「まるで高橋一生のPV」ゴールデン初主演ドラマ『僕らは奇跡でできている』と『グッドドクター』の決定的な違い 

「まるで高橋一生のPV」ゴールデン初主演ドラマ『僕らは奇跡でできている』と『グッドドクター』の決定的な違い 

フジテレビ系『僕らは奇跡でできている』番組公式サイトより

 高橋一生のゴールデンタイム初連ドラ主演作『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)の放送が9日スタートし、平均視聴率は7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)となりました。

 同枠といえば、前クールの吉岡里帆主演『健康で文化的な最低限度の生活』が同じく7.6%を記録したものの、徐々にダウン。第5話では4.8%まで落ち込み、全話平均は5.8%と、ゴールデンプライム帯に放送された民放各局のドラマの中ではぶっちぎりの最下位に沈みました。

 それだけに、フジとしては、起死回生を図りたいところだと思いますが、第一話を見たところ、なんだか難しそうなニオイがプンプンです……。

 ということで、まずはあらすじから振り返っていきたいと思います。

■NHKのドラマみたいなほのぼの感

 物語の主人公は、大学講師の相河一輝(高橋一生)。住み込みの家政婦・山田妙子(戸田恵子)さんと一緒に暮らしています。大学時代の恩師・鮫島教授(小林薫)の薦めで半年前から都市文化大学で動物行動学を教えている相河は、大好きな生き物のことになると、我を忘れて夢中になってしまう超マイペースな性格。

 通勤途中でも、池が気になれば自転車を停めて生き物を観察して遅刻。授業では出席も取らず、ペラペラと一方的にしゃべり続けて生徒たちは置いてけぼり。事務長の熊野(阿南健治)には怒られてばかりで、同じ研究室の准教授・樫野木(要潤)や同僚の講師・沼袋(児嶋一哉)からも変わり者扱いをされています。そんな相河を、陶芸家の祖父・義高(田中泯)は温かく見守ってきました。

 ある日、ずっと放置していた虫歯が痛くなった相河は鮫島教授の紹介で、若くして病院の院長を務める才色兼備の超エリート歯科医師・水本育実(榮倉奈々)のクリニックを訪れます。しかし、水本先生に抜歯をしなければならないと聞き、「治せないなら帰ります」と、診察の途中で病院を出て行きます。 

 でも、どうにも歯の痛みを我慢できず、後日相河はクリニックに予約を入れるのですが、骨格標本を作るのに夢中で予約時間に大幅に遅刻したかと思えば、次の受診日には逆に早く着いてしまい、水本先生に「常識ってものがないんですか?」「どうしてそんな簡単なことができないんですか?」と怒られてしまいます。

 病院を飛び出した相河は、以前病院で知り合った小学生・虹一(川口和空)と偶然再会します。虹一は、相河に「イソップ童話のカメは、寝ているウサギに声をかけなかった。倒れているかもしれないって、どうして思わなかったのか?」という疑問を投げかけていました。2人は楽しそうにその答えあわせで盛り上がります。するとそこへ、水本先生が謝罪のため相河の後を追ってやってきました。

 病院で治療を終えた後、水本先生に虹一との会話の内容を聞かれた相河は、「先生はウサギっぽいですね」と一言。水本先生は「器用じゃないけどコツコツ頑張るタイプ」と、カメタイプを主張しますが、相河は「コツコツ頑張るのがカメなんですか?」と、2人の解釈にはズレがあります。

 相河いわく、カメは全然頑張っていないし、競争にも勝ち負けにも興味がなく、カメにしか見えない世界を楽しむためだけにただ前に進むそうです。一方のウサギについては、

「カメを見下すために走るんです。自分はすごいって証明したいんです」

 と、悪びれるようすは全くありません。

 実は、経済力の高い水本先生は、ごく普通のサラリーマン(たぶん)である恋人の雅也(和田琢磨)のプライドを傷つけてしまい、「俺のこと下に見てんだろ!?」と言われ、ケンカ中でした。痛いところをつかれてしまった水本先生は、「私のどこがウサギなんですか?」と声を荒らげるのでした。

