ゴローちゃんの過去の恋が次々と暴露……謎の女・ジョセフィーヌが気になる『孤独のグルメ Season6』第9話

ゴローちゃんの過去の恋が次々と暴露……謎の女・ジョセフィーヌが気になる『孤独のグルメ Season6』第9話

テレビ東京系『孤独のグルメ Season6』番組サイトより

 ゴローちゃんこと井之頭五郎(松重豊)は行く、東京に住んでても、まず訪れる機会のない街へと……。東京と一口にいっても、狭いようで広いもの。10年20年と暮らしても、一度も訪れたことのない街というのは多いのです。この『Season6』だけでも、東大和市とか世田谷区太子堂とか、マイナーな場所柄ゆえのワクワク感でお腹を空かせた人も多いのではないでしょうか。

 さて、今回ゴローちゃんが訪れるのは、品川区は旗の台。個人的な話ですが、筆者は20代の数年間住んでいたことがあります。この街は東京の中でも特殊なカオス。何しろ、下町なのか山の手なのか。ザーマスと大衆とが渾然一体となった不思議な土地なのであります。

 実は先日、用があって久しぶりに駅に降りたのですが、カオスは健在。とりわけ、住民が利用する旗の台駅はカオスを象徴するものです。この駅は東急池上線と大井町線の交差するポイント。大井町線に急行が設定されたのを契機に駅は改築されたのですが、全面改築かと思えば池上線側はほぼそのまま、結果、昭和レトロと21世紀とか混在する奇妙な駅となったのです。

 ちなみに、番組を観て、お店を訪れるならば、ただメシを食って帰るだけじゃあもったいない。ここ、中原街道から第二京浜まで、途中は少々途切れながらも、ほぼ一直線に商店街が続くワンダーランド。近くには、これまた昭和レトロな中延商店街も。腹ごなしに、戸越公園でも見物しつつ大井町まで、トボトボ歩くのがオススメです。

 と、余談はこれくらいにして、ゴローちゃんは、やってきました旗の台駅。ちょっと時間があるということで、ひとまずは喫茶店「アティック」でメールをチェック。

「あ、ジョセフィーヌからメールが来てる」

 おお、今回は謎に包まれたゴローちゃんのプライベートがほのめかされる展開なのか?

 英語のメールを日本語のナレーションで読み上げるゴローちゃん。今日は、ジョセフィーヌからの依頼で、銭湯のリノベーションのチェックという仕事の様子。

 その仕事を前に、まずゴローちゃんが注文したのはクリームソーダ。ワイルドなはずのゴローちゃんがクリームソーダ。これ、原作の谷口ジロー先生の傑作『事件屋稼業』において、深町が深夜のファミレスで「うんと、甘いの」とパフェを注文するシーンのごとき、ハードボイルドなダンディズム。そう、背中で語る男には、一見似合わない注文こそがカッコイイのです。

「これこれ、このわざとらしいメロン味」

 原作から拾った言葉を挿入しつつ「昭和の甘さ」「正しいクリソダ」。最初、なんといってるのかわからなかったのですが、クリームソーダをゴローちゃんはクリソダと省略。これは、いったいどこの方言なのでしょう。

 さ、驚くのは次の瞬間。「そしてそして」と、ゴローちゃんは、まだ一口しか食べていないアイスクリームを完全に混ぜ込んでしまいます。な、なんと贅沢な。貴重なアイスクリームは自然に溶けるまで、はじっこのちょっと凍ったところから、少しずつ食べるんじゃないのか? いや、これこそ、いつでもクリームソーダを注文できるくらいの懐の余裕ができた大人のワザなのか?

