「手応えを強く感じられた現場」役所×松坂『孤狼の血』広島・呉で緊迫の10時間撮影現場レポ

「手応えを強く感じられた現場」役所×松坂『孤狼の血』広島・呉で緊迫の10時間撮影現場レポ

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役所広司が主演を務め、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督がメガホンをとる2018年春公開の映画『孤狼の血』。5月某日、広島・呉で行われた撮影現場に密着した。

「警察小説」× 仁義なき戦い と評される柚月裕子原作のミステリー小説『孤狼の血』は、昭和63年の広島を舞台とした警察、あるいは暴力団という組織にいながらも"誇り"を賭けて生々しく、荒々しく生きる男たちの物語。暴力団との癒着を噂される刑事・大上章吾役を役所広司、大上とタッグを組む若き刑事・日岡秀一役を松坂桃李、クラブリコのママ・高木里佳子役を真木よう子、五十子会の組長を石橋蓮司、尾谷組の若頭・一之瀬守孝役を江口洋介が演じる。

この日の撮影は、本作の紅一点である真木よう子が営む「クラブリコ」での一幕で、尾谷組の縄張りに、対立する五十子会の組長である石橋らが乗り込んでくるという一触即発のシーン。役所広司、松坂桃李、真木よう子、石橋蓮司、江口洋介とメインキャストらが顔を揃えた。

まず、目に入ったのは「クラブリコ」のママ役である真木の着物姿だ。艶やかなベージュの着物に身を包み、薄めのメイクを施した真木は妙に色っぽい。所作の美しさも目を引くものだった。

そして、役所、江口と席に着く松坂が、頭に血の滲む包帯を巻きつけていたのも印象的。一番年下である松坂はカットがかかった後も、セリフをぶつぶつと呟いており、その真剣な表情はまさに若き刑事・日岡がそこにいるかのようである。

白石監督はリハーサルはもちろん、エキストラへの細かい指導も自ら現場の中心に立って行う。白石組らしく”エロ”を含んだ雑談をキャストたちと挟むこともあり、その笑い合う様子からは監督とキャストの距離が近いことが分かる。

しかし、笑い合ったのも束の間。本番に入ると、全員の顔立ちが変わった。「ここから戦いが始まるかのような、少しでも引いたら負けという緊迫感がありました。それぞれの組織が対立する縮図のようなシーンでした」と江口が語るように、現場は一瞬の油断も許さないような張りつめた空気に。息を止めてしまうほどに研ぎ澄まされた空間での撮影は、およそ10時間にも及んだ。

撮影の合間にインタビューに応じた役所は「楽しかったですね。白石監督も終盤に差し掛かるにつれて(撮影が)粘り強くなってきて、現場が深夜までかかる日も増えましたけど、ずっといい雰囲気だったし、俳優・スタッフ全員が”これはいい映画になるぞ”という手応えを強く感じられた現場だったんじゃないでしょうか」と現場での手応えを振り返る。

松坂も「とにかく楽しかったです。これまでなかなか体験することのなかった“攻めた現場”でした。その日の現場がどういう感じで進むのか、想像のつかない日々でした。白石監督とは2作目となりましたが、今回は前作よりもかなりがっつりご一緒することができ、いやー“やっぱり変態だなあ”と思いました(笑)。でもそんな白石監督の“攻める”感じが僕は大好きなので、非常に充実した撮影となりました」と、戸惑いつつも白石監督との再共演を楽しんだ様子。

続けて江口は、「完成が楽しみな現場となりました。シーン全て刺激的で“台本を超えているな”という手応えを感じていましたし、全てのシーンが繋がったら、『仁義なき戦い』とはまた違った魅力を持ついい作品になると思います。混乱した時代の中で、自分の精神を貫き通す男たちの生き様がどう届くのか、今から興味深く思います」と、作品の魅力を語ってくれた。

また、現場には『日本で一番悪いやつら』に続き、白石監督とタッグを組み、脚本を手がけた池上純哉さんが登場。取材陣のインタビューに応えた。


■ 『孤狼の血』脚本:池上純哉さんインタビュー

ーー『孤狼の血』の脚本を手がけるにあたって、意識したことはありますか?

池上:以前、脚本を担当させていただいた『日本で一番悪い奴ら』は、柔道部出身の体育会系の刑事が、先輩たちがやっている仕事を真似て、悪びれることなく悪いことをしてしまう映画。そこにはあまり迷いがないんです。『孤狼の血』では、そのときに描けなかった刑事たちの”迷い”の部分を描こうと意識しました。


ーー原作著者である柚月裕子先生は『仁義なき戦い』に影響を受けたとお話されていたのですが、池上さんは『仁義なき戦い』に影響を受けた部分はあるのでしょうか?

池上:もともと大好きな作品で、何度も見てきてはいるのですが、特別振り返ることはありませんでした。見返してしまうと、影響されてしまいそうな気がして(笑)。


ーーなるほど。原作の中で大切にした部分などはありますか?

池上:日岡と大上の関係だけは外したくないと思っていました。全うな警察官になろうとしていた日岡が、大上という破天荒な刑事に出会ってどう変わっていくのか、彼の人間らしい生き様に焦点を当てることを大切にしましたね。


ーー白石和彌監督と話し合ったりは?

池上:最初のロングプロットを出したときに、エロが足りないと(笑)。あとは、技術や構成で逃げないようにしましたね。上手く刈り取ればかっこよく見える、みたいなことをすると突っ込まれてしまうので、シナリオの中でしっかりと見せどころを作るようにしています。


ーーありがとうございました。


映画『孤狼の血』は、5月下旬にクランクアップ。公開は2018年春を予定している。