黒幕はネット民!? 『3年A組』伏線の回収と見せかけ、風呂敷は大きくなる一方……

黒幕はネット民!? 『3年A組』伏線の回収と見せかけ、風呂敷は大きくなる一方……

日本テレビ『3年A組』

 2月17日放送『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第8話。

 前回、景山澪奈(上白石萌歌)のフェイク動画作成を半グレ集団・ベルムズに依頼したのは自分だと認めた教師の武智大和(田辺誠一)。しかし、澪奈殺害に関しては否定していた。なのに、ネット上はすでに「武智が殺人犯とは」「武智サイコ認定!」という声であふれている。加えて、同僚たちも「うさんくさかった」「ざまあみろ」と手のひらを返して武智を責めた。

“推定有罪”の概念が大部分を占めているのが世間。柊一颯(菅田将暉)による「俺の授業」への大いなる前振りである。

■電脳部員の西崎はネット民を体現する存在

 今回、柊がA組に課した授業は「自習」だった。しかも、没収していた携帯電話を返却する大サービスぶりだ。

 思い思いに和やかな時間を過ごす生徒たちの中、「電脳部」部員の堀部瑠奈(森七菜)はパソコンを前に奮闘していた。澪奈と武智が共にビルへ入っていく動画を再チェックしているのだ。そして、解析する。動画は加工されており、ビルに入っていくのは武智じゃなく本当は柊だった事実に彼女はたどり着いた。

 瑠奈と、そして同じ電脳部員の西崎颯真(今井悠貴)は悔やんでいた。澪奈が生きていた頃、彼女のドーピング疑惑のきっかけとなるフェイク動画を見つけ、拡散したのは西崎だった。

瑠奈「ねえねえ、ヤバい。景山さん、ドーピングらしい」

西崎「最っ低だな〜。拡散してやるか」

 ニヤつきながら軽い気持ちで拡散した西崎。その後、今回と同様に瑠奈は動画を解析、動画がフェイクだと見破った。

瑠奈「どうする……?」

西崎「……別にどうもしねえよ。ほっとけよ」

 動画を拡散した西崎と、見て見ぬふりをした瑠奈。ある意味、西崎は多くの「ネット民」を体現している。そこに恨みや復讐心のような感情はない。目に飛び込んだ情報をうのみにし、オートマティックに拡散。自分が発信したのではなく、ただ拡散しているだけだから当事者意識もあまりない。フェイク動画だと気づき、まずいとは思っても、自分発信ではないので「俺のせいじゃない」と放置して終了。真実を知っていたのにもかかわらずだ。2人が声を上げれば、澪奈の命は失われなかったかもしれない。

■今日の「自習」は西崎のための授業

 ビルから柊が出てきた動画を前に、A組は騒然。柊はA組に迫った。

「お前たちが決めろ。この動画をどうすべきか、俺をどうしたいか、お前たちが決めろ」(柊)

 西崎は動画をアップしようとする。澪奈への罪悪感を拭いたいからだ。あのとき、自分が放置したせいで澪奈は死んでしまった。そして今、武智の動画がフェイクだと判明した。この動画をアップし、今度こそスルーしない自分でいたい。

 皮肉である。真偽不明のまま澪奈のフェイク動画を拡散したときとやってることが同じなのだ。過去の過ちを悔やみ、改めようとしているのに、同じ轍を踏んでしまっている。

 クラス中が西崎を制した。そして、よく考えるように「グッ、クルッ、パッ」を訴えた。

柊「大事な決断をするときはグッと踏みとどまって、クルっと頭を一周させれば、パッと正しい答えが浮かぶ。グッ、クルッ、パッ、な」(柊)

 今日は西崎のための授業だ。彼は柊からの“説教”がなかった初めての生徒。でも、A組は柊から多くを学んできた。もう、お前たちで答えが出せるだろう? という柊の思いからの「自習」なのだ。

 クラス全体が、この動画が本物かどうか議論している。結果、柊が映る動画そのものがフェイクだとわかった。なんでもかんでも拡散していたあの頃と比べ、生徒たちは変わった。柊作成のフェイク動画に踊らされるマインドボイスユーザーたちとも違う。「自分は傷ついた」を免罪符に他人を傷つけていたA組が、“加害者としての自分”も意識するようになった。「Let’s Think!」ができるようになったのだ。

 柊が作ったフェイク動画は、武智に対してのものでもあり、電脳部に対するものでもあったのだ。

 我々からしても、SNSでの情報の取り扱いは「投稿」より「拡散」のほうが身近だと思う。大きな罪悪感を伴わないから、余計に厄介である。

■椎名桔平(郡司真人)はネット民と正反対の存在

 このドラマが全10話だとすると、残るはあと2話。伏線の回収作業に入っていると見せかけて、風呂敷は大きくなる一方だ。

 初回から一貫してわからないことがある。そもそも、柊の目的はなんなのか? そして、“黒幕”は一体誰なのか?

 柊に手を貸す警視庁理事官の五十嵐徹(大友康平)は、郡司真人(椎名桔平)から事件の目的を問われ、答えた。

五十嵐「俺も柊も、復讐が目的じゃない。俺たちの相手は別にいる」

郡司「牧原丈一郎ですか? 教育委員会も操れる教育界のドン」

五十嵐「その程度の相手なら、犯罪に加担したりしねえよ」

 元文部科学大臣よりも上の存在とは誰か? 実は、ネット上では「黒幕はネット民では?」という説が飛び交っている。澪奈のフェイク動画をうのみにし、楽しみ、澪奈を叩き続けたのは、確かにネットユーザーだ。だから、柊はマインドボイスで注目を集めることを意識している? でも、それだと、相良文香(土村芳)の“育ての父”孝彦(矢島健一)と五十嵐が柊に手を貸した理由としては弱い気がする。

 1つだけ気づいたことがある。郡司のことだ。五十嵐には「誰と戦おうとしてるんですか?」と、柊には「何をしようとしてるのか確かめに来た」と迫った郡司。真意がわからなければ必ず本人に会いに行き、問うのがこの男だ。グッと踏みとどまらず、気軽に投稿、拡散してしまうネット民と対の存在として郡司は描かれている。

(文=寺西ジャジューカ)

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