高畑充希と温水洋一の2人旅『忘却のサチコ』美女と野獣で宮崎を食べまくる

高畑充希と温水洋一の2人旅『忘却のサチコ』美女と野獣で宮崎を食べまくる

テレビ東京系『忘却のサチコ』番組公式サイトより

 悲喜こもごもを織り交ぜた新感覚グルメドラメ『忘却のサチコ』(テレビ東京系)。第6話は、我らが佐々木幸子(高畑充希)が友人の結婚式に参加するため単身宮崎遠征。美味しいものにまみれた宮崎を、まさかの温水洋一と旅するロードムービーになりました。

(前回までのレビューはこちらから)

■「けっこん」が言えないだけで面白い

 まずドラマ冒頭は、久しぶりとなるお母さん・和代(ふせえり)との親子コントからスタート。

 今回は宮崎に住む友人から結婚式へのお誘いのハガキが来たことで、出席すべきかどうかのやりとりが繰り広げられます。

「ああいうことがあったばかり」で「傷も癒えてない」のだから、無理に出席することはないと心配する和代。

 何度も言ってますが、幸子はかつて自分の式当日に新郎が失踪しており、その記憶を忘れるためにグルメに目覚めたという設定。

 式当日はあり得ないほど淡々と振る舞うも、やはりダメージは根深く、今までさまざまな美味しいものを食べて一時的に元新郎(俊吾さん=早乙女太一)を忘却してきたものの、今回はなんと「けっこん」という言葉が言えないという「後遺症」が判明。

 幸子は「もう傷は癒えてるから」と式へ参加の意向を伝えようとするも

「だからあゆみ(友人)のケッ、ケッ、ケ、クッ、コッ……コッ……ッ……(息が乱れ出す)」

「言えないの? もしかして言えない単語があるの……?!」

 心配する母・和代と、どうしても「けっこん」が言えない幸子のやりとりが、くだらなくも面白い。

「あゆみの……ケッ……ケッッ……ケゴス……!」

「ケゴスって何よおおおおお……!」

「けっこん」が言えないまま幸子は宮崎へ旅立ちます。

■機内から九州を満喫・アゴユズスープ

 機内のサービスドリンクに「アゴユズスープ」があるとわかるなり、すぐさまオーダーする幸子。もちろん無料だし、これは飲みたい。

 調べてみると、ソラシドエアのアゴユズスープは長崎県産アゴ出汁と大分県産柚子を使ったスープ、というかお汁で、機内販売もされてる模様。

 最近は全国的にお馴染みになってきたアゴとはトビウオのことで、長崎を中心に九州北部ではお雑煮もアゴ出汁で作る、まさにソウルフード。

 カツオ出汁ともいりこ(煮干し)出汁とも違うあの風味に柚子が加わるなんて、毎日飲みたい。きっとうどん入れても美味いはず。ちなみに長崎の五島うどんも、もちろんアゴ出汁。

 機内から九州気分が高まる幸子。

■温水洋一とチキン南蛮

 空港に到着し、タクシーに乗り込むも、ここでも「けっこん」の言葉が言えず「け……けこ……」とカエルみたいになってしまう悲しくもかわいい幸子。

 式までに症状を改善させるため、運転手(温水洋一)に宮崎グルメを案内してもらう。

 やけに宮崎弁が自然だと思ったら、温水は宮崎の都城市出身。そのまんま東国原元県知事と出身もフォルムも同じだとは。

 まずは地元の有名店「ふるさと料理・杉の子」でチキン南蛮と冷汁を賞味。

 本場のチキン南蛮はタルタルソースをケチらずぶっかけてるのが気持ちよく、なんならちょっとしたカレーくらいかかっている。

 ちなみに宮崎チキン南蛮にはタルタルなしで甘酢を通しただけで「チキン南蛮」とする流派(直ちゃん)と、甘酢を通した上でタルタルぶっかけ流派(おぐら)の2流派が存在する。

 タルタルなしも、それはそれで食べてみたい。

 今回はタルタルチキン南蛮だが、それを鼻息をふんふん鳴らせながら貪る幸子。ここまでハッキリと女優の鼻息を聞いたのは初めてかも……と、どうでもいいことに気付きながら、幸子の幸せそうな食べっぷりにこちらの腹も鳴る。

