杉咲花インタビュー 木村拓哉は「誰とでも対等に向き合う素敵な方」

杉咲花インタビュー 木村拓哉は「誰とでも対等に向き合う素敵な方」

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沙村広明原作の同名コミックを三池崇史監督が実写映画化した『無限の住人』は、剣客力集団・逸刀流に両親を殺されてしまった少女・凜が不死身の肉体を持つ男・万次に用心棒を依頼し、両親の仇を討つために戦い続けるアクションエンターテイメント。 木村拓哉演じる万次を突き動かす少女・凜を演じたのが、第40回日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞を受賞したことでも記憶に新しい杉咲花だ。今年でやっと憧れの20歳を迎えるというフレッシュな彼女が、本作への思い、そして撮影現場で見た木村拓哉という人物について語ってくれた。


■「凜の両親への思いを育てていきました」

ーー原作を読まれたときは、どのような印象を受けましたか?

杉咲:戦いのシーンは血の匂いがしてくるんじゃないかと錯覚するほど生っぽく、衝撃を受けました。でも、その中にもしっかりと人と人との繋がりがあって、それらの感情に嘘はない。静と動がとても丁寧に、繊細に表現されている作品だなと感じました。


ーー凜を演じるうえでどんなことを意識されましたか?

杉咲:凜は両親が殺されたことへの敵討ちのために動きだすので、両親への思いが自分の中にしっかりとないといけないなと思って。これから目の前で起こることを自然と受け入れることができるように、原作を何度も読み返して凜の両親への思いというのを育てていきました。


ーー万次が300人相手に戦うラストのシーンはスクリーンで観ても圧倒されました。撮影も大変だったのでは?

杉咲:10日間くらいかけて撮影したのですが、それだけの期間、集中力を絶やさないでいられるのかという不安はありました。緊張感もある立ち回りのシーンで、私が転んでしまったらどうしよう…と思ったり。だけど、現場に入ったらそこでは本気の戦いが起きていて。何かを考える間もなく、立っているのですら必死でした。


ーー血しぶきもすごい飛んでいましたよね。

杉咲:飛んでいました。みなさんがお芝居をしてると分かっていても怖いと感じてしまうくらい、全てがリアルでした。


ーー杉咲さん演じる凜の「黄金蟲」も素晴らしかったです。

杉咲:ありがとうございます。クランクインする2ヶ月くらい前から、殺陣の稽古と所作の稽古を同時にやらせていただいて、その練習をしている中で「黄金蟲」の練習もしました。凜は道場の娘で剣を握ることにも慣れているので、そこを表現するのが難しかったです。


■「木村さんとのハイタッチで、凜としての自信が湧いた」

ーー最初に木村さんと共演することを聞いたときは、どのように思いましたか?

杉咲:本当に小さな頃からテレビで拝見してきた方だったので、ご一緒させていただくと聞いたときはどうしても緊張してしまいました。だからと言って、私がそういう思いで現場に入って萎縮してしまうと、相手に対しても、現場のみなさんに対しても失礼だと思ったので、あまり考えないようにはしていたんですけど…。


ーーやはり緊張してしまいましたか?

杉咲:はい(笑)。でも、木村さんは私の中にあった必要以上の緊張感を取り払ってくれるような空気を作ってくださって。年齢やキャリア、一切関係なく、1つの作品を作る仲間として誰とでも対等に向き合う素敵な方でした。他にもいろいろな場面で助けていただきました。


ーー例えばどのようなときに?

杉咲:1つのシーンの撮影でもいろんなアングルから撮るので、自分が映らないカットも木村さんは「いいよ、俺が立つから」と必ず相手の目線に立ってお芝居のお付き合いをしてくださいました。木村さんに引き出していただいたシーンは本当にたくさんありました。


ーー万次と凜の関係性を演じるために、お2人で役作りなどはされましたか?

杉咲:話し合ったりは一度もなかったと思います。それは、木村さんが現場にずっと万次さんとして存在してくださっていたからです。私もどう演じようと考えることなく、ライブで起こった感情で表現することができました。


ーー初日の撮影が終わったときに、2人でハイタッチをされたと伺いました。

杉咲:はい。私は自分にとっての1つの山場であるシーンからのクランクインだったので、不安もあったのですが、終わったときに木村さんが無言で手を差し出して下さって。これで大丈夫だったんだ、と明日からも凜として存在していく自信が湧いたというか…すごく嬉しかったです。


ーー自然と万次と凜の関係性が出来上がっていたのですね。木村さんとの印象的なできごとはありますか?

