松坂桃李インタビュー てんと藤吉のような遠距離恋愛は「妄想の中ではうまくいくけど…」

松坂桃李インタビュー てんと藤吉のような遠距離恋愛は「妄想の中ではうまくいくけど…」

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10月2日(月)より放送がスタートするNHK連続テレビ小説『わろてんか』は、明治後期から昭和初めの大阪を舞台に、主人公・藤岡てん(葵わかな)が小さな寄席経営を夫婦ではじめ、日本で初めて「笑い」をビジネスにした女性と言われるまでになる姿を描いた物語。

本作で、てんの夫・北村藤吉役を演じるのが俳優の松坂桃李。自身を知ってもらうきっかけになったという『梅ちゃん先生(2012年)』以来、5年ぶりに"朝ドラ"に帰ってきた松坂が、『わろてんか』の現場で感じていることや、本作のテーマでもある「笑い」とは自分にとってどんな存在であるかを語ってくれた。

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■5年ぶりの"朝ドラ"で気づいたこと

ーー『梅ちゃん先生』以来、5年ぶりの"朝ドラ"出演ということですが、”朝ドラ”の現場に久しぶりに帰ってきたお気持ちはいかがですか?

松坂:改めて、この現場は難しいなと感じています。次々と台本が出来上がるので、その中で、1日1日心の準備みたいなものをしていかないと乗り遅れてしまう。”朝ドラ”ならではの難しさですね。


ーーご自身の中で『梅ちゃん先生』のときとは、変わった部分などはありますか?

松坂:5年前の『梅ちゃん先生』のときは、とにかく無我夢中で、自分のことに精一杯で。監督やプロデューサーさんがサポートしてくださっていたおかげで、やってこれていたんだなとつくづく思いました。今は、その頃に比べると少しだけ視野も広がってきた気がします。


ーー心に余裕が持てるようになったのですね。

松坂:はい。当時は気づくことができなかったスタッフさんの動きなども見えるようになってきました。同時に、細かい部分まで見えるようになったからこそ、”朝ドラ”というのは、全員がこれだけの力を結集しないと完成し得ない作品なんだということも痛感しています。非常に大きなことをやってる現場だということを、日々感じていますね。


ーーヒロイン・藤岡てん役の葵わかなさんは、まだ10代。初めての”朝ドラ”出演ということでも、まさに『梅ちゃん先生』のときの松坂さんと同じような心境かもしれません。

松坂:そうだと思います。最初は、葵さんの中でも「しっかりしなきゃ!」という意識が大きかったせいか、現場でもわいわいお話するというより、役に取り組むことに一生懸命という感じで。


ーー3ヶ月の撮影を経て、葵さんの印象は変わりましたか?

松坂:役に真摯に向き合う姿勢は変わりませんが、キャストやスタッフのみなさんともだんだんと打ち解けていって、周りが見えるようになってきた気がします。いつもにこにこしていて、非常に可愛らしい方ですね。


■遠距離恋愛は「妄想の中ではうまくいくけど…(笑)」

ーー松坂さんが演じる北村藤吉は、「お笑いの道で一番になりたい」という気持ちから、様々な芸にチャレンジしますよね。役作りとして、芸事の練習などもされたのですか?

松坂:藤吉は、お笑いが大好きで、日本一のお笑い芸人になりたいという大きな夢を持っていますが、いかんせん才能がない(笑)。なので、監督からは「そんなに上手くできなくていいよ」と言われたのですが、ある程度できないと絵にならないと思って練習しました。


ーー上手くできすぎて、NGが出てしまったことなども…?

松坂:残念ながら、ないですね(笑)。


ーー失礼しました(笑)。具体的には、どのような芸事をされたのですか?

