視聴率2ケタ回復の『はじめまして、愛しています。』が完全にカルトで超怖い!

視聴率2ケタ回復の『はじめまして、愛しています。』が完全にカルトで超怖い!

テレビ朝日系『はじめまして、愛しています。』番組サイトより

 遊川和彦脚本の『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日系)は最終回前の第8話。視聴率は10.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、6話ぶりに2ケタに戻しました。

 特別養子縁組制度によって本当の家族になろうとしていたハジメ(横山歩)を実の祖母・黒川月子(富田靖子)に連れ去られ、悲嘆にくれる信ちゃん(江口洋介)と美奈ちゃん(尾野真千子)の梅田夫婦。今回はそんな“被害者”2人が周囲に八つ当たりしまくるところからスタートです。

 2人は会話もなく、信ちゃんの妹・春さん(坂井真紀)や巧くん(速水もこみち)が慰めに来てくれても耳を貸さず、挙句に信ちゃんは「二度と来るな!」と、妹弟を家から追い出してしまいます。美奈ちゃんは美奈ちゃんで「どこでもドアがあれば今すぐハジメに会えるのに」とか「石ころぼうしがあれば道端の石ころになってハジメのそばにいられるのに」とか、完全にお花畑状態。ふと我に返って子作りをしてみようとするものの、到底セックスなんかできる気分じゃないようです。

 翌日、ハジメを黒川の家に戻すという決定を下した児相を訪れ、ずっとお世話になっている堂本さん(余貴美子)に「どうしたらまた、ハジメと暮らせるか」と相談。いちおう、家庭裁判所に「監護者指定」を申し立てるという方法があることを知ります。でも、それが通るのは奇跡に近いのだとか。

 この「監護者指定」という制度。初耳だったのでちょっと検索してみたところ、離婚成立前に完全に別居している夫婦が、まだ親権が両親にある状態で、どちらが子を育てるかを定めるケースなんかで利用されるようです。3カ月間、里親になる前提で同居していたとはいえ、赤の他人である梅田夫婦にそれが適応されるのは、確かに難しそう。

 でも美奈ちゃんは完全に“出来上がってる”ので、冷静な判断ができません。「私たちのことなんか関係ないって言い方ですよね」と堂本さんに逆ギレをかまし、信ちゃんと2人で長野の黒川邸を訪ます。そして鉄柵を乗り越えます。もうなんでもアリです。

 すると、庭にハジメを発見。ハジメが「迎えに来てくれたの!?」などと口走ったのをいいことに、抱え上げて連れ去ろうとします。

 そこに例の黒塗りベンツで現れた月子さん。沈着冷静に地元の「署長」に直電。「誘拐犯がいるんで、捕まえてもらえますか〜」と、悠然と通報しました。110番じゃなくて署長に直電なあたり、月子さんの地元での立場や、イヤミな性格がよく表れていて素敵です。美奈ちゃんは、それでも「ハジメ!」と咆哮! ちなみに、黒川の家に戻ることが決まった時点で、この子の名前は梅田夫婦が決めた「ハジメ」ではなく、本来の「ヒカリ」なんですけど。

 完全にブッ壊れた美奈ちゃんを、ほんの少しだけ大丈夫な信ちゃんがなんとかなだめ、警察沙汰にはなりませんでした。

 帰宅後、今度は盛大な夫婦ゲンカです。美奈ちゃんは、おとなしく引き下がった信ちゃんが許せない。信ちゃんは、そうやって人のせいばかりにする美奈ちゃんが気に食わない。勢い、売り言葉に買い言葉で「出ていきゃいいだろ」「わかった」となって、美奈ちゃんは荷物を抱えて実家に戻ります。

 で、すったもんだあるわけですが、結果的には信ちゃんも美奈ちゃんも自分の家族に今まで言えなかったことを言ったり言われたりして、「やっぱり家族って大事!」となり、美奈ちゃんは無事、梅田家に戻りました。

 2人は抱き合って、お互いに「愛しています」と真剣に伝え合います。すごくいいシーンです。「どんなに辛いことがあっても、幸せのために一緒に頑張っていこうよ」と誓い合うのです。

 信ちゃんと美奈ちゃんは、もともととても仲がよくて、幸せな夫婦でした。しかし、信ちゃんは母親に、美奈ちゃんは父親に、それぞれわだかまりを残したまま大人になってしまっていました。

 もしあの日、ハジメという、あの男の子が現れなかったら──2人は死ぬまで親の愛を感じることができなかったかもしれない。胸にシクシクと残る痛みを抱えたまま、ただ慰め合うように暮らしていたのかもしれない。

 しかし、ハジメが来て、人の親になろうとすることで、自らの親ともしっかりと向かい合うことができました。そして、自分たちの親が、本当に自分たちを愛していたことも実感できました。それは、ハジメが2人にもたらしてくれた福音でした。

 ありがとう、ハジメ。もう二度と会えないけれど、ずっと忘れないよ。俺たちは幸せになる、だからハジメも、長野の地で幸せになっておくれ……という話なら、とっても美しいんですけど。

 信ちゃんは、抱き合ったまま美奈ちゃんに言います。

「俺たちが愛してるもう1人の名前を、思いっきり叫びたい」

 え?

「あたしも」

 まさか……。

「ハジメー!」
「ハジメー!」
「ハジメー!」
「ハジメー!」
「ハジメー!」
「ハジメー!」
「ハジメー!」

 いやいやいやいや。怖いよ。カルトかよ。

 というか、今回、必要以上に梅田夫婦を“被害者”として描いていたように思うんですね。愛していれば法律も制度も関係ない、何をしてもいいという夫婦の態度を、あえて肯定的な語り口でミスリードしていたように見えたんです。

 ここまで、このドラマの脚本はハジメことヒカリの実母である泉(志田未来)に対して、まったく手を差し伸べようとせず、ただただ断罪してきました。

「虐待は悪」
「虐待した泉は悪人」
「悪人から子どもを守るべき」

 若くして子を産み、虐待し、精神を病んだ泉の母性と、美奈ちゃんの付け焼刃だけど深刻な母性を対比させて、そう繰り返し主張してきたんです。

 だけど泉にだって、虐待にいたった事情があるはずだし、当然、再び幸せを求めて歩き出す権利だってあるはず。そういう本来論みたいなところを最後の最後に持ってきて、なんかドカン! とやりそうな感じです。いよいよ次回は最終回。ここまですごく楽しんで見てきたし、ラストもホントに楽しみです。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

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