怪作・衝撃作がトロント国際映画祭に登場! マッツがほろ酔い教師に扮する主演作やF・オゾン監督の意外な新作ほか

怪作・衝撃作がトロント国際映画祭に登場! マッツがほろ酔い教師に扮する主演作やF・オゾン監督の意外な新作ほか
©Falling Getty Wire Image by George Pimentel

■規模縮小も“量より質”の「第45回トロント国際映画祭」!

毎年、アカデミー賞の行方を占ううえでも重要な位置を占める、トロント国際映画祭。しかし2020年の第45回は、新型コロナウイルスの影響で大幅に規模を縮小し、9月10日〜19日に開催された。劇場は人数制限し、ドライブインシアターでの屋外上映も活用。記者会見はオンラインがメインで、海外のプレスも上映作品をオンラインで観ることに。作品数も例年300本以上だったが、今年は50本ほど。それでもカンヌなど3大映画祭と違って、毎年、ユニークで強烈な魅力の作品が多いのもトロントの魅力。今年の上映作品から、いくつかの楽しい“発見”を紹介しよう。

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フランソワ・オゾン監督の最新作『Summer of 85』(原題)は、タイトルから想像するとおり切なく胸を締めつける、ひと夏の物語。かつて『おもいでの夏』(原題『Summer of 42』[1971年])という少年と人妻の愛を描いた名作があったように、16歳の主人公が愛する相手を失った夏を回想する形式だ。

■フランソワ・オゾン監督が描くひと夏のボーイミーツボーイ物語『Summer of 85』

『Summer of 85』courtesy of TIFF

オゾンの映画なので、ボーイミーツボーイなのだが、これまでクセの強い作品が多かったオゾンにしては、珍しくピュアなテイスト。クライマックスでは思わず号泣してしまう人も多いのでは? 背景となる1985年のカルチャーもそこかしこで絶妙なノスタルジー効果を発揮し、とくにロッド・スチュワートの名曲「セイリング」の使われ方が……最高すぎ! オゾンなので日本での公開は確実だろう。

■マッツ・ミケルセンがほろ酔いダメ教師を熱演!?『Another Round』

日本でも根強い人気を誇る、マッツ・ミケルセンの新作もトロントで上映。マッツが第65回カンヌ国際映画祭で男優賞に輝いた『偽りなき者』(2012年)のトマス・ヴィンターベア監督と再タッグを果たしたのが『Another Round(みんなでもう一杯)』(原題)。

『Another Round』courtesy of TIFF

マッツが演じる高校教師はスランプ気味で、生徒たちからの信頼もゼロ。あるとき、人間は血中のアルコール濃度をつねに0.05%に維持するべきという理論を信じた仲間の教師とともに、彼はつねにホロ酔い状態で過ごすことになる。そうしたら授業も面白くなり、家族関係もいい方向に改善! コメディとシリアスなドラマの不思議な融合でみせる、これまた斬新な味わいの一作。なぜか主人公はジャズバレエを習っているという設定で、劇中で披露するマッツのダンスに、彼のファンは萌えまくることでしょう。

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■ヴァネッサ・カービーがいきむ! アカデミー賞も射程圏内 『Pieces of a Woman』

直前に開催されたヴェネツィア国際映画祭での話題作が、引き続きトロントで上映されるのもひとつの流れ。第77回ヴェネツィアの金獅子賞(グランプリ)の『ノマドランド』も上映されたが、女優賞に輝いた『Pieces of a Woman(ある女性のいくつかの断片)』(原題)では、主演ヴァネッサ・カービーの演技が凄まじいばかりだった。

『Pieces of a Woman』courtesy of TIFF

ヴァネッサといえば、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)などで知名度が急上昇中。この作品では、死産を経験したヒロインが心の深い傷と闘いながら、助産師の責任を問う裁判に踏み出す。かなりシリアスな内容だが、破水から出産までの約30分、陣痛で苦しみ悶える姿を、長いワンカットも使って、これでもか、これでもかと見せていく。まさに限界点の演技で、これは年に何度も出会えるものではない。監督が『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)』(2014年)のコルネル・ムンドルッツォと聞けば、ソソられる人もいるのでは? この作品は世界配給権をNetflixが獲得。アカデミー賞も射程に入った。

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■まるで『パラサイト 半地下の家族』みたいな富裕層と貧困層の大逆転劇『New Order』

ヴェネツィアで『スパイの妻』(黒沢清監督)と同じ銀獅子賞を受賞(こちらは審査員グランプリという扱い)した、メキシコ映画の『New Order(新しい秩序)』(原題)もショッキングだった。『パラサイト 半地下の家族』(2019年)のバージョンアップ版と言ってもいい、富裕層と貧困層の大逆転劇が壮絶なアクションも盛り込んで展開していく。

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©Falling Getty Wire Image by George Pimentel

取材・文:斉藤博昭

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