芸人をセンスで判断しない『くりぃむナンチャラ』新企画 答えをピークにしない大喜利の楽しみ方

芸人をセンスで判断しない『くりぃむナンチャラ』新企画 答えをピークにしない大喜利の楽しみ方

テレビ朝日系『くりぃむナンチャラ』番組サイトより

 お笑いコンビには、2つの種類がある。コンビの両者が案を出し合い、練ってネタを作り上げていくタイプ。もう1つは、片方が完全にネタ作りを担当するタイプである。

 今回は、後者に注目してみよう。この種のコンビの場合、ネタ作りを担当する側がフリートーク等の平場でもセンスを発揮するパターンが主流。そしてもう1人は、社交的に振る舞って他タレントとの交流を広げたり、爆発的なキャラクターで異なった角度から笑いを取りにいく役目を担当するケースが多いように思う。

 12月15日放送『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日系)にて、コンビを組む2人の性格、役割の違いに焦点を当てた企画が行われている。題して「UNKOダウト」。

 企画の趣旨は、こうだ。まず、それぞれのコンビに大喜利が出題される。そして、どうかと思う言いぐさだが、コンビでセンスを発揮する方を「センス側」、そうではない方を「ウンコ側」と名付け、コンビのうちの「ウンコ側」が考えた答えはどれかを当てる……という内容だ。

 ちなみに、今回出演したコンビは3組。くりぃむしちゅー(「センス側」が有田哲平で「ウンコ側」が上田晋也)、ロッチ(「センス側」がコカドケンタロウで「ウンコ側」が中岡創一)、トレンディエンジェル(「センス側」が斎藤司で「ウンコ側」がたかし)という座組である。

 

■「ウンコ側」が考えた大喜利の答えに、芸人たちから低評価が飛び交う

 

 では、まず「ウンコ側」が答えを考えた大喜利を挙げてみよう。

お題:「日本のお寺を出禁になった外国人 一体何をした?」

答え:「ワーイ ジャパニーズピーポーと何回も言ってくる」(ロッチの「ウンコ側」中岡が回答)

 この回答への評価は、「そんなんじゃ出禁にならないから。大喜利を理解してない」(トレエン斎藤)と散々であった。

また、こちらの回答も強烈に“臭って”くる。

お題:「日本のお寺を出禁になった外国人 一体何をした?」

答え:「お坊さんのコスプレをしてきた」(ロッチの「ウンコ側」中岡が回答)

 周囲から「プンプン臭うな〜」「これは人糞だ」と責められ続けた中岡は「僕は頑張って出たウンコだと思うんですけど……」と首をひねるのだが、確かに客観的に見ると臭う気がする。

お題:「サッカー未経験の山田和夫さん(58)が日本代表に選ばれた。どうして?」

答え:「殺人的なスライディングの持ち主」(トレエンの「ウンコ側」たかしが回答)

 この答えも、「安易すぎる」「どういう出し方してもウケへんと思う」とひどい言われようであった。

お題:「サッカー未経験の山田和夫さん(58)が日本代表に選ばれた。どうして?」

答え:「『これぞ日本人だ!』という顔をしているから」(ロッチの「ウンコ側」中岡が回答)

「コカドさんがこんな答え出すわけなくない? だとしたら、ロッチを疑うよ。あんな巧みなコントやってる人間が、こんなの出さないですよ」とトレエンたかしが断言したとおり、上記の回答は中岡考案のものであった。

 

■センスあるロッチ・コカドの考えた答えを中岡作と読み誤り、「浅い」と酷評するくりぃむ・有田

 

 逆に、「センス側」と「ウンコ側」のどちらによるものかわかりにくい回答も登場している。

お題:「日本のお寺を出禁になった外国人 一体何をした?」

答え:「お参りの仕方が2礼2拍手2ブレイクダンス1礼」(ロッチの「センス側」コカドが回答)

 この答えについて、くりぃむ有田は「“2礼2拍手2〜”の中に何かを入れる時、ブレイクダンスにするかね。もっと具体的なものにするんじゃない?」と予想したものの、ロッチの「ウンコ側」中岡は「ウンコだと“2礼2拍手”という言葉を大喜利の答えに持ってこれないですよ!」と断言する。

 実はこのゲームの“目利き”として中岡は達人的な判断力を持っており、言ってる内容には説得力が溢れている。しかし、よく考えると自身のセンスの無さを力説していることにもなり、芸人としてはあまりにも哀しい。

お題:「日本のお寺を出禁になった外国人 一体何をした?」

答え:「出家中のお坊さんにマックを差し入れしたから」(トレエンの「ウンコ側」たかしが回答)

 この回答がたかし考案によるものと見破ったのはロッチ中岡だが、正解にたどり着くまでは難産だった。彼は「“お坊さんにマックを差し入れしたから”はウンコのものやねん。でも“出家中”っていう言葉は、多少センス頑張っちゃってんだよな……」という悩み方をするのだ。考えの巡らせ方が常人には計り知れない。「ウンコはウンコを知る」とでも言うべき境地だろうか。

 

■大喜利の答えの面白さは、ここでは二の次

 

 この企画が新しいのは、大喜利の答えを笑いのポイントに置いていないところにある。かつて、糸井重里は「『笑点』で座布団をもらえるような面白さがつまんないとわかっちゃってからの面白さは本当に難しい」と発言していたが、今回はそのレベルを遥かに超えている。

 フジテレビの人気番組『IPPONグランプリ』が存在する最中、いい答えをまるでありがたがろうとしない。スベって外したところを笑いにするというヤマっ気すらない。事実、今回の番組内で答えが出た瞬間に起こった笑いは皆無だったのだから。

 それより、「センス側のくせに、この答えは何?」「ウンコ側にしては頑張ってる」と予想しながら語り合う。“人となり”と“過程”を重視して行う遊びが、「UNKOダウト」なのだ。このゲームでは、センスある人間も必要だし、ウンコなセンスの持ち主も絶対に必要。

 加えて、感性でクラス分けされることがないのでヒエラルキーも出来上がらない。読みが深い「ウンコ側」(今回で言えばロッチ中岡)がMVPを奪ることだってあり得る。

 とかく競技化されがちな昨今の“笑い”だが、それとは真反対を行く「UNKOダウト」は至極心地がいい。「ウケないことすら“笑い”に変える」(すべり笑いとは別物)という芸人の原点に帰着したと感じたのは、私だけではないはずだ。
(文=寺西ジャジューカ)

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