「テレビのウソ」を楽しむ、新しい地図

「テレビのウソ」を楽しむ、新しい地図

新しい地図

稲垣吾郎「レインボーブリッジも渡りたいですけどね」

 SMAPの解散危機が報じられたのは2016年の1月。あれから4年がたった今、ジャニーズ事務所から独立した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾 の3人からなる新しい地図が、地上波のテレビ番組に相次いで出演している。

 これまでも、誰か1人が出演したり、3人が短いインタビューに答える形で出演する機会はあった。けれど、3人一緒にガッツリと地上波のテレビ番組に出る場面は、この年末年始まであまりなかったのではないかと思う。2020年は東京オリンピック・パラリンピックの年。国際パラリンピック委員会の特別親善大使を務めている3人をテレビで見る機会は、これから夏に向けて増えていくのかもしれない。

 その序章のように、6日と7日、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)に新しい地図が出演。加藤浩次らスッキリチームとパラリンピックの競技(パラスポーツ)で対戦する様子が放送された。

 対戦が始まる前に、久しぶりに日本テレビに来たという草なぎが言う。

「やはり、たまには麹町に来ないとダメですよね」

 続けて稲垣が、フジテレビを意識したかのような発言を重ねる。

「レインボーブリッジも渡りたいですけどね」

 そして、奔放な2人を制するようなそぶりを見せながら、香取がニヤッと笑って言う。

「今日は2人とも調子いいです」

 この年末年始を少し振り返ってみると、先月31日の『ガキの使い!大晦日年越しSP 絶対に笑ってはいけない青春ハイスクール24時!』(日本テレビ系)に、ダウンタウンらを笑わせる仕掛け人としてそれぞれが登場。草なぎは『全裸監督』の村西とおるに扮し、香取はミニスカートでパンチラをし、稲垣は「大きなイチモツをください」と歌い上げた。エンディング近くでは、3人が勢ぞろい。SMAPのヒット曲「世界に一つだけの花」に酷似したイントロが流れ、まさかと思わせた後に、「マンマン満足! ガキ出て満足!」と歌い踊った。

 今月2日の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)では、3人がバトンタッチしながら出川と電動バイクで旅をした。充電をしに突然、住宅街などに現れた彼らに驚く民家の人たち。お店の人たち。そして、騒ぎを聞きつけて集まった近所の人たち。新しい地図の面々は、出川と一緒に一般の人たちとの記念撮影に気軽に応じていた。

 もちろん、ネットテレビでは彼らのレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』(AbemaTV)が放送されている。CMや雑誌などで彼らの顔を見る機会も多い。けれど、特に『充電させてもらえませんか?』は地方での撮影だったからだろうか、日本全国、老若男女、多くの人たちに愛された彼らの”スター性”が、あらためて浮き彫りになったように思う。

 彼らが自分たちの日常にいることの非日常。それがテレビに映る日常。テレビの一時代を担ってきたスターが戻ってきたという印象を受けた。

 それにしても、新しい地図の面々がテレビに出演する際、しばしばSMAPの存在が匂わされる。たとえば、『充電させてもらえませんか?』でSMAPの曲がBGMとして繰り返し使われたり、草なぎや香取の発言内容が中居正広にそっくりなことを指して出川が「ホント似てるよね、SMAPって」と言ったりする。あるいは、旅で出会った一般女性が「ごめん、キムタク派なん」と言い、香取が爆笑するという場面もあった。

 3人だけではない。10日の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)のゲストに堺正章が出演し、彼が所属していたグループサウンズバンド、ザ・スパイダースとその解散の話題に触れたときのこと。「スパイダースに入ったときから、早く抜けたかったんだ」という堺は、「あなたもそうでしょ?」と中居に問いかけた。中居は「そんなことないですよ。僕らグループでしたから」と応答。その後も「SMAP」というワードを一切使わずに、「グループ」という言い方でSMAPとその解散の話題がそれとなく語られた。

 そんな場面をテレビで見ると、少しドキッとしてしまう。というのも、SMAPとその解散についての話題は、テレビの中でタブーのように扱われてきたからだ。その緊張感にワクワクする。緊張からの緩和ゆえか、笑ってしまったりもする。『笑ってはいけない』でブリーフ姿の草なぎが松本人志に「ズバリあなたは、草なぎ派、中居派、どちら?」と問いかけたときのように。

 けれど、どこか不思議な話だ。そもそもSMAPをタブーにしたのはテレビである。そのテレビ自身がタブーを少し破った映像をお届けする。そんなマッチポンプの構造がここにはある。タブー破りにドキッとしたりワクワクする側も、本人や周囲のちょっとした言動からSMAPを暗示するメッセージを読み取ろうとする側も、そしてこの記事も、そんな構造に組み込まれている。

 ただ、テレビの中にあらためて足を踏み入れた新しい地図の3人は、その状況をなんだか楽しんでいるようにも見えた。『スッキリ』でいえば、草なぎの「たまには麹町に来ないと」であったり、稲垣の「レインボーブリッジも渡りたい」であったり、そして香取の「2人とも調子いいです」というフォローであったりがそうだ。

 かつてSMAPが総合司会を務めた2014年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)は、SMAPの”生前葬”をうたったり、”SMAP解散”をシミュレーションしたドラマが放送されるなど、フェイクドキュメンタリーの要素がふんだんに取り入れられた番組だった。そこで香取は最後にこう語った。

「テレビ大好きで、子どもの頃からSMAPで、テレビに育ててもらって、テレビから学び、テレビと笑い、テレビと泣き、この27時間中も笑ってたりとか、なんだよ、ふざけんなよとか言いながらも、すげぇ楽しいとこあったりとか、そういうテレビのウソが最高に楽しいです」

 タブーを作る側がタブーを破る。そんな「テレビのウソ」を楽しむスターたちが、テレビに戻ってきた。これからも見ていたいなと思った。

 最後に、『スッキリ』でパラスポーツの魅力を語る香取の言葉を。

「野球とかサッカーは、ルールとかを結構知ってるじゃないですか。だけどパラスポーツってホントに知らないことが多いから。ゼロから知れるっていう喜びもあったりして。みなさんも知らないことを知るチャンスとして、みんなで盛り上げていけたらなと思います」

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