名手たちの意地とプライド 本気のピアノフェス

名手たちの意地とプライド 本気のピアノフェス

仲道郁代 撮影:源賀津己

仲道郁代が芸術監督として主宰する、その名も「仲道郁代ピアノ・フェスティヴァル」(7月14日(日)・東京芸術劇場)は昨年に続く2回目の開催。今年も、仲道郁代、横山幸雄、菊池洋子、實川風、松田華音、藤田真央と、若手からベテランまで、6人の実力派ピアニストたちが、2台&5台ピアノで超絶技巧の妙技を繰り広げる。このメンバーが一堂に会して5台のピアノを鳴らす、その壮観な様子を想像するだけでもわくわくするではないか。「全員がぴたりと揃うキレと、それぞれが絡み合う時の凄みは、ピアニストでもめったに体験できない新しい感覚のサウンド。去年最初に5台で合わせた時は、鳥肌が立ちました」

普段お目にかかる機会がない5台ピアノの合奏。第一線で活躍するピアニストたちにとっても難物なのだそう。演奏するのは《美しく青きドナウ》や《トルコ行進曲》などおなじみの名曲ばかり。しかし、「せっかくこれだけのメンバーが集まるのだから、みんなが本気を出さないと弾けないような編曲を選びました。だから大変で、去年の出演者のひとりは、これは“参加”じゃなくて“参戦”だと言っていました(笑)。ピアニストが技を掛け合わせたとき、これほどまでにエキサイティングなサウンドが生まれるのか! と私たちも驚いています。この面白さをぜひ“体験”していただきたいです」

コンサート前半は2台ピアノ。モーツァルトの《2台ピアノのためのソナタ》を、1楽章ずつふたり×3組が交代で弾いたり、《白鳥》(サン=サーンス)や《だったん人の踊り》などの名曲が並ぶが、こちらもまた、よく知った名曲でピアニストによる個性の違いを楽しめる、というだけではない。「2台ピアノならではの複雑な音の妙技。ピアノの音の華麗さ、色気、色彩を堪能してほしい」

ピアノという楽器のポテンシャルは、洗練されたピアニズムを持ち寄って2台、5台で奏でると、いったいどこまで広がるのか。その極みに挑戦するのがこのピアノ・フェスティヴァルの意図だという。ピアニストたちの意地とプライドをかけた本気のエンターテインメントだ。開演前には「ピアニスト・クロストーク」があり、6人全員が舞台に出て、あらかじめ募集した同じ質問に答える。「来ていただいて、つまらなかったとは絶対に言わせない」と自信に満ちた意気込みを語る仲道。間違いなくスペシャルなコンサートになりそうだ。

取材・文:宮本明