■高橋一生はハマリ役だけど……

 1話の正直な感想としては、50分がとても長く感じました。起承転結がないし、物語の山場もはっきりしていないので、観る人を選ぶ作品になっていると思います(まぁ、選ばないドラマなんてないと思いますが……)。

 ネット上の反応を見ても、「すごく優しい気持ちになるドラマ」「癒やされる」「好きな世界観」という声はあるものの、大多数が、「なにが言いたいのかよくわからない」「高橋一生のPVだな」「イライラするしねむくなる」「つまらなくてリタイア」とネガティブな感想を持ったようです。

 まぁこのドラマを観ている人って、高橋一生目当てか、生き物が好きな人か、こういうほのぼのしたお話が好きな人なんだと思いますし、誰かが難しい裁判で無罪を勝ち取ったり、難事件を解決したり、誰かと誰かが恋愛したり、町工場がすごいロケットを造ったり……そういうストーリーがはっきりしているドラマを好む人たちが途中で離脱してしまうのも、わかるような気がしました。

 ただ、「ゆったりまったりした雰囲気が高橋一生の演技とぴったり」という声もあったように、相河役の高橋さんはハマリ役だと思います。高橋さんってどんな役の時も落ち着いていてどこか飄々としているイメージがありますが、相河の大好きな生き物のこと以外に無頓着なところや、その一方で生き物のことになると子どものように目をキラキラさせるマイペースな性格をナチュラルに演じているなぁと感じました。「あざとい」という声が上がっているのは、本人が童顔なことが大きく影響しているんだと思います。

 なお、このドラマは『僕の生きる道』シリーズ(同)などを手掛けてきた橋部敦子氏のオリジナル脚本ということもあって、一昔前なら、草なぎ剛が演じていてもハマッていたんだろうなぁという印象を受けました。

 ついでに、榮倉奈々ちゃんの病院で働く歯科衛生士役で出演しているトリンドル玲奈ちゃん、久々にテレビで姿を見ましたが、ポケモンに出てくる獣医さんみたいなナース姿がとってもかわいかったです。はい。

■『グッド・ドクター』とは、似ているようで全く違う

 1話を観て、前クールの山崎賢人くん主演『グッド・ドクター』(同)との類似性を指摘する人も多かったようですが、『グッド・ドクター』では、主人公が自閉症スペクトラム障害を持ち、コミュニケーションに障害がある一方、サヴァン症候群という驚異的な暗記力を持つという設定がありました。

 また、2013年に放送された韓国ドラマのリメイク作で、“ハンデを抱えた主人公が周囲からの偏見や、さまざまな壁にぶつかりながら、小児科医として子どもたちや周囲の医師たちと成長していく”というわかりやすいストーリーが基にもありましたが、『僕キセ』は違います。

 公式サイトを見ても、相河はただの「変わり者」なだけで、物語についても「フシギな大学講師が、周囲の人々の“フツウ”をざわつかせる!?」「ついつい自分を他人と比べてしまうすべての人に贈る、コミカル・ハートフルドラマ」と、ふわっとした内容が書いてあるのみ。先ほども書いたように、このドラマは“完全オリジナル”作品のため、結末がどこに向かうのかも、見当がつきません。

 ただ、発達障害の傾向にあるのかな? とも思える相河について、公式が何も明言していないのは、固定観念にとらわれない相河と同じように、視聴者も偏見や先入観を持たず受け入れてほしいという製作側の意図があるように感じました。

 問題は、“分かる人は分かる”このドラマのメッセージを、いかに“分からない人”へ届けることができるか。次回以降もこのままスローペースで物語が進行すれば、途中離脱する人はさらに増えてしまいそうですが、今夜放送の第2話はどうなるでしょうかね……。

(文=どらまっ子TAROちゃん)

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