「禁煙団体が『いだてん』へ猛抗議」に疑問の声 過去にジブリも……作り手を悩ませる喫煙問題

「禁煙団体が『いだてん』へ猛抗議」に疑問の声 過去にジブリも……作り手を悩ませる喫煙問題

『いだてん』ビジュアルポスターより

 今年の1月から開始したものの、視聴率の低迷が問題となりネガティブな話題でもちきりのNHK大河ドラマ『いだてん 〜東京オリムピック噺〜』。そんな『いだてん』に、もう一つのネガティブな話題が振りまかれ、世間で注目を集めているという。

 それが、このドラマに付けられた喫煙クレームだ。作中に喫煙シーンが多く見られるという理由で、公益社団法人の受動喫煙撲滅機構がこの作品に対して、NHKに2月18日付で抗議を行ったのである。同機構がオフィシャルサイトで公開した抗議文を見ると、「同作品には、受動喫煙シーンがしばしば見受けられ、みな観るたびに閉口し、悲しんでいます」と作中における受動喫煙のシーンが多すぎると指摘。さらに「近年のテレビ・映画などにおいては、過去の時代の再現においても、当時では日常的であったが、現代では、職業・身体・民族等への差別などと受けとられる語句・表現は、使用されなくなり、別の表現に置き換えられるようになっています」と、時代考証が合っていたとしても、現在のテレビにこうしたシーンを描くには配慮が必要と主張し、「こうしたことは、受動喫煙を世間に容認させることにもなります」と非難した。その上で、今後ドラマ中で受動喫煙のシーンは出さないようにすることと、今まで受動喫煙のシーンを流したことについて、テロップなどでの謝罪を求めている。

 この申し入れについて、世間では疑問や批判の声が噴出。元陸上選手の為末大が、SNSのTwitter上でこの申し入れについて「無視していい。歴史は歴史で、その時代に事実だったものはそのまま残すべきだと思う」と意見を表明したほか、ネット上では「いや時代考証だし」「こんなんダメなら殺人も盗みも全部だめじゃん」「ドラマに教育とかそういうの求めないでほしい」と、過剰すぎるとも捉えられる申し入れ内容に対し、不満を述べる声がほとんどだ。

「似たような問題は、以前スタジオジブリが制作したアニメ映画『風立ちぬ』(2013)でも起こりました。こちらの作品も喫煙シーンが多いことから、NPO法人の日本禁煙学会が要望書を提出して、やはり今回のような批判の声が多く上がったんですよね。朝日新聞の取材によれば、今回の申し入れに対する反発に機構は『時代劇の殺陣のシーンでも、人が殺される描写を追求すれば本来はもっと生々しい描写になるはずだが、視聴者が不快感を抱かない程度にマイルドに表現されている。喫煙だけそのまま登場させるのはおかしい』とコメントを返していますが、マイルドな喫煙表現ってどういう感じなんだろうって思っちゃいました(笑)」(テレビ局勤務)

しかし、こうした喫煙シーンの問題については、業界内で配慮しないといけない時代になっているのは確かなようだ。

「それこそ機構のコメントが言う時代劇に例を合わせると、子どもなんかが日本刀による殺陣がカッコいい! と思っても、日本刀なんて簡単には手に入れられないわけですよ。でも、煙草って言うのはそこらじゅうで手に入るものですから…。そういった意味でナイーブになっているのは、おそらくどの局でも同じなんじゃないかと思いますね。まあ、日本で煙草が完全に禁止されるとか、そういう事が起こらない限りは、こうした問題は続いていくんじゃないかと思います」(同)

 時代考証の正しさを取るか、それとも子供をはじめとした視聴者への配慮を取るか……。少なくともしばらくは、こうした喫煙シーンの表現について、ドラマや映画の作り手が頭を悩ませる日々は続きそうだ。

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