福山雅治は“爆死案件”を逆転させられるか!? 主演俳優からリストラされる危機『集団左遷!!』第1話

福山雅治は“爆死案件”を逆転させられるか!? 主演俳優からリストラされる危機『集団左遷!!』第1話

TBS系ドラマ『集団左遷!!』番組公式サイトより

 福山雅治にとっては、『ラヴソング』(フジテレビ系)以来となる3年ぶりの主演ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)。『ラヴソング』が大コケした福山にとっては、正念場となる連ドラです。銀行員たちがリストラの危機に立ち上がるという企業ものですが、視聴率的に厳しいと福山自身が人気俳優というポジションからリストラされかねません。しかも、原作小説『集団左遷』は1994年に柴田恭兵主演作として東映で映画化されていますが、興行的に大爆死した作品です。はっきり言って、不安要素の多い案件です。いろんな意味でハラハラしてしまいますね。85分拡大スペシャルとなった第1話を振り返ってみましょう。

 NHK大河ドラマ『龍馬伝』で幕末のヒーロー、フジテレビ系の人気ドラマ『ガリレオ』では天才物理学者を演じてきた福山ですが、今回は平凡なサラリーマン役だそうです。主人公・片岡(福山)は大手の三友銀行に勤めていますが、エリートコースというわけではありません。そこそこ頑張ってきて、50歳を目前にしてようやく支店長への昇格が決まりました。一国一城の主になれたうれしさを隠せない片岡でした。

 しかし、この昇格人事にはトラップが仕掛けられていました。三友銀行は地方銀行を吸収合併することでメガバンク化したものの、リーマンショック以降は業績が悪化する一方。思い切った支店の統廃合と社員の大幅なリストラを進めることが決まっていたのです。片岡をはじめ選ばれた12人の新支店長たちは、廃店候補の支店に配属されるのです。これでは全然うれしくありません。

 

いかにもな悪役上司、三上博史の登場!

 芦田愛菜主演ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)以来、久々の地上波ドラマへの出演となる三上博史が、いかにもエキセントリックそうな悪役キャラクターとして登場します。12人の支店長たちを集め、人事担当の横山常務(三上)が訓示を垂れるのですが、とんでもない内容でした。

横山常務「みなさんは、頑張らなくてけっこうです。支店長として余計なことはしないでください」

 スムーズに廃店へと事が済めば、支店に勤める行員たちはクビを切られても、支店長だけは三友銀行に残れるようにするというのです。頑張らないように頑張れと、矛盾した励ましの言葉で12人の支店長たちを送り出す横山常務でした。

 恐る恐る、蒲田支店へ着任した片岡ですが、着任のあいさつをする間もなく、若手行員の平(井之脇海)の融資相手が5000万円を持って夜逃げするという騒ぎが勃発。この事件、片岡が相手の行動を先読みすることで、見事に解決してみせます。『ガリレオ』の湯川ばりの推理力を発揮する片岡でした。「頑張らなくていい」と言われていたのに、ついつい頑張ってしまい、逆に落ち込んでしまう片岡。頑張れと言われればやる気が失せ、頑張るなと言われれば張り切ってしまう。人間は不思議な生き物です。

 

本店への帰り道を失った支店長はどうなる?

 初回のクライマックスは、横山常務に片岡支店長がタンカを切るシーンでした。蒲田支店の若手行員・滝川(神木隆之介)が取引先である零細企業に対して親身に尽くしている姿に感化され、片岡は思わず反逆宣言をしてしまいます。

片岡「私に頑張らせてください! もし、ノルマが達成できれば、廃店にはしないでください!!」

 土下座しながら直訴する片岡ですが、上下関係が絶対である銀行で、しかも上層部がすでに決定している事項に逆らうわけですから、もう本店に戻っても居場所はありません。しかも、その達成ノルマは半年内で100億円です。売り上げが悪いことから廃店が確定している支店が、いくら努力しても稼げる数字ではありません。人のいい片岡支店長とのほほんとした蒲田支店の人々は、この無理難題をクリアすることができるのでしょうか。

 原作は『集団左遷』に加え、同じく江波戸哲夫が書いた『銀行支店長』の内容も盛り込んであります。ノルマが達成できなければ全員リストラという設定は『集団左遷』で、メガバンク化で合併した側とされた側との銀行支店内の見えない軋轢というモチーフは『銀行支店長』からのものです。どちらもかなり重たい内容ですが、今回の『集団左遷!!』は初回を見た限りでは、福山のコミカルな演技が目立ちます。ライト感覚のサラリーマンドラマを、TBSは目指しているようです。

 日曜劇場の企業ドラマでおなじみの香川照之が片岡支店長よりも貫禄のある旧地方銀行系の副支店長・真山を演じていますが、『半沢直樹』(TBS系)のときのように顔面クローズアップをやたらと多用しない点は、クドくなくていいなと思いました。でも、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の詐欺師役でプチブレイクした小手伸也を、本店の検査次長・鮫島役に起用したのはどうでしょうか。小手がマジメに演じれば演じるほど、ダー子(長澤まさみ)に頼まれて銀行に潜入した詐欺師に思えてきてしまいます。他局のドラマだから、ダー子が現われるわけはないのですが……。

 さて、気になる初回の視聴率は? 13.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という、思いがけず高い数字でした。前クールに放映された『グッド・ワイフ』が初回10.0%、シリーズ平均9.7%だったので、かなりの好スタートだと言えそうです。TBSの伝統枠「日曜劇場」というブランド力に、視聴者からの初回ご祝儀という上乗せもあるかと思います。

 ちなみに同じく金融業界を舞台にした池井戸潤原作ドラマ『半沢直樹』(TBS系)は、平均28.7%、最高視聴率となった最終回は42.2%という信じられない数字を残しています。片岡支店長は絶対に不可能な100億円というノルマに挑むことになりますが、福山も『集団左遷!!』を『半沢直樹』の牙城に迫る奇蹟のドラマへと変えることができるのでしょうか。2話以降も、なるべく頑張らずに追い掛けたいと思います。
(文=長野辰次)

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