福山雅治のかわいいおじさんぶりが空振り残念!! 廃店銀行に預金が増える謎『集団左遷!!』第4話

福山雅治のかわいいおじさんぶりが空振り残念!! 廃店銀行に預金が増える謎『集団左遷!!』第4話

TBS系ドラマ『集団左遷!!』番組公式サイトより

 福山雅治が主演する超ライトなサラリーマンもの『集団左遷!!』(TBS系)。共演が香川照之、三上博史ら演技派だけに、より福山の芝居の軽さが目立ちます。軽さの中に味わいが出てくるといいのですが、さてどうでしょうか。早くも前半戦クライマックスを迎えた第4話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 三友銀行蒲田支店は半年で100億円のノルマを達成しないと廃店になることが決まっています。片岡支店長(福山雅治)たちは何とかノルマを達成しようとがんばっているのですが、本部の横山常務(三上博史)からいつも横やりが入ってしまいます。横山常務に蒲田支店の情報を流しているスパイを、片岡支店長はようやく見つけます。着任してきたばかりの片岡に最初に懐いてきた花沢課長(高橋和也)でした。娘の結婚を控えている花沢課長は、三友銀行の行員として結婚式に出席したいというあまり、自分だけはリストラされないという条件でスパイ活動に従事していたのでした。

 花沢課長役の高橋和也は、かつてジャニーズの人気バンド「男呼闘組」のベーシストでした。初めてサインを求めてきたファン第1号と結婚し、ジャニーズを解雇されています。その後は俳優としてかなりの苦労を積んできましたが、家庭に帰れば6児の父親でもあります。そんな家族LOVEな高橋にスパイ役をやらせるのは、なかなかナイスな配役です。

 スパイであることがバレ、蒲田支店から追い出されると観念した花沢課長に、片岡支店長は優しい言葉を投げ掛けます。「ここでやり直しましょうよ。きれいさっぱり忘れますから」と人間としての器の大きさを見せる片岡支店長でした。花沢課長を二重スパイに仕立て、逆に横山常務にフェイクニュースを流すなどの作戦も考えられましたが、NHK大河ドラマ『龍馬伝』に主演した福山雅治はそんな小細工には頼りません。「横山さんからの電話にはもう出なくていいんですよ」とスパイ活動の件は不問に処するのでした。

 ましゃのユルかわぶりがさらに発揮されます。駅前にて蒲田支店のみんなで「大商談会」のお知らせのチラシを配るシーン。蒲田のゆるキャラ「かまたん」の着ぐるみが首を外すと、中から50歳になった福山雅治の顔が。かわいいおじさんぶりをアピールします。このシーン、せっかく福山に着ぐるみを着せるのなら、単なるファン向けのサービスカットで終わらせるのはもったいないなと思いました。若手行員たちが片岡支店長のことを「相変わらず、がんばろうしか言わないよ」「あの年齢で、あの軽さ。ヤバくねぇ」とディスってる最中に、実は着ぐるみの中身は片岡支店長でした……などのギャグに使えたんじゃないでしょうか。福山の演技も軽ければ、脚本の甘さもずいぶん目立ちます。

 第4話では、その脚本の甘々さがくっきりと露呈します。木田(中村アン)たち蒲田支店の女性行員たちを、経済誌の編集者(猫背椿)がグラビア撮影するために訪れました。1週間後、片岡支店長たちが発売されたばかりの経済誌を開くと、お目当てのグラビアページはなく、蒲田支店が廃店&リストラの危機にあることをスクープした特集記事にすり替わっていたのです。三友銀行全体の財政内情が悪化していることにも言及した内容でしょうから、数日で裏どりしてサクッと書ける記事ではありません。そもそも大手銀行の内情を暴露した記事を掲載することは、普段から大量に広告出稿してもらっているクライアントタブーに抵触するため、容易ではありません。

 その後の展開はさらに「はぁ?」と首を捻りたくなるものでした。取引先の銀行の経営状態がヤバいとなれば、みんな預金を引き揚げる取り付け騒ぎが起きるはずです。当然のように蒲田支店の窓口にはお客が殺到しました。ところが驚いたことに解約を求める客はひとりもおらず、みんな「ここがなくなったら困るからさ」と新たに預金を預けたいと言うのです。片岡支店長はウハウハです。

 これが地域密着型のプロスポーツや地元で長年愛されてきた老舗の食堂などなら分かります。でも、シビアな金融業界を舞台にしたサラリーマンもので、この安直な展開はありえないでしょう。預金を預けにきたお客の中には、ブタ型貯金箱を手にした子どもも混じっています。脚本家は過去に『ROOKIES』(TBS系)などのヒット作を放っているいずみ吉紘ですが、ご都合主義が目に余ります。この脚本でOKしたディレクターとプロデューサーもどうかしています。視聴者を舐めきっています。サラリーマンドラマを軽快に描くことと、軽薄化することを完全に履き違えています。

 

信用を失ったら終わりだ

 第4話では、片岡支店長が本部へと走り、横山常務と直接対決する シーンが2度にわたって描かれました。花沢課長にスパイ行為をやらせていたことに加え、地面師(戸次重幸)の詐欺行為に気づきながら蒲田支店に40億円もの融資をさせようとしていたことを糾弾する片岡支店長。これに対し、横山常務は明後日の方向を向いて「 ひどい言いがかりですね〜」とシラを切ります。 この明後日の向き方は、性格俳優・三上博史ならではの実に素晴しい妙演でした。

 片岡課長(→支店長)の直訴の甲斐なく、花沢課長は別会社に出向することが決まり、1人寂しく蒲田支店から去っていきます。 多摩川沿いの暗い夜道、花沢課長の「がんばれ〜、蒲田〜。 がんばれ〜、蒲田〜」というエールだけが響き渡ります。 泣けるシーンのはずでしたが、せっかくの高橋和也の味のある演技も、ご都合主義が目立つ脚本のせいで感情移入できずに終わってしまいました。

 

気になるメガネ女子行員

 どうしても不満ばかり出てきてしまいますが、ここに来て女性キャストのひとりが気になってきました。三友銀行イメージガールの生田絵梨花ではなく、蒲田支店の窓口にいるメガネ女子行員の橋本真実です。経済誌のグラビア撮影では、中村アンと張り合ってポージングする姿がありました。地味な銀行の制服姿が似合っており、いい感じです。ドラマの本筋とは直接関係のない、中村アンvs.橋本真実の女性行員同士の影バトルを楽しみにしたいと思います。

 さて、気になる視聴率は? 第1話13.8%、第2話8.9%、第3話10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という推移でしたが、第4話は9.2%という結果でした。二ケタを守ることはできませんでしたが、あのズボラな脚本では仕方ありません。頼りない片岡支店長を支える真山副支店長役の香川照之や哀愁漂う高橋和也たちの名演があったから、まだこの程度の数字の落ち込みで済んだのでしょう。

 第5話はキムタク主演映画『検察側の罪人』(18年)の犯人役で注目を集めた酒向芳、支店総括部の宿利部長がクローズアップされるようです。脇役ひと筋で生きてきたおじさん俳優たちの熱演に応える、真っ当なドラマになることをせつに希望します。

(文=長野辰次)

関連記事(外部サイト)