『トレース〜科捜研の男〜』最終回目前、錦戸亮が感情爆発! 主役の魅力が際立つ第9話!

『トレース〜科捜研の男〜』最終回目前、錦戸亮が感情爆発! 主役の魅力が際立つ第9話!

『トレース〜科捜研の男〜』公式ホームページより

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 3月4日放映の第9話。『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ・2004年)で凛ちゃんを演じていた美山加恋が冒頭から死体として登場する、その衝撃の内容から。

 仮出所した富樫康太(和田正人)は元恋人・胡桃沢綾乃(美山加恋)の自宅で彼女の遺体を発見する。慌てて逃げ出した富樫は、容疑者として警察から追われることに。7年前に富樫を逮捕した虎丸(船越英一郎)は、彼の犯行ではないと信じるも、それが仇となり捜査から外されてしまう。虎丸は礼二(関ジャニ∞・錦戸亮)に富樫の無実を証明してほしいと頼む。正規の捜査でない真相の解明に、礼二ら科捜研の面々は挑むのであった。

 以上が第9話のあらすじだ。次章より、その内容を振り返りつつ、感想を綴りたい。

■「そうそうこれが見たかった!」感情爆発させた錦戸演じる真野礼二の活躍!

 第9話は、バランスのとれた良質な回だった。

 事件の内容・キャラクターの心情・最終話への伏線。すべて過不足なく描かれており、見易いと同時に、主人公・礼二たちの目線で富樫が助かってほしいと願えた。

 シンプルな物ほど、作り手の頭はフル回転になる。特に第9話は、礼二が家族を失った25年前の事件の振り返りと、メインの富樫の事件の起承転結を描かなければならず、情報量が多かった。

 それでもスルッと見れたのは、脚本の段階から情報の圧縮と連結が見事だったからだろう。

 今までは俯瞰して事件と向き合っていた主人公・礼二が、感情移入して事件に寄り添い、真実を導き出す。それ故に25年前の事件の情報提示を最小限にとどめる事ができていた。

 礼二が正規の依頼でないにもかかわらず、富樫の無実の証明を引き受けたのは、25年前家族殺しのレッテルを貼られた兄を想っての事だろう。虎丸が富樫への「俺だけが(殺してないと)信じてやらなきゃいけない」といった想いを聞き、口には出さないが、「兄にもそう言ってくれる人がいてくれたら」と礼二は感じたに違いない。

 また、富樫が元恋人・綾乃を殺した疑いの強い人間に報復しようとした際、礼二が感情を露わにして食い止める場面は珠玉のシーンだった。

 前提として富樫という男は、父親が犯罪者だったせいで白い目で見られる人生を送ってきた。唯一自分を信頼してくれた元恋人まで失い、自分が加害者として疑われている。「恵まれて生きてきたお前(礼二)には俺の気持ちはわからない」と言う富樫に対し、「俺も同じだ」と家族を失った過去を語る礼二。虎丸とノンナ(新木優子)を前にし、他人に知られたくない過去を持ち出してでも富樫を止めようとする自己犠牲には、胸が熱くなった。

 しかも、主観でなく根拠に基づいて捜査する礼二のキャラを損ねなかったのが素晴らしい。富樫に対して、「根拠がないまま疑う相手を狙うのは、犯罪者の息子だから罪を犯すと言ってくる連中と同じ」という旨を語る。バックグラウンドから誘発される感情の昂りと、性格に由来する説得の仕方……見逃し配信でいうと23分目からの5分間だけでもいいので、多くの人に見てほしいと感じる。

 先の回で必要な要素を組み上げながら名場面にしてしまうメイン脚本の相沢友子氏の腕は一級品であった。

■作中で描かれない関係性まで伝わる演出

 第9話の監督である三橋利行氏の演出も冴えていた。

 昨年4月期の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(同)でも、三橋氏の演出は、台本の良さを引き立てていた。台詞は聞き取りやすく、見せるべき画は見せるという基本を大切にする。無駄なオカズは挟まないため、話についていけなくなることはない。

 本作第9話においては、足し引きの塩梅が絶妙だった。タイトル前、礼二と虎丸が別々の方向を歩き出すだけの場面を濃く見せる事で「今回はこの二人が主軸の物語」とわかった。逆に、科捜研メンバーがノンナの恋心をイジる場面は、シリアスさが崩壊しないようアッサリと終わらせていた。

 またクライマックスで、逃亡する富樫を捜索する際、礼二の同僚たちが協力する場面がある。最終回に向けて特に描かなければならないのは礼二と彼らとの関係値だ。

 市原浩(遠山俊也)は、富樫との通話中の音声を解析するプロフェッショナルな側面で協力的な姿勢を提示できる。ここまでは台本領域であるが、相良一臣(山崎樹範)は捜索開始の際、礼二の肩をポンと叩いたのは演出と演技の領域の可能性が高い。相楽の兄の死の真相を解き明かす4話以来、あまり描かれなかった礼二と相楽との関係の進展が垣間見えた。

 富樫捜索の場面で、いつもエンディングで流れる主題歌を使った編集も、最終回直前だからこそできるニクい演出だった。

 連ドラ後半は、撮影スケジュールがカツカツとなる事が多く、本作も例外ではないと思う。そんな中でも、可能な範囲で出来る限りの事をしようとする姿勢が作品と同様に好感が持てた。

■最終回のセットアップとしても良質な回

 今回は同僚たちだけでなく、虎丸・ノンナと礼二との関係が深まる回だった。虎丸は礼二を素直に頼れるようになっており、ノンナも礼二への恋心を素直に認め、彼を救いたいという想いが明確となった。

 そんな温かい気持ちで繋がる仲間たちであるが、礼二自身は25年前の真相の解明を「復讐」と捉えている節がある。今回、富樫の救出を通して感情を爆発させたからこそ、真犯人と向き合ったときの礼二の行動が楽しみとなった。

 次回は、袴田吉彦が演じる兄の元同級生が絡む事件。11日放送の第10話にも期待したい。

(海女デウス)

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