世紀の珍大統領はなぜ生まれたのか? Netflix『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』はその支持基盤となった貧困層の現実を学べるマイルドな入り口

世紀の珍大統領はなぜ生まれたのか? Netflix『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』はその支持基盤となった貧困層の現実を学べるマイルドな入り口
Netflixオリジナル映画『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』独占配信中

■アメリカの繁栄から取り残されたド田舎の貧困白人たち

僕のやっているバンド、ミツメは過去に2回アメリカに行きライブをしたことがある。その時に出会った人たちとは、今もSNSで繋がっている。2016年にトランプ政権が誕生した時、彼らの動揺が大きいことは投稿から伝わってきた。それがきっかけでアメリカの抱える問題について関心を持つようになった。

僕たちが行ったのはロサンゼルス、ニューヨーク、テキサスで、地域によって全然雰囲気が違うなと思っていたが、のちのち自分が見たのはアメリカのほんの一部なのだと分かった。

 

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ドナルド・トランプが大統領に就任した際、彼のどんなところが、どんな有権者に響いたのか、という問いに対して、一つの説得力ある答えとして挙げられたのが、Netflix『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』の原作、J・D・ヴァンスのベストセラー回顧録「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」だったそうだ。

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Netflixオリジナル映画『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』独占配信中

ヴァンスが抱える問題は彼自身のせいではないが、母親が問題を起こすようになったのも本人だけに原因があるとは言い切れず、地域の貧困によってもたらされた部分もあったのではないか。そんな社会問題の根深さとのつながりが、シーンを追うごとに明らかになっていく。そしてヴァンスの一家は現在どうなっているのか、という所まで知らされて物語は終わる。

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劇中に分かりやすい描写はないが、ヴァンスが育ったのはアメリカの社会や政治に対する怒りが醸成される土壌があるということは伝わってきた。それでも僕には、自分と周囲の限られた人々のためだけに他者を退けることを声高に叫ぶ人に対して、1ミリも共感はできない。ただ、そこにどういった背景があるのか? ということを知る、一つの入り口としては良い映画だと思った。

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Netflixオリジナル映画『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』独占配信中

文:川辺素(ミツメ)

『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』はNetflixで独占配信中

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