ファンが支えたサミュL主演マザファッカ映画『スネーク・フライト』「映画のタイトルなんてのは分かりやすいほうがいいんだ!」

ファンが支えたサミュL主演マザファッカ映画『スネーク・フライト』「映画のタイトルなんてのは分かりやすいほうがいいんだ!」
『スネーク・フライト』
DVD ¥1,429 +税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
© MMVI New Line Productions, Inc.
© MMVII New Line Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

■「私たちは人間が恐れを感じる2つのものを掛け合わせた!」

……という製作陣の力強いコメント通り、飛行機と毒ヘビという怖いもの二大巨塔が激突。さらにそこに、人類でもっとも「マザファッカ」を巧みに操る男サミュエル・L・ジャクソンが参入して誕生したのが「飛行機内で大量の毒ヘビが放たれマザファッカ!」という奇跡の映画『スネーク・フライト』だ。

サミュエル演じるFBI捜査官ネヴィルは、ハワイで起きた大物マフィア、エディ・キムによる検事殺人事件の目撃者ショーン(ネイサン・フィリップス)を保護した。エディ・キム逮捕には法廷でのショーンの証言が不可欠。そこでネヴィルはショーンを連れてロサンゼルス行きの飛行機の搭乗する。しかし、すべての情報は筒抜け。エディ・キムは証言される前にショーン殺害を画策し、ロス行きの飛行機内で大量の毒ヘビをバラ撒くという豪快な殺害計画を立てる……。

飛行機パニックと動物パニックが奇跡の融合を果たした本作。全体的にとにかくテンポがよく、ヘビは無闇に引っ張ることなく解き放たれ、飛行機内は早々に阿鼻叫喚となる。しかもこのヘビ、なかなかニクいエンターテイナーで、トイレ内でセックス中のカップルを襲うことからはじまり、熟睡中のオバ様の体内を弄ったり、排尿中のイチモツに噛み付いたりとお下劣極まりない襲撃を見せてくれる。さらにヘビのサイズや種類は豊富に取り揃えており、ヘビ同士でも殺し合いが起きていたりするから恐ろしい。

そんなヘビたちに負けじと人間模様も様々。飛行機パニック映画の常で、「早く死なないかなコイツ」と思っていた人間がやたら生き残ってイライラさせたり、逆に「いい人だな」と思っていた人間が速攻でお陀仏したりと、終始目が離せない。そんな中、あたふたしたりリーダーシップをとったりするサミュエルが溜めに溜めて、渾身の「マザファッカ!」を炸裂させる場面で映画のテンションは最高潮に達し、拍手喝采モノだ。

We reenacted all of @SamuelLJackson's most iconic roles in one take. It's glorious. And full of snakes: https://t.co/1ITbVlW24C pic.twitter.com/8D0hNY5e93

— The Late Late Show with James Corden (@latelateshow) March 9, 2017

■製作陣「飛行機内でヘビが出る映画ですけど大丈夫ですか?」サミュL「マジで飛行機でヘビが出る映画なら最高だ!」

しかしまぁ、なんというか、中学生の思いつきをプロが集まって信じられないほどの熱意で作ったような作品なのだが、脚本が書かれたのは1992年。最初の脚本を書いたデヴィッド・ダレッサンドロはタイトルを『Venom』とし、30を越えるスタジオに脚本を売り込んだがすべて跳ね除けられ、2004年になってニュー・ライン・シネマに買い取られた。当初は『チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁』(1998年)や『フレディVSジェイソン』(2003年)で知られる香港出身のロニー・ユーが監督として就任。それを『ケミカル51』(2002年)で仕事を共にしたサミュエル・L ・ジャクソンが聞きつけ、出演を直訴したという。

なんでも、原題である『Snakes on a Plane』というあまりにも直球なタイトルに惹かれ、「マジで飛行機でヘビが出る映画なら最高だ!」と思ったんだとか。そういえばサミュエル、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)のときもルーカスに「ノーギャラでいいから出してくれ!」と直訴したという逸話も……。しかし、サミュエルの勢いのある直訴に制作陣は何かの間違いかジョークかと思ったようで、サミュエル本人に「飛行機内でヘビが出る映画ですけど大丈夫ですか?」と確認を取ったほどだとか。

THIS WEEK! Snakes, a plane and @SamuelLJackson. What else could you possibly need?
This Friday @mockbirdtheatre: https://t.co/gRNdPGaH8a pic.twitter.com/rAfmoimheJ

— Custard Factory (@custardfactory) September 25, 2016

そんなこんなで製作は始まったわけだが、なんと監督ロニー・ユーが降板。『ファイナル・デスティネーション』(2000年)の続編『デッドコースター』(2003年)や『セルラー』(2004年)で手堅い演出を見せた、デヴィッド・R・エリス監督に交代する。さらに『Snakes on a Plane』というバカすぎるタイトルのおかげでやる気を失うスタッフや俳優が続出し、あえなく『Pacific Air Flight 121』という少々スカしたタイトルに変更。ところが、これがニュースになると「いやいや『Snakes on a Plane』って最高でしょ!」とバカタイトルがネタ化し、ネット上では大盛り上がり。フェイク予告編やフェイクポスター、フェイクグッズなどが次々と作られる騒ぎとなり、サミュエル自身もテレビ番組でタイトル変更に反対したりして、結局『Snakes on a Plane』に落ち着いたという経緯がある。このタイトル変更騒動についてサミュエルはのちにこう語っている。

「映画のタイトルなんてのは分かりやすいほうがいいんだ。『フランケンシュタインと狼男』(1943年)とか『フレディVSジェイソン』とかね」

というわけで、メイキングを説明するだけでサミュエルの人となりがわかるし株も爆上がりするという特殊構造を持つ本作。面白い映画は作られた過程もさえも面白いのだ。

文:市川力夫

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