命がけで夢を追いかけた女性たちの物語!『パピチャ 未来へのランウェイ』が描く内戦下のアルジェリアの青春

命がけで夢を追いかけた女性たちの物語!『パピチャ 未来へのランウェイ』が描く内戦下のアルジェリアの青春
『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION - THE INK CONNECTION - TAYDA FILM - SCOPE PICTURES - TRIBUS P FILMS - JOUR2FETE - CREAMINAL - CALESON - CADC

■内戦が激化するアルジェリアで夢を追いかけた女性たちの物語

学生寮を密かに抜け出して夜の街に繰り出す若い娘たち。わくわくしてしまう物語の幕開けだが、すぐにそれが本気で命の危険を伴う行為だということがわかり、ぞわっと寒気がする。『パピチャ 未来へのランウェイ』の舞台は、アルジェリアの首都アルジェ。内戦が激化し、アルジェリアの“暗黒の10年”と呼ばれることになった90年代だ。イスラム原理主義者が台頭し、女性に対する行動の制限がどんどん厳しくなっていく日々に、ファッションが大好きな大学生のネジュマはデザイナーになることを夢見て、ナイトクラブのトイレで自作のドレスを販売しているのだ。

10月11日は「国際ガールズ・デー」! 今秋〜冬公開の最先端の注目“ガールズムービー”を一挙紹介!

根深い性差別を突きつける『82年生まれ、キム・ジヨン』 共感と反発を引き起こした大ベストセラー小説の映画化!

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

■90年代の“共感”を覚える舞台設定と、思わず拒絶反応を起こす“理不尽”な描写

携帯電話とインターネットが登場しない、90年代(おそらく前半)の青春物語である。彼女たちの日常は、ノースリーヴのトップスにジーンズの出で立ちで遊びに出かけたり、欧米のポップミュージックで踊ったり、絵を描いたり服を作ったり、日本で過ごしていた自分たちと共通する部分も大きい。そういった楽しい時間だけでなく、道端でナンパしてくる男がウザいなんて嫌な経験も同じだ。にもかかわらず、彼女たちが経済的に自立して生きていく道は極端に狭いし、銃を持ってあたりをうろつく男たちのあからさまな暴力に晒されてもいる。「身に覚えのある経験」と「理不尽」を同時に見せられてクラクラしてしまう。

こんなことを世界が許すなんて……戦地シリアでカメラが映し出す 地獄と希望『娘は戦場で生まれた』

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

近年は女性に対する性差別を糾弾する作品でも、「男性もまた歪んだ社会構造の被害者なのだ」という視点を含んだ作品が増え、評価される傾向にある。しかしこの作品には、そうした「男性への温情」のようなものが入り込む余地はない。ここまで不公平で残虐なことが行われていたら、「こんなシステムに安穏として乗っかっている男はみんな信用ならない」となるのも当然だと思う。監督の関心はむしろ性差別的な価値観を内面化した女性たちに向かい、それによって差別問題は単純な男女の対立ではないのだということが示される。そうして個人の自由を認めない強権と、大局に従ってしまう人間の恐ろしさが伝わってくるのだ。

タリバン支配下、その少女は少年になった『生きのびるために』 アカデミー賞ノミネート作

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

■主演リナ・クードリはウェス・アンダーソン監督に抜擢され最新作でティモシー・シャラメと共演!

好きな服を着ることすら不謹慎とされるとあっては、ひとりの力で状況を劇的に好転させるのは難しい。そんな逆境においてさまざまな女性たちが共に過ごし、支え合う姿がこの映画の見どころだ。主演のリナ・クードリは見事な卵型の顔をしていて、たいへんかわいらしい。ウェス・アンダーソン監督に抜擢され、新作『The French Dispatch(原題)』でティモシー・シャラメと共演しているというのも納得だ。

「女は台所にいろ」へのアンチテーゼ。スケボーは武器 『スケート・キッチン』インタビュー

ネジュマの親友ワシラを演じるシリン・ブティラも往年の宮崎萬純みたいな美人だなあと思ったら、YouTubeチャンネル登録者数56万人超、Instagramフォロワー数230万人超のヨーロッパで人気のインフルエンサーなのだそう。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Je vous en parle depuis tellement longtemps de cette marque, ça fait au moins 3 mois que je vous bassine avec sans que vous puissiez la tester ! Et ben ça y est, la marque @olehenriksen est enfin disponible chez @sephorafrance ! C’est devenu ma routine soin : la gamme truth, riche (genre super riche) en vitamine C qui permet cet effet bonne mine et surtout lumineux, c’est la gamme du glow! Je sais qu’y en a certaines qui se sont pris des produits suite à mes stories, dites moi ce que vous en pensez alors ? C’est pas une folie ! Si je devais en choisir un je vous dirais le banana bright eye contour (le petit pot sur la photo), une folie !! Ça redonne de l’éclat au regard, ça hydrate et ça camoufle légèrement les cernes. Ps : vous remarquez, svp, l’effort fourni pour la mise en scène des produits ! 😂.. c’était hier il faisait gris, j’ai tout préparé et j’ai attendu soleil le soleil, du coup je tapais plein de sprint pour l’avoir à temps..

Shirine Boutella(@shirineboutella)がシェアした投稿 –


監督はこの映画について、「数年にわたって起こったことを、わずか数週間の時間軸に詰め込みました」と語っている。クラブでキラキラしたドレスを着てみんなで踊っていたところから、不条理な規範に従わないという理由で銃口を向けられるところまで、数週間でも数年でも「あっという間」だ。日本の場合、宗教原理主義の勢力こそ諸外国に比べて特別強いようには見えないが、政権は相変わらず身内ばかりを優遇して市民からの批判を封じ込め、ますます全体主義的な方向に向かっているように感じる。この映画に描かれた女たちの静かな闘いは、決して他人事ではない。

『パピチャ 未来へのランウェイ』© 2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS – JOUR2FETE – CREAMINAL – CALESON – CADC

文:野中モモ

『パピチャ 未来へのランウェイ』は2020年10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開

関連記事(外部サイト)