 ま、オープニングを前にここまで文字数を使ってしまったあたり、すでに神回の予感です。

 さて、オープニングを終えて、やってきたのは廃業した銭湯……って、ここ荏の花温泉じゃないか。この建物はまだあったのか!! と、元住民の筆者は驚きました。ロケで借りたのか、それとも何か別用途に使用しているのか、気になります。

 こちらで待っていたのはオーナーの神尾佑。

 リノベーションの参考資料ということで、さまざまな写真を撮影するゴローちゃん。ここの会話で明らかになるのは、ジョセフィーヌがフィンランド人であるということ。どうも彼女は日本の廃業した銭湯を用いて雑貨カフェを開く目論見なのだとか。いろいろと謎です。

 神尾演じるオーナーも、銭湯の一部を「ここは、いずれ釣り堀にでもしようと思っているんです」とか、やっぱり謎。で、謎すぎて調べてみたら、実際に工務店が所有して、現在は休業しているものの、元銭湯の釣り堀という形で営業していたんだとか。す、すごい……このタイアップがスゴイ!

 と、導入部も終わり……かと思いきや、ゴローちゃんの手にしていたデジカメには、懐かしいパリの写真が。「紗雪……元気かな……」と、ふと忘れていた恋を想い出すゴローちゃん。パリの思い出のはずなのに、かつての恋のドラマの回想は、どうみても日本という……なんなの? なんにしても、ここまでですでに脚本がいつもの10倍くらい濃いですよ。これは、料理だけではなくドラマの部分に重点を置こうという、新たな手法に違いありません。

 こうして、腹が減ったら、いつものゴローちゃん。

「今、俺が欲しているのは胃袋がドギマギするような料理だ」

 そして、目の前に現れる店。

「スペイン食堂、石井」

「今、ずっきーんと来たぞ……真っ赤な看板が腹を空かせた俺という牛をガンガンと煽り立ててくれる。旗の台にスペインの旗。俺は闘牛だ……よぅし、突っ込んでいこうじゃないか」

 今シーズン屈指の名言を吐きつつ入店すると、店員はいまや太ったおばさんキャラを確立した佐藤仁美。風景に馴染みすぎなのが、大女優の風格です。

 さあ、メニューを開こうとすれば何かを炒めるバチバチという音。なんだ、この演出の挿入は。

「ええ、なになに? スペイン流の派手なお出迎えか……牛なんだからこんな音にびくつくな、こっちに集中するんだ」

 パエリアが一人前から注文できることがわかって、本丸を固めるゴローちゃん。あれこれと呪文みたいなメニューをかまずに読み上げ、どんどん興味を惹かれていきます。ここに新たに見つけるのは「ハーフサイズもできます」という貼り紙。一気に、いろいろと楽しめる枠が広がってゴローちゃんは大喜び。

「せっかくだから、いろいろと食べたい」

 イカ墨のパエリアを本丸に、ゴローちゃんがハーフサイズで注文するのは……サルスエラ・マッシュルームの鉄板焼き・サルシッチョンのレヴェルト・タラのアリオリオオーブン焼き・スペイン産ガス入りウォーター……素人目に見てもやり過ぎですが、佐藤仁美も止める気がありません。

 ここで、近くのテーブルで子どもが「バチバチきたー」と運ばれてきたのは、エビの鉄板焼き。なんでも、塩が弾ける音なんだそう。

「え、そうなの。俺は塩にびくついてたのか……」

 ちょっと弱気になるゴローちゃんの前に運ばれてきたのは、マッシュルームの鉄板焼き。なんと、お通しのパンも一緒です。いや、パンはヤバいって。この手の料理屋のパンって、信じられない勢いで腹をいっぱいにしちゃうのですから。でも、ゴローちゃんなら、美味しく食べきってくれるはず。それを固唾を呑んで見守りましょう。

