視聴率5.6%『僕キセ』最終回のCGラストに批判殺到も、高橋一生「ゴールデン初主演」が“成功”と言えるワケ

高橋一生主演『僕らは奇跡でできている』最終回 視聴率振るわずも満足度高く成功か

記事まとめ

  • 高橋一生主演『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)の最終回視聴率は5.6%だった
  • ラストのコミカルな演出に「最後だけコント」などと視聴者からはツッコミや批判も
  • 視聴率は振るわなかったが、視聴者の満足度は高く、成功だったのではという声もあった

視聴率5.6%『僕キセ』最終回のCGラストに批判殺到も、高橋一生「ゴールデン初主演」が“成功”と言えるワケ

視聴率5.6%『僕キセ』最終回のCGラストに批判殺到も、高橋一生「ゴールデン初主演」が“成功”と言えるワケ

フジテレビ系『僕らは奇跡でできている』番組公式サイトより

 11日の放送で最終回を迎えた高橋一生主演『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)。視聴率は、5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、前回より1.3ポイントダウンし、最終話で最低記録を更新してしまうという悲惨な結果に。

 数字の推移を振り返ると、第1話7.6%→第2話6.1%→第3話6.2%→第4話7.0%→第5話6.0%→第6話6.4%→第7話7.2%→第8話6.4%→第9話6.9%、全話平均は6.5%となりました。とはいえ、ネット上では、「今期ナンバーワン」の声も上がっているようす。いったいどんな結末を迎えたのか、まずはあらすじから振り返っていきたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

■相河が出した答えは……

 樫野木先生(要潤)から「ここから消えてほしい」と言われてしまった相河(高橋一生)は、翌日は大学をお休みして、ペットであるカメのジョージを連れて山へ。

「光を大きくしたら嫌なことまで入ってきて、つらくなっちゃって」と元気がない相河に、おじいちゃんは(田中泯)は、「よかったな」と意外な返答。相河は森の中で寝っ転がり、その意味を考えます。

「つらい気持ちだって、光だから……。これからも僕の中の光を広げてく」

 そうしてその翌日はきちんと大学に出勤し、鮫島教授(小林薫)に大学を辞めることを宣言。一方生徒たちは、水本先生(榮倉奈々)の歯科クリニックへ。相河を引き止めるよう言ってほしいとお願いをします。

 研究室では、樫野木先生が自分のせいで辞めるのかと問い詰めますが、相河は、この前悲しくなったのは、樫野木先生と仲良くなりたかったからだと言います。そして、フィールドワークの授業に誘うのでした。

 当日、森には樫野木先生の姿が。「相河先生のせいにしておけば、向き合わずに済むことがあるんじゃないの?」と鮫島教授が言っていた通り、覚悟や才能がないからやめたフィールドワークを家族のせいにしてきた樫野木先生。自分の選択を肯定するには、相河を否定するしかありませんでした。

 そのことに気づいた樫野木先生は、相河が知りたがっていた離婚の原因を話すと、「ひどいこと言って悪かったよ」と謝罪。樫野木先生が手放せないでいた結婚指輪を2人で仲良く木の下に埋めるのでした。

 その後、大学を辞めることを引き止めようとする生徒たちに、相河は、

「僕はいつだってみなさんと繋がっています」

「皆さんが僕の中にいるってことです。僕は皆さんで出来ているってことです」

「だから、時間も距離も関係ありません」

 と、フィールドワークをするため、宇宙に行くと宣言。

 それからというもの、相河に影響を受けた水本先生は、「やるって決めたらやれるんだ」と自分のクリニックでインプラント治療をはじめたり、樫野木先生が面白い授業で、青山(矢作穂香)ら生徒たちの関心を集めるように。

 実家のコンニャク屋を継ぐか迷っていた新庄くん(西畑大吾/関西ジャニーズJr.)は、コンチューバーの沼袋先生(児嶋一哉)に弟子入りしてコンニャクの良さを伝えるYouTuberになったり、テストで10点をとってしまった虹一くん(川口和空)に涼子ママ(松本若菜)が「虹っていう字、きれいに書けてるね」と声をかけたり、周囲の人たちにもさまざまな変化がみられるようになりました。

 ある夜、月を見上げるおじいちゃんと家政婦の山田さん(戸田恵子)。宇宙服に身を包んだ相河とカメのジョージが画面いっぱいに映しだされたところで幕を閉じました。

 

