女優クローディア・キムが分析。『ファンタビ』を読み解く“キーワード”とは?

『ファンタスティック・ビースト』出演・クローディア・キムが役柄などを語る

記事まとめ

  • クローディア・キムは『ファンタスティック・ビースト』でナギニを演じている
  • クローディアは『アベンジャーズ』、『ダーク・タワー』などにも出演
  • 「私にこの役が務まるのだろうか?」と疑問を抱くこともあったと振り返った

女優クローディア・キムが分析。『ファンタビ』を読み解く“キーワード”とは?

女優クローディア・キムが分析。『ファンタビ』を読み解く“キーワード”とは?

クローディア・キム

ハリー・ポッター”シリーズの原作者J・K・ローリングが脚本を手がけている映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』が日本でも大ヒットを記録している。本シリーズは“ハリー…”と同じ世界観を共有しており、新作には後にハリーの宿敵ヴォルデモートと行動を共にする巨大な蛇“ナギニ”が人間の姿で登場する。ナギニを演じたクローディア・キムは決して“メイン”ではないこの役を丁寧に演じることで、ローリングや監督の想いを見事に体現し、ハリポタとファンタビを深く読み解く重要なキーワード“アウトキャスト(のけ者・追放された者)にたどり着いたようだ。

本シリーズは、ハリポタよりも前の時代が舞台で、魔法動物学者のニュート・スキャマンダーたちと、人間界と魔法界の両方を牛耳ろうと企む“黒い魔法使い”グリンデルバルドたちの争いが物語の主軸に据えられている。本作に登場するナギニはまだ人間の女性の姿をしており、グリンデルバルドの信奉者クリーデンスと行動を共にする。

クローディアは近年『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』や『ダーク・タワー』など大作への出演が続いているが、ファンの間でよく知られているナギニを演じることになり「本当に私にこの役が務まるのだろうか? と疑問を抱くこともあった」と振り返る。「でも、いただいた脚本を読むと本当に素晴らしい役なんです。J・K・ローリングが創作した役だというだけで特別なものですし、ナギニは恐ろしい蛇ではあるのですが『ハリー・ポッター』シリーズの中では重要な役ですよね? ですから、ナギニを演じられる、まだナギニの物語がこれからも続いていくと思うだけで楽しみになりました」

しかし、ナギニはニュートやグリンデルバルドのように物語の中心にいるキャラクターではない。「役を演じる上で、私に与えられた情報は限られたものでしたが、想像力をかきたて、デイヴィッド・イェーツ監督と何度も話し合いをして演じていきました。おそらくですが、ナギニはインドネシアのジャングルにいたところをさらわれ、サーカスに囚われている状態で、その場から逃げるだけの力はあるけれども、逃げようとしない女性として登場します」

クローディアの話を聞くとナギニは深い哀しみと孤独を抱えていることがわかる。「しかし、彼女はクリーデンスに出会って希望を見出すわけです。クリーデンスも弱くて、はかない部分があります。しかし、ふたりはお互いを必要とするようになり、ナギニは初めて“自由”を感じます。ナギニが人間の姿でいられる時間には限りがあり、いつ完全に蛇の姿になってしまうのかはわかりません。でも、彼女はクリーデンスに希望を託し、ふたりは心の深い部分でつながっているのだと思います」

傷つきやすく、自身の中に潜む魔力を抑え切れないまま孤独に生きるクリーデンスと、哀しい運命を背負ったナギニの関係は“恋愛”とも“連帯”とも違う独自のものだ。「そうですね。おそらくロマンスを超越した関係なのでしょう。というよりも、ふたりとも愛がどういうものなのかわかっていないので、相手をどのように愛していいのかわからないのです。ナギニはクリーデンスに対して、自分を信頼してほしいと願っていますけど、それは強制できるものではないですし、心から彼を大切にし、必要だと思うのであれば、いつかは彼を手放さなければならないかもしれない……考えれば考えるほど複雑な関係ですね(笑)」

イェーツ監督もクリーデンスとナギニにドラマに魅力を感じているようで、完成版ではカットされたが、クリーデンスとナギニのシーンは数多く撮影されたという。「ふたりが盗んだパンを一緒に食べるシーンや、ナギニの身体の一部が蛇に変化する瞬間をクリーデンスが目撃して彼が変化した部分を手にとってキスする場面、サーカスから逃げ出したふたりが屋根裏部屋で共に朝を迎える場面も撮影しました。監督は『結果的にカットしてしまったけど、僕はとても大好きなシーンだ』と言っていましたから、ブルーレイの特典で復活するといいですね!」

華麗な魔法を使うわけでも、手に汗握るアクションを披露するわけでもないが、過酷な運命を背負ったクリーデンスとナギニが寄り添って行動する場面は、観客に忘れられない強い印象を残す。クローディアは「J・K・ローリングはいつも、物語の脇で“受け入れられない人たち”を描いている」と分析する。「ハリー・ポッターもファンタスティック・ビーストもそうですが、彼女はメインの役どころでない位置に“アウトキャスト(のけ者・追放された者)”を配置し、彼らがどこかに受け入れられたり、自身の存在を求められたり、自身の進むべき道に迷うドラマを描いてきました。そして、本シリーズでもそうですが、物語の中心にいるニュートたちとアウトキャストが交わってストーリーが進んでいくところがユニークだと思います。この物語に登場するキャラクターはみな困難を抱えていて、それを乗り越えて自己を探求しようとしています。そして、まだ自分の居場所を見つけられていない人物も誰かと深い関係性を築いて、お互いに寄り添って一緒に居場所を探していくのです……それは本当に美しいと思います」

ナギニは単に『ハリー・ポッター』シリーズとの“つながり”を示すために登場したのではなく、本シリーズの深い部分に置かれた重厚な人間ドラマを描くために新たに登場したようだ。

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

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