ツァイ・ミンリャン監督四部作「台湾巨匠傑作選2020」で上映! 90年代ノスタルジーが溢れ出る初期作を振り返る

ツァイ・ミンリャン監督四部作「台湾巨匠傑作選2020」で上映! 90年代ノスタルジーが溢れ出る初期作を振り返る
台湾巨匠傑作選ツァイ・ミンリャン監督『愛情萬歳』©Central Motion Picture Corp

■台湾新電影(ニューシネマ)時代の幕開け

1980年代初頭、ホウ・シャオシェン監督『悲情城市』(1989年)が第46回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンらと共に台湾新電影時代が始まった。彼らは後に、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクンや中国のジャ・ジャンクー、ビー・ガン、フー・ボーなど、アジアの様々な監督たちに多大な影響を与える存在となる。

1979年に起こった美麗島事件が収束し、新しい時の流れの中にいた台湾新電影と呼ばれる彼らの作品には、日本の同時代の作品とは異なり、独特のさみしさやノスタルジーがあるように思う。彼らがフィルムに焼きつけた雑多で彩度の落ちた台湾の街からは、変わり始めた不安と自由を感じ取ることができるだろう。

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第2作目の『愛情萬歳』(1994年)は、台北の空きアパートにこっそり出入りする3人の男女のお話。アパートの独特な間取りを活かした演出や蛍光灯を使ったライティング。さらに長回しで想像させる演者の表情は、見ていて息をのんでしまう。それらのどこをとっても淀みなくスムースに展開され、最小限の台詞も気にならない。

台湾巨匠傑作選ツァイ・ミンリャン監督『愛情萬歳』©Central Motion Picture Corp

監督は以前、インタビューで「時間というのは存在感であり、無言の時間に意味がある」といった発言をしている。会話の“間”を使って、観客に対して登場人物の心境にこんなにも想像力を働かせられ、魅力的に描写する監督は他にいないのではないだろうか。

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今回はツァイ・ミンリャン四部作のうち2作にフォーカスしたが、近作の『あなたの顔』(2018年)や『あの日の午後』(2015年)など中〜後期の作品についても語り足りないので、またどこかで。

文:巽啓伍(never young beach)

『青春神話』『愛情萬歳』は2020年9月19日(土)より「台湾巨匠傑作選2020」で上映

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