テレ東P、新たな“Jホラー”確立へ 田原総一朗の規格外ドキュメンタリーがヒントに

テレ東P、新たな“Jホラー”確立へ 田原総一朗の規格外ドキュメンタリーがヒントに

『デッドストック〜未知への挑戦〜』プロデューサー五箇公貴インタビュー クランクイン!

 『孤独のグルメ』『山田孝之のカンヌ映画祭』など、テレビ東京の金曜深夜帯を彩る番組が好評を博している。そんな中、7月21日より連続ホラードラマ『デッドストック〜未知への挑戦〜』が新たにスタートするが、今、なぜ“Jホラー”なのか。そして、そこに受け継がれる“テレ東スピリット”とは何なのか。本ドラマでプロデューサーを務める五箇(ごか)公貴氏がその思いを語った。

 本ドラマは、2016年の秋、テレビ東京が、都内・神谷町の旧社屋から六本木の新社屋へ移転した際、処分された大量の廃棄テープの中から、怪奇現象の映った古いテープが発見されたことから始まるホラーサスペンス。その映像を整理する部署“未確認素材センター”へ配属された新人AD・常田大陸(村上虹郎)は、同僚のディレクター・二階堂早織(早見あかり)と共に、怪奇現象の調査に乗り出すが、取材先で摩訶不思議な出来事に遭遇する。

 今回のホラードラマが誕生した経緯を辿ると、テレビ東京の黎明期を支えた元ディレクターの田原総一朗氏に行き着くと、五箇氏は語る。「2010年に製作したBSジャパン開局10周年記念番組『田原総一朗の遺言〜タブーに挑んだ50年!未来への対話』で、田原さんが撮ったドキュメンタリーを、田原さん本人や当事者たちと解き明かしていく、ということをやったんですが、それが今回のドラマのヒントにもなっています」。
 
 さらに、当時のドキュメンタリーは、規格外の作り方で、内容がとにかく怖かったと振り返る五箇氏。「例えば、イタコは本当に憑依できるのか検証してみたり、原発のある村に踏み込んで村人に核心に迫る質問を投げ掛けたり…そういった過激な映像の数々を監督や脚本家と一緒に徹底的に見直して、そこから物語を作っていった」と述懐する。
 
 そして2016年、テレビ東京が新社屋へ移転した際に出てきたテープの山が、本ドラマのモチーフとして物語とリンク。まるでフェイク・ドキュメンタリーのように、虚実の狭間を主演の村上と早見が右往左往する。「テレ東の深夜帯の枠は、一番実験的な番組を作りやすい場所。最近“Jホラー”がなかったので、ここで新しい鉱脈を見つけて、『リング』(93)のように、海外でフォーマット・セールスができないか、ということも模索している」と五箇氏はいう。ブルーレイやDVDが売れず、配信ビジネスもいつまで継続できるか不透明な時代。となれば、中身を磨いて、新しい活路を見出だすのが正論だ。

 「まず、この深夜帯という枠を基点に、Jホラーの新しいスタイルを確立したいと思っています。そもそも日本は、情念に訴えかける怖さが主流ですが、そこにもっとフィジカルな怖さを融合できたら面白いんじゃないかと。今回のドラマも、まさにそこを狙っているのですが、シリーズ化して海外にも通じるJホラーの“タネ”を育てていければ」と、五箇氏は思いをめぐらす。

 ところで、コンプライアンスによってテレビがつまらなくなったと言われる中で、ひときわ異彩を放つテレビ東京。五箇氏はこの現状をどう捉えているのだろうか。「他の民放が百貨店とするなら、テレ東はセレクトショップ。そういった点で、視聴者を振り向かせるためにやっていることが結果的に目立っているのかもしれませんが、百貨店でも『カルテット』(TBS系)や『ゆとりですがなにか』(日本テレビ)など、素晴らしいドラマがたくさんある。コンプライアンスは言い訳に過ぎない」とバッサリ。

 「田原さんがディレクターだったころ、ハチャメチャな番組が多かったが、“面白いことをやらなきゃ誰も振り向いてくれない”という思いこそ、テレ東の源流」と語る五箇氏。本ドラマのサブタイトル『未知への挑戦』は田原氏が60年代に制作したドキュメンタリーのタイトル。あの頃のスピリットを忘れないために、このドラマにもしっかりと刻み込まれているのだ。(取材・文・写真:坂田正樹)

 『デッドストック〜未知への挑戦〜』は、7月21日よりテレビ東京ほかにて毎週金曜24時52分から放送。

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