初主演映画で悪役レスラーを演じた新日本プロレス・棚橋弘至を直撃!「実はベビーよりもヒールのほうがエネルギーを使うんです」

初主演映画で悪役レスラーを演じた新日本プロレス・棚橋弘至を直撃!「実はベビーよりもヒールのほうがエネルギーを使うんです」

棚橋弘至(たなはし・ひろし) 1976年11月13日生まれ、岐阜県出身。41歳。99年に新日本プロレスに入門。同年デビュー。得意技はハイフライフロー、スリングブレイドほか。趣味は読書、ゲーム、仮面ライダー。特技はエアギター

「G1 CLIMAX28」を制したばかりの"100年にひとりの逸材"がスクリーンでも主役に!

21日公開の初主演映画では、ケガで悪役転向を余儀なくされた元エースを熱演。現実のマット上でも世代交代の波に抗い続ける「プロレス界のエース」棚橋弘至(たなはし・ひろし)を直撃した!

* * *

――今回の初主演映画では、ケガのために悪役転向を余儀なくされた元エースレスラー・大村孝志を熱演。境遇や世代など、感情移入する部分も多かったのでは?

棚橋 そうですね。今、新日本プロレスはオカダ(・カズチカ)、内藤(哲也)、ケニー(・オメガ)など若い選手がどんどん台頭してきていますし、僕もここ数年はコンディションが悪く、ケガで欠場することも多かった。時代がどんどん進んでいる感じもあって「この大村孝志って、俺じゃん」って思ったりもしました。もう自分の分身のような(笑)。

――普段はベビーフェイスの棚橋さんが、ヒール役を演じる上で気をつけたことは?

棚橋 僕も若い頃、ブーイングをもらっていた時期があるのでわかるんですが、悪役というのは怒りとかいらだちとか、そういったテンションを常に維持することがすごく大事なんです。

最初に悪役が元気よく入場してきても、リングに上がってフッと気を抜いちゃったら、それだけでお客さんのテンションが下がってしまう。実はレスラーとしてはベビーフェイスよりもヒールのほうがエネルギーを使うんですよね。

――本作には棚橋さん以外にも数多くの新日本プロレスのレスラーが出演されています。棚橋さんから見た、注目レスラーを教えてください。

棚橋 やっぱり田口(隆祐[りゅうすけ])演じるギンバエマスクですね。田口はもともと顔のつくりが阿部 寛さんに似ていて二枚目なんですけど、演技の迫力も相当ですよ(笑)。

共演した木村佳乃さんが彼をプロレスラーとは思わず「あの方はどこの俳優さんですか?」と言ったというエピソードがあるぐらいで。実際に演技を見た上で木村さんから「あなた、役者に向いてるわよ」ってお墨付きをもらっていましたからね。僕はもらってないのに(笑)。

――主演の棚橋さんとしてはちょっと悔しかったり?

棚橋 悲しかった(笑)。でも、それが僕の伸びしろなんで。ともあれ、田口の演技は要チェックですね。

――さて、実際のリングのほうでは3度目のG1制覇、おめでとうございます! これまでの優勝とはまた違う喜びがあったのでは?

棚橋 07年の初優勝はこれからどんどんトップに上がっていくぞというポジションでしたし、15年も大本命のなかで獲(と)った感じがありました。でも、今年は優勝候補に僕の名前を挙げる人はほとんどいなかったですし、ファンやマスコミからも「棚橋はちょっとコンディションがよくないからな」と見られていました。それを覆しての優勝なので「見たか、この野郎」という気持ちはあります。

――現在41歳。一部では「棚橋は新日本を立て直した功労者なんだから、もうそろそろ休んでも......」という雰囲気があるのも事実です。今回の映画でも世代交代がひとつのテーマになっていますが、棚橋さんはそういう雰囲気をどのように自分のパワーに変えているのでしょうか?

棚橋 ケガもありますし、若いときと同じように体を動かすことは正直、難しいです。でも、そういう自分の体を受け入れて、今できる技、できる戦略で戦えばいい。

今年のG1でいうと、ほかの選手ができないやり方で1試合1試合にテーマを残すということを考えました。これだけ試合数が多くなってくると、どうしてもファンの記憶に残らない試合も出てきます。それでも公式戦9試合、対戦相手ごとに自分なりのキーワードを設定して、そこに何を残すかという勝負を自分に課しました。やみくもに勝ち星を拾っていくだけではファンも納得しませんから。

仮にひとつひとつの攻防に派手さがなかったとしても、試合に込める熱量はほかの選手よりも高めに設定しようと。

――そのように戦いにテーマを見つけることが棚橋さんはとても上手だなと普段から見ているんですが、そうした考え方はキャリアを積み重ねる上でできるようになったのか、それとも昔から得意だったのか。どちらですか?

棚橋 う〜ん、これはやっぱりキャリアを重ねて、ひたすら考えて身につけるしかない。そうしたなかで僕は、批判を恐れないということがすごく大事だと思うようになりました。やっぱりプロレスラーは波風立てたほうが面白いんですよ。賛否両論あって本物、というのが僕のモットーなので。

――確かに棚橋弘至はいまだに波風立てまくりですからね(笑)。

棚橋 以前、泉谷しげるさんのインタビューで読んだんですけど「テレビに出る人間っていうやつはよぉ」っていうあの独特のしゃべり方で「見てるやつのよぉ、不平不満を受けなきゃいけねえんだ。人前に出るっていうのはそういうことだ」っていうことを言われていて。あぁ、これはプロレスラーも一緒だな、と思いました。

■『 パパはわるものチャンピオン』
2018年9月21日(金)より全国ロードショー
棚橋演じる大村孝志はかつては団体のエースレスラーとして活躍していたが、膝に大ケガを負って以来、世代交代の波にのまれ、今は"ゴキブリマスク"としてブーイングを浴びる日々。理想と現実のはざまで葛藤する大村は、自らのプライドと愛する家族のために最強のチャンピオンに挑む。

出演:棚橋弘至 木村佳乃 寺田 心 仲里依紗ほか。原作:『パパのしごとはわるものです』『パパはわるものチャンピオン』。作:板橋雅弘 絵:吉田尚令(岩崎書店刊)。監督・脚本:藤村享平。主題歌:高橋優『ありがとう』(ワーナーミュージックジャパン/unBORDE)。詳細は公式サイトをチェック!

配給:ショウゲート (C)2018「パパはわるものチャンピオン」製作委員会

取材・文/中溝康隆 撮影/下城英悟 スタイリング/小林洋治郎(Yolken) ヘア&メイク/山田みずき

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