 生ハムなどが入ったマッシュルームを、苦労しながら一口で食らうゴローちゃん。

「マッシュルームの概念を超えている。俺、マッシュルームの美味しさって、今ままで知らなかったのかもしれない……」

 続いてやってきたのは、サルシッチョンのレヴェルト。なんのこっちゃわかりませんが、イベリコ豚のサラミとキノコのとろとろ卵炒めということで理解すればよいようです。

「あっこれはおいしい。塩加減が絶妙」

「トロトロ卵にサラミとエリンギの食感そこに黒胡椒。このレヴェルト……レベル高いんじゃないの?」

「マドリッドあたりの朝食こんな感じかな?」

「このレヴェルトレベル高いんじゃないの?」なんて、セリフが吐けるのもゴローちゃんのダンディズム。ちゃんと、パンに乗せて食べるあたりがゴローちゃんのテクニックです。

 ここで、さらにニンジンサラダも追加注文しちゃうゴローちゃん。だって、隣のテーブルに運ばれてきたそれは、ニンジンを千切りにしたもの。いや、その赤さが美味さを徹底的に主張しているワケですから。思わず注文しちゃいますよね。

 そこにさらに、追加はこちらタラのアリオリソース焼き。

「トマトの舞台でタラがフラメンコを踊っている。情熱的な光景だな。そそるぞ……そそるぞ……」

「うわぁこのトマト旨み吸いまくり大会」

「タラとの組み合わせが、まさにスパニッシュギターとダンサー」

「超絶うまし。アリオリソースのオーブン焼き。旗の台にアリオリハベリイマソカリ」

 そんなに満足しているくせに、さらに子ども連れのテーブルに運ばれてくる魚介のパエリアを見て「おお〜あれぞ、ザ・パエリア」と、ゴローちゃんの食欲は止まる気配がありません。

 そこへやってきました。ニンジンのサラダとサルスエラ。サルスエラとは、いわばエビや貝がたっぷり入ったブイヤベースのスープ。

「ブイヤベースって名前からしておいしそうだが見た目もそれを裏切らない」

「お〜味も見た目を裏切ってないぞ。ヒヒヒヒといううまさだ」

「地中海のエキスが凝縮されている。日本の海とはまた違う栄養滋養を感じる」

「ここでタラかぶり。でもまったく問題なし」

 貝などは手で摘まんで食べるゴローちゃん。安心して下さい。だいたいのスペイン人とかも、こういうのは手を使って食べますから、マナー違反じゃありません。まだまだ残っていたパンをスープに付けて「ねっ、おいしいよねこれ。このおいしさ世界共通だよね」。ニンジンサラダもほおばって「あ〜これはみんな頼むはずだ〜横にあるとうれしい味」。

 ここで唐突に挿入される演出が、子ども連れのテーブルでの「ハッピーバースデートゥーユー」の歌声とケーキカット。子どもの時から、こんな美味しそうな店で慣らされているなんて、うらやまし!!

 でも、注目すべきは、そんな様子を見もしないで、手づかみで「う〜んエビうまし」とやってるゴローちゃんです。

 ここまで堪能した末に、ついに到達するのは本丸・イカ墨のパエリアです。

「一人前いい、サイズ最高!」

 もう、相当、腹いっぱいだと思うのですけど、まったく、そんなそぶりは見せないゴローちゃん。ハイテンションな音楽と共に、食いっぷりには拍車がかかります。もう説明など、要りません!!!!

「さぁ黒いお米をいただこう」

「うまい! イカスミのコクたまらない」

「赤パプリカにイカ、あっ、タコもか。イカスミの真っ暗な海底にさまざまなうまものが潜んでいる」

「こいつはサルスエラとはまた別の滋味を形成している」

 最後、鉄板に張り付いた、おこげまでこそげとって平らげたゴローちゃん。完全に満足して店を出たとき、ファンを驚かせる一言が……。

「いい食堂だったな。ジョセフィーヌが日本に来たとき一緒に来ようかな」

 え、やっぱり、ジョセフィーヌとはそういう関係なの?

 ゴローちゃんの知られざる女性関係が、次々と明らかにされそうになった今回。最終話までに、ゴローちゃんが恋人と再会する日は来るのか……?

 でも、ジョセフィーヌってフィンランド人の名前じゃないよね。謎は深まるばかりです。
(文=昼間たかし)

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