“クドカン天才説”撤回! 『監獄のお姫さま』最終回は、やっつけ仕事で不満の残るラストに

“クドカン天才説”撤回! 『監獄のお姫さま』最終回は、やっつけ仕事で不満の残るラストに

TBS系『監獄のお姫さま』番組サイトより

“クドカン”の愛称で親しまれる脚本家・宮藤官九郎による復讐コメディードラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)の最終話が19日に放送され、平均視聴率7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.1ポイントダウンとなりました。

 まずは、これまでのあらすじを少し。2017年のクリスマス・イブ、元囚人の馬場カヨ(小泉今日子)、大門洋子(坂井真紀)、足立明美(森下愛子)、勝田千夏(菅野美穂)と元刑務官の若井ふたば(満島ひかり)の5人は、EDOミルク社・社長の板橋吾郎(伊勢谷友介)を誘拐。その背景には、6年前に沖縄で起こった横田ユキ(雛形あきこ)殺害事件の罪を、当時婚約者だった“爆笑ヨーグルト姫”こと江戸川しのぶ(夏帆)に吾郎が押しつけたことを証言させ、再審請求しようという目的があったのです。

 その吾郎・監禁シーンと、カヨたちが出会い親密になっていく女子刑務所シーンとが行き交うカタチでドラマは展開したのですが、前回で回想シーンは終了。吾郎が監禁されている現場にカヨたちだけでなく、検察官検事の長谷川信彦(塚本高史)や吾郎の妻・晴海(乙葉)、ユキ殺害の実行犯でタイ人のプリンス(ナリット)らも集い、しのぶの再審請求に先立つプレ裁判が始まったのでした。

 その前回の終了間際、殺人事件当日の昼間に撮影された動画を見ていた長谷川が、パラセーリングを楽しむしのぶのヘルメットにカメラが設置されていることを発見。事件の手がかりになる映像が残っているのではないかと、沖縄へ足を運びます。

 運よく6年前の映像は残っていたものの手がかりは掴めず。落胆する長谷川ですが、吾郎のヘルメットにもカメラが設置されていることに気づきます。そして、その映像には吾郎の殺人教唆を裏づける証拠が残っていたのです。

 一方、カヨたちは正式な裁判を起こすため吾郎を一旦解放することに。しかし、拉致&監禁の被害届は出さないと約束した吾郎が、解放後すぐに裏切って被害届を出したため、全員が逮捕されてしまいます。

 その後、晴海の尽力によってカヨたちは不起訴処分になります。そして迎えた横田ユキ殺害事件の再審で長谷川が例の映像を提出。その映像には、プリンスにナイフを握らせて指紋を付着させ、しのぶが殺人を依頼しているように聞こえる会話を録音するようプリンスに指示を与える吾郎の様子がバッチリと収められているのです。

 追い詰められた吾郎は長谷川との問答の中で、「(ナイフの)鞘は海に捨てた」と失言。しかし、鞘にはわざわざプリンスの指紋を付着させたはずです。なぜ捨てる必要があったのか? となり、実際には自身がユキを殺害し、その際に鞘に指紋を付けてしまったため海に投げ捨てたことを告白。その瞬間、カヨたちの念願叶い、しのぶの無実が明らかになったのでした。

 その後、しのぶはひとり息子の勇介と再会を果たし、EDOミルク社の社長に就任。カヨは千夏の専属メイクになり、明美は死んだ夫が組長を務めていた指定暴力団の“姐御”に、洋子は女優に、ふたばは女子刑務所に再就職と、それぞれの道を歩み始めたところで終了となりました。

 前回、第1話の勇介&吾郎誘拐シーンの舞台裏を明かすことで見事な伏線回収をやってのけたクドカンですが、ドラマの盛り上がりはそこがピークだったようです。結局は吾郎が真犯人だったという、何のひねりもないラスト。前回のレビューで書いたクドカン天才説は撤回したいと思います。少なくとも、事件の真相究明の部分はやっつけ仕事にしか感じられませんでした。

 例えば、今回のストーリーで大どんでん返しにもっていくとしたら、吾郎が犯人じゃないという展開が一番有力ですよね。しのぶが真犯人でカヨたちを騙していたかあるいは二重人格だった、晴海が真犯人、ユキの自殺……。いくらでも選択肢はあったと思います。

 吾郎が真犯人でもそれはそれで構わないのですが、問題なのはナイフにプリンスの指紋を付着させた証拠映像。6年前になぜ警察は気づかなかったのでしょうか。しのぶのヘルメットに設置されたカメラの映像はチェックしたのに、吾郎の方はスルーというのはおかしいですよね。タイ語で会話してるから気づかなかったとか、しのぶがすぐに自供したからよく調べなかったとか言い訳めいたことがカヨたちの会話の中にチラッと織り込まれていましたが、まったく説得力がありません。

 真相追及の部分がないがしろにされてしまったため、しのぶがカヨたちに感謝の気持ちを伝えたり勇介との再会を果たすなど、本来なら感動的なはずの場面も感情移入できず。前回から期待値が高まっていた分だけ落胆が大きくなってしまい、残念な幕引きとなってしまいました。ただ、おばちゃんたちの鈍くさくも愛らしいキャラやワチャワチャ感を描くクドカンの手腕は秀逸だっただけに、同じキャストでの再結集に期待したいです。
(文=大羽鴨乃)

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