盛り上がった「MGC」、マラソンファン熱狂の裏で露呈した”世界との圧倒的な差”

盛り上がった「MGC」、マラソンファン熱狂の裏で露呈した”世界との圧倒的な差”

イメージ画像/出典:phon-ta

 東京五輪のマラソン代表選手を決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が15日に行われ、中村匠吾が2時間11分28秒で優勝。瞬間最大視聴率が20%を超えるなど、大会は盛り上がったが、“本番”に向けて課題が浮き彫りになる結果となった。

 事前の予想では、日本記録を破って報奨金1億円を手にした大迫傑と設楽悠太、昨年12月の福岡国際マラソンを好タイムで優勝した服部勇馬、昨夏のアジア大会のマラソン金メダリストの井上大仁ら“BIG4”が本命視されたMGC。しかし優勝したのは伏兵の中村だった。箱根駅伝を30年近く見続けてきたスポーツライターはいう。

「中村は一般的な知名度こそ高くありませんが、マラソンファンの間では知らない人はいない名選手です。高校時代にインターハイで表彰台に上り、名門・駒沢大学では箱根駅伝に3度出場。最大の魅力は大崩れしないことで、大学3大駅伝(出雲、全日本、箱根)で区間4位以下になったことは1度もありません。1区を走った最後の箱根駅伝では、先頭が激しく入れ替わるなか、グッと力を貯め、最後に抜き去るという、今回のMGCのようなレース展開で区間賞を取っています」(スポーツライター)

 これで2位の服部とともに、東京五輪代表の切符を手にした中村。本命の大迫も何とか3位に入って出場枠獲得が濃厚となり、現状では最強の布陣で五輪に臨むことになりそうだが、専門家の見る目は厳しい。週刊誌のスポーツ担当記者はいう。

「マラソン界では近年、前半よりも後半の方がペースが上がる『ネガティブ・スプリット』がトレンドで、30kmを超えてから5km14分台前半で走るのは当たり前です。しかし今回のMGCは、あんなにタイムが遅かったのに、後半にペースが落ちています。アフリカ勢にスパートを掛けられたらイチコロでしょう。また、タイムの悪さを気温のせいにする声もありますが、北京五輪で優勝したワンジルは、最高気温33℃という状況の中、2時間6分台で優勝しています。MGCのコースは東京五輪とほぼ同じですが、今回中村が出した11分台のタイムでは、本番では10位に入るのも難しいでしょう」(スポーツ担当記者)

 マラソンは人気種目だけにメダルを期待したいが、世界のレベルは遥か遠くにあるということ。ただ、MGCでは1つの光明が差したのも事実だ。

「女子の部で優勝した前田穂南の2時間25分台という成績は、20km地点から独走だった点も加味すると、かなりの好タイムです。23歳ということでまだまだ伸びしろも期待できますし、メダルが期待できるのは男子よりも女子です」(同上)

 振り返れば、高橋尚子や野口みずきなど、これまでも五輪で結果を残してきたのは女子の方。大迫と設楽に1億円を大盤振る舞いするなど、景気の良いマラソン界だが、東京五輪の結果次第では、「男子より女子にボーナスを」という声も上がってきそうだ。

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