■冷汁に完熟マンゴーの畳み掛け

 そして「冷汁定食」到着。

 きゅうり塩もみ、崩した豆腐、みょうが、シソ大葉が入った冷汁を麦飯にぶっかけてすする。

 見た目は似てるものの「想像した『冷たいお味噌汁』とは全然違う」と驚く幸子。

 この店ではどうかわからないが、焼いたアジのほぐし身やゴマを味噌に加えてすり合わせ、それをすり鉢ごと直火で炙るのが「冷たいだけの味噌汁」にしないキモのようだ。

 さらに移動し、今度は店頭で完熟マンゴーを。切り口に格子状に切れ込みを入れて皮のついたままの裏側をボコッと押すと、身がボコッと出てくるあの切り方。

 太陽のタマゴというブランドマンゴーには、今年の初競りで2個40万の値がついたというから恐ろしい。

 よく高級食材に「食べる宝石」という例え方があるが、本当に宝石が買えるほどの値段。

 ドラマでは当たり前のように運転手がオーダーして幸子に食べさせていたが、安いのでも1個数千円はするはずなので、ケチな筆者はそこにドキドキしました。

■縁結びの地でダメージを受ける幸子

 失踪した元新郎のことを、またしても思い出してしまい、元気のなくなった幸子は、運転手に有名な観光名所・青島に連れて来られる。

 しかしそこは今や男女の縁結びとして名を馳せる地、傷口に塩を塗り込まれた幸子は「恥ずかしながら逃げてまいりました」と、横井庄一のように島から帰還する。こちらは徒歩でだが。

 青島は今はほぼ沿岸と地続きになりつつある小さな島で、中央に青島神社があるのだが、江戸時代中期までは神聖な場所のため一般人の参拝が禁じられていたという。

 そのころなら幸子がカップルの猛威に苦しめられることもなかったろうに。

 しかし、海岸で宝貝(コーヒー豆みたいなやつ)を探しだすと(本宮近くの場所に納めると)願いが叶うと教えられ、嫁ぐ友人のためにとフォーマルな装いのまま地べたに張り付き潮干狩り開始。

 友人の幸せのため必死に貝を探す姿は、変人だが純粋な幸子をよく表している。

 見つけた貝殻を友人にあげるのかと思いきや、所定の場所に納めて、初めて「願いが叶う」と聞き「神社側が適度に撒いてるのではないか?」と勘ぐってしまう筆者とは、えらい違いだ。

 しかもその「所定の場所」は狭く、明らかに宝貝ではない貝がてんこ盛りになっている。遠目に見ると、ほぼホタテ貝の山。

「旦那様とずっと幸せでありますように」と友人のために手を合わす幸子。

 ホタテの山を武田久美子のクローゼットとしか思えなかった筆者とはえらい違いだ。

 ちなみに青島に貝殻や砂が集まるのは、黒潮の本流と、四国に当たって跳ね返ってきた流れとの2つの海流がぶつかる場所だからとのこと。『ブラタモリ』で言ってました。

■幸子、実は魚に詳しい?

 その後、幸子はすぐそばの「港あおしま」という漁協直営の食堂で新鮮な刺身を味わうことに。

 昼の時間(11時から14時半)しかやっていないのが、なんかプロ御用達な感じがしてうれしい。海鮮定食が到着するも、数種の刺身の中からなんの説明を受けずとも「まずはカンパチ」と箸を伸ばす幸子。

 一目でブリともハマチとも悩まずカンパチと確定する幸子の目利きに驚く。メニューに書いてあったのだろうか……?

 さらに「次はヒラアジ」と続けざまに驚異の目利きを披露。

 アジだとはわかってもヒラアジだなんて切り身からはまずわからないと思うのだが、ガチで見分けてるとしたら、すごい。

 しかし刺身のヘリがピンと立つほど新鮮なのがよくわかる。

 九州特有の甘い醤油に一瞬驚きながらも、美味しく食べる幸子。これが漫画版の井之頭五郎(『孤独のグルメ』)なら食べながらも何かしらの文句を言いそうなものだが。

 湯引きハモ、タチウオも平らげ、一度は心折れかけた結婚式へ向かう決心を固める。

 シーガイアにあるシェラトンホテルの挙式会場にて、友人の目を見てしっかりと「結婚、おめでとう」と伝える幸子。言えました。一歩前進。

 しかししかし、式を終えロビーに出たことろで、またしても俊吾さんらしき人が従業員として働く姿を発見!

 もはや何度目なのか、この俊吾さん発見詐欺。

 なんとなく『母を訪ねて三千里』を思い出すこの構成。さて、次回こそ、次回こそは俊吾さんに出会えるのか?

 ちなみにこの「友人の結婚式のため遠征し、式前にタクシーで地元食を食べ回る」というエピソードは、原作においては香川が舞台となっており、うどんタクシーに乗り(実在するらしい)讃岐うどんを食べまくっている。セルフのうどんをすすりまくる高畑充希も、いつか見てみたい。
(文=柿田太郎)

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