入ってからは自分たちがつくりたい作品を自分たちのペースでつくれるようになった。

『エヴァーガーデン』の原作も京都アニメーションが主催する「京都アニメーション大賞」の受賞小説であるが、「小説」「漫画」「シナリオ」を募集するこの賞の厳しい審査は有名で、過去10回のなかで大賞を受賞したのは、なんと『エヴァーガーデン』だけである。そうした精選された原作をじっくりと時間をかけてつくり上げるというのが京都アニメーションの根本姿勢なのだ。

■アニメーション業界で最も安定した労働環境を実現

クリエイティブの世界では、通常、自分たちのやりたいことを優先させると経営的に破綻することがしばしばあるが、京都アニメーションがすごいのは、アニメーターを含むスタッフを社員雇用するなど、アニメーション業界では最も安定した人材育成・労働環境を実現していることだ。流動性の高いアニメ業界にあって例外と言えるほど人材が定着しているのは、やはり優れた経営手腕によるものであろう。優れた才能がつくりたい作品をトコトン追求できる京都アニメーションは、ある種理想のスタジオと言えるかもしれない。

■「大ヒット」の予感

現在の京都アニメーションは『エヴァーガーデン』のほか、水泳男子の群像劇『Free!』、吹奏楽に情熱を注ぐ女子高校生の青春劇『響け! ユーフォニアム』の3作品を中心に製作を行っている。全て毛色の違うジャンルでありながらも、真摯な取り組み姿勢は共通しており、そこが京アニファンを引きつけて止まないところであろう。

新作からは一年近く遠ざかっていたが、ようやく『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開されることになった。おそらく、作品に対する期待値はリストにある過去の作品の中でも最大値に近いものと思われる。

今まで最高の興行収入だった映画化作品は『聲の形』(2016年)、そして 映画『けいおん !』(2011年)が続くが、今回の『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』がそれらを上回る大ヒットとなる可能性は十分にあるだろう。

■<京都アニメーション劇場作品リスト>

筆者作成

 

文:増田弘道

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』2020年9月18日(金)より公開

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