杉咲:撮影中だけではなく、撮影以外のところでもとてもお世話になりました。撮影が早く終わったときも、キャンペーンでご一緒させていただいているときも、たくさんご馳走していただきました。


ーーなにをご馳走していただいたのですか?

杉咲:芽ネギです(笑)。京都で撮影していたときに連れて行っていただいたお寿司屋さんなのですが、最初に行った時には芽ネギがなくて。キャンペーンでもう一度伺ったときに、大将が用意してくださったんです。たくさんいただきました(笑)。


ーー木村さんも杉咲さんの意外な一面に驚いたかもしれません(笑)。逆に、杉咲さんだからこそ知っている木村さんの意外な一面はありますか?

杉咲:木村さんは本当に相手を思いやられる方だなと思いました。寒い時期の撮影で、ご自身は着流し1枚の格好でずっと現場にいらっしゃるのに、寒そうな方々を見つけると「コート着とけよ」と声をかけてくださったり、キャンペーンのときも、劇場に入りきれない方々がいることを知った木村さんが「少しでもいいので、ご挨拶させていただけないですか?」とお話されて、急遽ご挨拶の場を設けていただいて、たくさんのお客様に感謝をお伝えすることができたり。役者としてだけではなく、人として尊敬する部分がたくさんありました。


■「ハタチにはずっと憧れていたんです」

ーーキャンペーンで訪れた劇場では、必ずインスタグラムを更新されていましたよね。

杉咲:劇場にお邪魔すると、みなさん可愛いイラストを用意して迎えてくださいました。なにかに残しておきたいなという思いで、動画を撮っていました。


ーー他のお写真も素敵なものばかりです。写真は普段からお好きなのですか?

杉咲:そうですね。現場に入ってしまうと、現場のことに気が向いてしまっているので使うことはあまりないのですが、仕事場に向かう途中とか、プライベートでどこかにいくときにはカメラを持ち歩いています。


ーーじゃあ、お休みの日はカメラを持って出かけたり?

杉咲:基本的には家にいることが多いです(笑)。外に出るときは映画を観にいくか洋服を買いに行くかです。


ーー結構インドア派なんですね。プライベートで挑戦したいことはありますか?

杉咲:映画のキャンペーンで海外に行かせていただく機会があって、その時に現地の言葉で何か一言でもいいから伝えたいなと思ったんです。だから、語学を勉強したいですね。


ーーちなみに今年は20歳になる年でもありますね。心境の変化などは?

杉咲:ハタチにはずっと憧れていたんです。打ち上げの二次会に参加できなかったり、1人で帰って寂しく思うことが多くて。参加できると思うと本当に楽しみです!


■「遠慮はしないでほしい」宮沢りえの言葉を心に

ーー今年3月に行われた第40回日本アカデミー賞では、最優秀助演女優賞を受賞されました。そのときのお気持ちはいかがでしたか?

杉咲:なによりも嬉しかったのは、多くの方々が映画を観て良かった、で終わるだけじゃなく、本当に心から気に入って広めてくれる方がいてくださったり、受賞を自分のことのように喜んでくださる方もいて。賞がすべてではないのはわかっていますが、映画に携わられた方々に恩返しをしたいという思いがあったので、ご褒美のような結果をいただけて本当に嬉しかったです。


ーー女優人生の中でも、大きな出来事になりましたね。

杉咲:自分の人生の中にすごく濃く、刻まれた出来事でした。受賞式が終わった後は、打ち上げがあって、久しぶりにスタッフさん方に再会できたので、そこで報告させていただきました。多くの人に愛される素晴らしい作品に携われたことを、改めて幸せに思います。


ーー最後に、女優として今まででもっとも影響を受けた人の言葉を教えてください。

杉咲:やはり木村さんとの出会いは大きかったです。年齢とかに関係なく、1人の人として相手を敬って、良い作品を作っていこうという姿勢に衝撃を受けました。それと同じような言葉を宮沢りえさんにも言っていただいたことがありました。『湯を沸かすほどの熱い愛』のクランクインの直前に「本当にどれだけ演技で時間がかかっても全然大丈夫だから、そういう遠慮はしないでほしい。それはただ良い作品にしたいだけだから」と。改めて、ご一緒できたことは、本当に幸せに思いましたし、勉強になりました。自分もそういう思いを持って、これからも頑張っていきたいなと思っています。


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