福山雅治主演ドラマの脚本家を終盤にきて変更!! ドラマ制作の正義とは何か『集団左遷!!』第8話

福山雅治主演ドラマの脚本家を終盤にきて変更!! ドラマ制作の正義とは何か『集団左遷!!』第8話

TBS系ドラマ『集団左遷!!』番組公式サイトより

 視聴率が低迷していることで話題となっている福山雅治主演ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)。エンドロールにクレジットされる脚本家の名前も変わり、ますます『半沢直樹』(TBS系)そっくりになってきました。終盤になってからのテコ入れ、吉と出るか凶となるか。第8話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 脚本家が野球ドラマ『ROOKIES』(TBS系)のいずみ吉紘から、今年2月に公開された池井戸潤原作の企業サスペンス映画『七つの会議』の脚本に参加していた李正美に変わりました。第2章本部編からは三友銀行に勤める片岡(福山雅治)の奥さま・かおり(八木亜希子)も、岩盤浴仲間だった幼なじみ(パパイヤ鈴木、赤堀雅秋)らも姿を消してしまいました。確実に数字が期待できる香川照之と三上博史らだけが残り、まったく別の企業ドラマになった感があります。

 蒲田支店が廃店となり、三友銀行本部の融資部へ異動となった片岡。融資担当の隅田常務(別所哲也)から、横山専務(三上博史)の怪しい動きを探るように命じられます。なんだか高橋克典が主演した『特命係長・只野仁』(テレビ朝日系)みたいな展開です。残念なことに、お色気シーンはありませんが。

 片岡は日本橋支店の副支店長となっていた真山(香川照之)と連絡を取り合い、日本橋支店に三友銀行の重大な秘密が隠されていることを察知します。入居率90%という人気を誇るシェアハウスを経営する「レジーナ・ホームズ」に横山専務は多大な融資を進めていましたが、ネット上での評判はよくありません。そこで片岡と真山が「レジーナ・ホームズ」に出向いて直接問いただすと、入居率90%は表向きなもので、実際は50%だったことがあっさりと判明します。三友銀行本部の審査部は何をしていたのでしょうか?

 この不正事実を片岡たちが隅田常務に報告すると、横山専務は先手を打って、みずから「レジーナ・ホームズ」の不正を暴露します。三友銀行の株価は下落しますが、寸前のところで横山専務は逃げ切ったのです。素晴しい危機回避能力です。

 

ついに明かされたメガバンクの闇とは?

 この騒動の煽りを喰らったのは、日本橋支店の支店長・金村(川原和久)でした。不正に気づかなかった責任を問われて退職。代わりに横山専務への忠誠心が厚い鮫島(小手伸也)が新しい支店長に就任します。日本橋支店に代々伝わる三友銀行上層部の秘密を守ろうとします。

 横山専務らが必死で隠そうとする巨大企業の闇とは、いったい何でしょうか? 三友銀行から去った金村のもとを訪ねた片岡が、「これは金村さんにとって正しいことなんでしょうか」と中学校の学級委員みたいな台詞を口にすると、金村はあっさりゲロします。日本橋支店は代々にわたって秘密口座を管理し、役員たちに裏金を流していたのでした。

 裏金を受け取っていた役員たちの名前がリスト化された金村メモは、反横山派である藤田頭取(市村正親)の手に渡ります。藤田頭取はその場で歌い踊り出しそうなほど大喜びです。雌雄を決する役員会議の日がやってきました。意気揚々と会議の場でリストを公表する片岡。しかし、そのリストからは横山専務の名前だけが忽然と消えていました。土壇場になって、藤田頭取は横山専務と手を組むことにしたのです。またしても横山専務に先回りされてしまいした。横山専務は邪魔な役員たちを一掃でき、満面の笑みです。思わず、苦虫を噛み潰す片岡でした。

 前回はカルロス・ゴーン逮捕ネタでしたが、今回はスルガ銀行の不正事件とレオパレスの偽装問題を一緒にしたような内容でした。とりあえず時事ネタを取り上げて、社会派ドラマっぽくしています。また、役員会議の日を迎えたことを知らせるように、あざとく太陽が映し出されます。思いっきり、『半沢直樹』まんまの世界となった本部編でした。

 さて、第8話の気になる視聴率は? 第1章蒲田編の完結となった第6話が7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2章本部編が始まった第7話が9.4%、そして今週の第8話は11.9%! よもやの2ケタ台復帰です。福山雅治の出世作『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系)で妹・小梅を演じた大路恵美が金村の奥さん役でゲスト出演するも1シーンだけで見せ場なし……などの不満はいろいろありましたが、恥も外聞もなく、池井戸潤ドラマふうにしたことで視聴率が劇的に回復したのでした。

 第3話の10.1%以来の視聴率二ケタ復帰で、福山雅治やプロデューサーたちは大喜びでしょう。でも、そこでふと思うのは、福山演じる片岡がよく口にする「銀行員にとっての正しいこと」という台詞です。節操なく路線変更して視聴率を10%台に戻した『集団左遷!!』ですが、ドラマ制作者にとっての正しいこととは何だろうかと考えさせます。ドラマ制作者としての正義、もちろんそれは少しでも高い視聴率をとることでしょう。でも、数字を稼ぐことだけが正義なら、それはちょっと寂しいことです。

 

クライマックスのキーパーソンは!?

 第8話の演出を担当した平川雄一朗ディレクターは、『ROOKIES』をヒットさせた他にも『白夜行』(TBS系)や『義母と娘のブルース』(TBS系)などの秀作ドラマを手掛けてきました。組織の論理では計れないものを描いてきたディレクターです。『半沢直樹』や7月から始まる日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』の福澤克雄ディレクターがTBS社員なのに対し、平川ディレクターは社外スタッフです。そんな平川ディレクターがどんなサラリーマンものを描くのか、少しだけ期待していました。でも、数字の論理の前で、平川色は出せないままとなっています。

 横山派の一員となった梅原(尾美としのり)は窓際族となった宿利部長(酒向芳)の後任部長へと出世しましたが、リストラの危機に遭いながらも銀行員としての正義を貫こうとする同期入社の片岡のことを冷たく拒絶することができずにいます。自分の身の安全、そして家族のことを優先して考える梅原は、「がんばる」から「銀行員としての正義」が口癖になった片岡よりも、人間味を感じさせるキャラクターです。平川ディレクターもいちばん感情移入しているのではないでしょうか。クライマックスのキーパーソンとなりそうな梅原の動向に注目したいと思います。

(文=長野辰次)

関連記事(外部サイト)