ギャンブル漬け×マザコンのやばすぎるお笑い第7世代「空気階段の踊り場」はふたりのまんまを描いた“生き様ラジオ”

●今回の番組 「マイナビ Laughter Night 空気階段の踊り場」
金曜日 24時30分〜25時(マイナビLaughter Night内)TBSラジオ
https://www.tbsradio.jp/odoriba/

「空気階段」というお笑い芸人を知っていますか?

 鈴木もぐらと水川かたまりのコンビで、所属は吉本興業。「キングオブコント2019」で決勝進出して注目され、その時彼らのコントを初めて見たという人も多かったのではないでしょうか。

 吉本興業の劇場「ヨシモト∞ホール」の顔となる“TOP5”のメンバーにも選ばれるほどコントが面白い芸人さんなんですが、そんなふたりが金曜の深夜にTBSラジオで番組をやっているんです。

 私は空気階段のラジオ番組のスタッフではありませんが今回は、今とても気になる存在で、もっとたくさんの人に聴いて欲しいTBSラジオ『空気階段の踊り場』です。

 空気階段は、2012年結成。大きな体と突き出たお腹が特徴のもぐらさん(32歳)と、痩せてて眼光鋭いかたまりさん(29歳)の2人組。番組の担当ディレクターが知り合いということもあり、TBS社内で会うといつも挨拶をしてくれます。私も見かけると嬉しくて手を振ったり……そんな関係です。

 鈴木もぐら(※以降、敬称略!!)は、タバコ、お酒、借金、ギャンブルなど……不健康すぎて「お前死ぬぞ!」とスタッフから叱られるほど、芸人らしい(?)見た目と生活をしている男で、“「空気階段」スペース「鈴木もぐら」”で検索すると次に出てくるワードは「借金」。お金がなくて苦しい中、夜勤明けで帰宅した部屋でTBSラジオを聴いて暮らしていた時期があり、朝の「生島ヒロシのおはよう定食」「森本毅郎スタンバイ」など早朝ラジオに詳しかったりします。

 一方の相方・水川かたまりさんは、ラジオ番組の中では人見知りで熟女好きでマザコンキャラですが……(どうやらマザコンは本当みたいです)。かたまりさんから生まれるコントは本当に素敵で、初めて単独公演を客席で見た時、映画をひとつ見終えたような、本を1冊一気読みしたような感動がありました。

 空気階段のコントは脚本がすごく良くて、その世界の中にぐんぐん引き込まれます。そして、もぐらがコントで演じるちょっと可笑しなおじさんのキャラクターが最高に面白いのです。繁華街に居そうな、取引先で会いそうな、近所に住んでいそうな……でも本当にいたらヤバそうな、いや確実にヤバい、そういうキャラクターを鈴木もぐらは見事にやっているんです。演じているというか、もはやキャラクターが憑依している、変幻自在のヘンなオジサン!

 そんなコント師と名プレイヤーがやっている番組なんですが、『空気階段の踊り場』はラジオコントをメインとしている訳ではなくて、若手芸人らしいふたりのエピソードと、生々しい、人間くさいトークが魅力です。だって、この2人の人生そのものが『踊り場』には詰まっているから。

 もぐらは、ラジオが始まって2年足らずで生活が激変!! 借金だらけなのに意中の女性にラジオで告白して成功。その後、彼女の妊娠が分かって結婚。気が付けばパパもぐらになっていました。

 もちろん借金がそんなにすぐ返せるわけでなく、今でも家族3人そろって暮らせていなくてたいへんな状況なんですけど、それでもこの激変をリスナーは一緒に体験したような気分になります。

 一方、かたまりさんはマザコンで、どことなく童貞っぽい雰囲気(※あくまで勝手な印象)だったのに、実は彼女と同棲していたことが発覚。しかし、その大好きな彼女と別れてしまったことを突然ラジオで吐露。号泣しながら。

 でも、その別れのエピソードが本当に切なくて、最後には別れた彼女への手紙をやっぱり泣きながら朗読します。「世界で一番大好きです。僕のお嫁さんになってください。」とフラれたのにプロポーズの言葉で結ばれたかたまりさんのラブレターは、端的にまとめれば若手芸人が女性にフラれただけの、単なる失恋エピソードなのに、胸にジーンとくるんです。

 ……“世界で一番好き”って何だよー!言われてみたいよー、泣くなよかたまり!!! ……と、最終的にはまんまと私もグスンときました。してやられたって感じですね。(その後、時を経てプロポーズが成功。先日入籍したこともまた、ラジオで報告していました!!!)

 とにかく、彼らのラジオは彼らの人生そのもの。

『空気階段の踊り場』を“ドキュメンタリーラジオ”と評した記事を読んだことがありますが、まさにその通りで、キングオブコントの決勝出場が決まった時の喜びも、決勝戦を終えて二人が感じたコントへの熱い気持ちも、全部ラジオで話しています。だから、親戚のオバサンになった気分で、気が付けば芸人・空気階段を応援するようになっていました。

 テレビに出ているのを見て嬉しくなったり、空気階段の単独LIVEが即完売すると誇らしくなったり、番組グッズ(Tシャツ!超カワイイんです)を買ったりしています(笑)。

 ふたりをずっと見守ってきた、3人目の空気階段みたいな担当ディレクターは、「借金750万円の不健康と、仕送り総額1000万以上のマザコン。愚者と愚者、グシャグシャ」と、まだまだ厳しい対応ですけど、それも愛だと思います。

 ちなみに、今年3月に行われる空気階段の第4回単独ライブは5公演とも即完売。去年11月にやったラジオ番組発のイベントも大盛況!!! ラジオリスナーの集結力と、空気階段のラジオ人気を実感できるイベントだったと思います。

 “ラジオをやりたい芸人さんは意外と多い”

 時折見かけるこのワード、ラジオ局で働く者として本当に嬉しい言葉で、メディアとしてラジオの広告価値が下がっている今、自分が自分の仕事に向き合う自信にもなります。

 雑誌等で「ラジオの復権」「いまラジオがアツい」「今こそラジオ!」なんて特集をよく組んで頂きますが、ありがたい反面、私が入社した2007年頃からずっと“復権”を謳われ続けているのも事実。

「現在進行形でずっとラジオが復権してるんだ!」……と信じたいけど、そうでないことも肌で感じる日々ですから、空気階段みたいな若手芸人がパッションを傾けるラジオ番組が起爆剤になって、空気階段の認知がもっと広がって、ラジオファンがどんどん増えて、空気階段が超人気者になったらいいなと思っています。ホントに。

阿部 千聡(あべ・ちさと)
2007年、TBSラジオ入社。ラジオニュースのAD、記者見習いとして配属された後、編成部のトラフィック担当など内勤を経て制作現場へ。「たまむすび」「サンドウィッチマンのWe Love Rugby」「土曜朝6時 木梨の会。」などを担当。

関連記事(外部サイト)