■ラストのCGカットにツッコミ殺到

「バリショーェ スパシーバ!(ありがとうございました)」

 と、宇宙空間を漂う相河がカメラ目線であいさつをするという謎演出で終わった『僕キセ』。ドラマ本編では見たことがないようなコミカルすぎるぶっとんだ演出に、「最後だけコント」「宇宙のシーンはいらなくない?」「いつかの『ドクターX』並みの宇宙の合成のショボさ」「せっかくいい話だったのに」と視聴者からツッコミ&批判の声が。

 おじいちゃんと山田さんが月を見上げるところで終わってもよかったように思いますが……。「ハートフルコメディ」とうたっているドラマなだけに、最後の最後に「コメディ」要素を強めに打ち出したということなんでしょうかね。

■壮大な伏線回収

 ただ、相河の宇宙行きについては、思い返せば、群馬にある新庄くんの実家のコンニャク屋さんに行ったときも元々の目的は天文台に行くことだったし、大学の講義でも、宇宙に行った動物や月の話をするなど、伏線が張られていました。ロシア語を学んだり、水泳を習い出したのも、宇宙へ行くための準備だったわけです。

 てっきり、樫野木先生に言われたことがショックで大学をやめてしまうのかと思いましたが、相河が鮫島教授に言った、

「嫌なこともつらいことも消そうとしないで全部光で包んだら、僕の光は無限大になります」

 というセリフにあるように、ただ嫌なことから逃げるために大学を辞めて宇宙に行くわけではなかったんです。

 ちなみに、エンドロールでは毎回、数字だったり自然に関係するものだったり、その回の内容とリンクするよう、スタッフの名前の漢字の一文字一文字に色がつけられるという粋な演出がされていたんですが、前回は宇宙にまつわる漢字を使った名前に色がついていました(最終回では全員の名前が虹色になっていました)。そういった細部にわたるこだわりにはスタッフ陣の愛を感じましたし、至るところに張りめぐらされた伏線が綺麗に回収され、スッキリと納得のいく最終回だったように思います。

 

■「大河原さん」は、山田さんの中にある「お母さん」の部分

 伏線といえば、家政婦の山田さんが度々会話に登場させた「大河原さん」ですが、やはり、実在しないことが相河のセリフによって明かされました。実の母であることを名乗らないと決めていたからこそ、大河原さんに500円の豆腐を買わされたと嘘をついて、歯が痛い相河にやわらかいもの食べさせたり、樫野木先生のことで大学をお休みした翌日は大量のお裾分けをもらったと、たくさんご馳走を作って元気づけようとしたり、大河原さんを生み出すことで、家政婦の域を超えた、母親としての愛情を相河に注いできました。つまり、大河原さんは「お母さん」だったわけです。

 このあたりのことを考えると、気付かないフリをしていた相河が言った「大河原さんがいてくれて良かったです」というセリフがとっても染みてきます。

 

■視聴率惨敗も、“成功”といえるワケ

 さて、ドラマが始まった初めの頃は、高橋一生があざといだの、ストーリーが退屈だの散々書いてきたものの、終盤に差しかかるにつれ、グッと引き込まれる展開が続き、アッサリ手のひらを返したことをお詫びしたいというのが、筆者の正直な感想です。

 発達障害を抱えているであろう主人公の成長と、その周囲の人間の変化を、「障害」という言葉を使わずに、丁寧に描ききった脚本の橋部敦子さんには、『僕の生きる道』シリーズのように、『僕キセ』もシリーズ化してほしいくらい。

 また、難しい役柄を演じた高橋さんの演技も、回を追うごとにナチュラルなものになり、役柄を自分のものにしているなと感じました。10歳以上年が離れた女優との熱愛を報じられたり、私服のチェーンがダサいとディスられ、人気急落がささやかれていましたが、「イケメン枠で括られると疑問だけど、演技は本当に上手い」「ハマり役だった」「このドラマで好きになった」という声が視聴者から上がっているように、マイナスイメージは、多少は払拭できたかと思います。

 視聴率こそ振るいませんでしたが、視聴者の満足度は高いようだし、ゴールデン初主演にこのドラマを選んだことは、間違いなく成功だったと言えるんじゃないでしょうか。そういった意味でも、高橋さんの次回作が気になるところです。

 ちなみに、次クールのこの時間は、黒川博行氏の原作小説を連ドラ化した『後妻業』が放送。木村佳乃が遺産相続目当ての結婚詐欺師役を演じるとのことで、ハートフルストーリーだった『僕キセ』とは180度違うドロドロしたドラマが展開しそうですよ……。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

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