フジテレビ月9『絶対零度』好調キープも“番手の低い役者から殺しとけ”感が怖いです……

フジテレビ月9『絶対零度』好調キープも“番手の低い役者から殺しとけ”感が怖いです……

フジテレビ系『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』番組公式サイトより

 今期の月9『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』(フジテレビ系)第6話の視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、今回も2ケタキープ。好調を保っています。

 国民の行動データを完全網羅した巨大AI「未然犯罪捜査システム(通称“ミハン”)」が割り出した“危険人物”を対象に捜査を行う警視庁の極秘組織「ミハンチーム」の面々を描いた本作ですが、今回はミハンの出番はなし。その代わり、チームに激震が走ることになりました。振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■沢村一樹の“妖艶さ”が光る

 さて、「未然犯罪捜査システム」といいつつ、結構な確率で犯罪が既遂されてしまうのがこのドラマの特徴です。しかも、その首謀者や主犯は巧妙に法の網を逃れるケースが多く、そのたび犯罪者たちは誰かに暗殺されてしまいます。いわばミハンによって捜査が行われたがために、さらなる殺人罪が誘発されているという地獄絵図ですが、ドラマは「こんな奴らは死んで当然」とばかりに3人の命を闇に葬ってきました。

 そんな3人を殺した“処刑人”が、いよいよ明らかになった今回。当初、疑われていたのは主人公の井沢警部補(沢村一樹)でした。疑われていた、というか、明らかな匂わせシーンを積み重ねて「処刑人=井沢」と視聴者にミスリードしてきていました。

 結果、井沢は処刑人ではなかったわけですが、沢村さんの「この人、怪しいけど……どっちなの!?」と思わせる芝居は実にお見事で、人を殺してそうな妖艶さと、まったくそんなことなさそうなオトボケ感を行ったり来たりする振り幅は、その演技を見ているだけで楽しい時間となっております。

 この時点で視聴者に与えられた情報からすると、処刑人の第1候補は井沢、第2候補はミハンチームのボスである東堂さん(伊藤淳史)です。ともに、過去に家族を犯罪者に殺されたことがあり、犯罪者に強い憎しみを抱いている。井沢は東堂さんに面と向かって「疑ってますよ」と断言するなど、緊張感のあるシーンが続きます。

 まだ第6話、中盤にしてこの2人のどちらかが殺人犯であることが発覚すれば、ドラマは大きく展開していくことになります。仮に沢村一樹がドラマから消えても、まだベトナムで死んだことになってるけど死んでいなさそうな桜木泉(上戸彩)もいるし、月9を沢村一樹だけで乗り切るなんて、そもそも無茶だし、この2人以外に処刑人の可能性が示唆された人物はいないし……というわけで、なかなかにダイナミックなことになりそうな予感が漂ってきました。

■お前、平田だろ。

 結果、処刑人はミハンチームの田村さん(平田満)でした。例によって井沢が唐突に真相を突き止め、フードをかぶって秘密基地でノートパソコンをいじる田村さんに詰め寄り、自白を迫ったのでした。

 ここまで、田村さんが処刑人である可能性は、視聴者には一切示されていません。何かとっかかりになる出来事があって井沢が田村さんを疑うのではなく、井沢が疑い始めてから「田村さん=処刑人」の説明が始まるのです。「実は25年前の連続殺傷事件の現場に田村さんもいた」「そのとき田村さんは動物殺傷が殺人につながる可能性を訴えていた」「現場で婚約者を殺されていた」「遺族から不条理な糾弾を受けていた」などなど、後出しで建て増しの事実関係を積み上げて辻褄を合わせ、最後は田村さんに拳銃自殺をさせて、はい悲劇の一丁上がり。本田翼号泣。めでたしめでたし。

 平田満はミハンメンバーを演じる役者の中で、もっとも番手の低い演者でした。ここでいなくなっても、別に大丈夫。だから殺す。まるで恋愛ドラマの中盤にテコ入れで出てくるキスシーンみたいに、簡単に田村さんの命が捨てられてしまいました。

 前々から折に触れて書いてきましたが、このドラマの「人の痛み」に対する鈍感さ、扱いの軽さは、極めて居心地が悪いんです。しかも、作り手側がそういう鈍感さに、あんまり自覚的じゃないように見える。テンポよくサクサクと、基本的には“楽しく見れちゃう”ドラマだけに、なんか、何かが怖いんですよ。知らんけど。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

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