松坂:手品だったり、イノシシの被り物をかぶって舞台で走りまわったり、本当にたくさんのことをやらせていただきました。とくに驚いたのは、太神楽といって、傘の上に升を乗せてコロコロと転がす芸。それをやると聞いたときは、さすがに「いや、無理です。できません…」と言ってしまいました(笑)。


ーー高度な技術が必要そうです…。

松坂:今はもう、(芸事のシーンの撮影は終わって)藤吉は裏方にまわったので、芸人さんたちが芸事をやっている姿を「あ?大変だなぁ(にっこりと微笑みながら)」と思って見ています(笑)。


ーーひとまず安心ですね(笑)。

松坂:ただ、そういった芸事を通して、藤吉のお笑いが好きだという思いは身をもって感じることができました。自分から無理やり役作りをするというより、藤吉がやってきたことを同じようにやってみることで、自然と藤吉という人物像を、自分の中に落とし込むことができたのかなと思います。


ーーなるほど。松坂さんが思う、藤吉の魅力とはどんなところだと思いますか?

松坂:藤吉は、気持ちのぶつけ方がまっすぐな人。思いがストレートに伝わってくるので、そこがシンプルで良いですよね。てんちゃんと結婚したあとも、細かいことや、後先のことを考えずに突き進みますが、そういうところがかっこいいなって。


ーー男性として憧れてしまうような?

松坂:はい。僕は大きいことは、怖くてできなかったり、言えなかったりすることも多いので、藤吉のような人には憧れます。何もかもはねのけていける強い勇気を持っているのは、藤吉の魅力です。


ーーそんな藤吉が惹かれていく、てんの魅力とはどんなところだと思いますか?

松坂:やっぱり笑顔。てんちゃんの笑顔は、無意識的に「この子をもっと、もっと笑わせたい」と思わせるような笑顔で。ほかの人たちも、そういうてんちゃんの吸引力に引かれて、集まってくるんです。


ーー「てんを笑わせたい」と思った藤吉は、離れている間も、その気持ちを手紙で伝え続けますよね。

松坂:手紙にはその人の気持ちを、色濃くする力を持っていると僕は思っていて。手紙で気持ちを伝え続けたからこそ、2人は再会したときに恋に落ちたんだろうなと思いました。


ーーちなみに、松坂さんは藤吉のようにまめなタイプ…?

松坂:…ではないです(笑)。


ーーメールの返信なども怠ってしまったりしますか?

松坂:はい……(笑)。マネージャーさんからもよく怒られます。「このアンケートまだですか?」「いま、やってます…」「3日前にも言いましたよね?」ということもよくあります。30歳になる人間が、"ホウレンソウ"もできていないなんてダメですよね(笑)。


ーーてんと藤吉のような遠距離恋愛は難しそうですね(笑)。

松坂:自分の妄想の中では、うまくいくんじゃないかと思うんですけれど…(笑)、どうなんでしょう?現実では難しいかもしれませんね(笑)。


■「笑い」は"心の薬"みたいなもの

ーー『わろてんか』のテーマでもある「笑い」。松坂さんにとって「笑い」とは、どういったものですか?

松坂:僕は「笑い」は心の薬みたいなものだと思っています。嫌なことや辛いことがある中で、笑えることがあると、ぐるぐるした気持ちがとってもスッキリするというか…明日に気持ちが切り替わるというか。悩んでいる現状だったり、抱えている現状を、笑いが一瞬にして、どこかへ持っていってくれるんです。


ーー実際に、松坂さん自身もそれを感じることはありますか?

松坂:『わろてんか』の現場でも、まさに笑いの力を実感しているところです。収録が押していて、現場の雰囲気がピリピリするときがあるのですが、そこに少しでも笑いがあるだけで、「よし頑張ろう!」と前向きになれたり、皆の気持ちをやわらかくしてくれたりする。


ーー「笑い」の力は偉大ですね。

松坂:てんちゃんと藤吉は、きっと「笑い」で多くの人を救いたいんだと思います。みんなの心の医者になろうとしているんです。


ーー素敵なお話ですね。最後に、放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

松坂:ここまでストレートに「笑い」をテーマにしたドラマは、今までにも、そしてこれからもあまりないような気がします。毎朝、1日のはじまりに『わろてんか』を観てひと笑い、ニヤリでもいいので笑っていただきたいです。そして、偉大な“笑い”の力を味わってください。

Photography=Mayuko Yamaguchi/Styling=Shogo Ito/Hair&Make-up=AZUMA/Interview=Ameba


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