香川照之の大号泣にどっちらけ! 続編制作なら『半沢直樹』を!ドラマ『小さな巨人』最終回レビュー

香川照之の大号泣にどっちらけ! 続編制作なら『半沢直樹』を!ドラマ『小さな巨人』最終回レビュー

TBS系『小さな巨人』番組サイトより

 長谷川博己・主演ドラマ『小さな巨人』(TBS系)がついに最終回を迎えました。その視聴率はなんと16.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、これまで最高だった第5話の13.9%を大きく上回り、有終の美を飾りました。

 次期・捜査一課長と期待されたものの、警察組織の見えざる力によって所轄に左遷させられてしまった香坂真一郎(長谷川博己)の奮闘するさまを描いてきた同ドラマ。ラストは、17年前から連綿と続く学校法人早明学園と政治家、警察組織の癒着関係、およびその裏に隠された殺人事件を暴くことがテーマになっています。

 前回、早明学園の裏帳簿、つまり学園と癒着関係にある者たちの名前が記された帳簿に、かつて捜査一課で働いていた父・敦史(木場勝己)の名前を見つけたことにショックを受け、腰を抜かして驚いた香坂。長谷川博己のあまりに下手糞な演技に視聴者が度肝を抜かれたのですが、その話は脇に置いて話を進めたいと思います。

 父親の辞表内容やこれまでの捜査結果から香坂は、以下のような真相を知ることになります。17年前、早明学園と現・内閣官房副長官の山田勲(高橋英樹)との癒着関係に気付いた山田の専属運転手・松山が、早明学園の裏帳簿を警察に渡すと金崎に訴えます。それを恐れた金崎が松山を崖から突き落として殺害。しかし、崖から落ちる直前に松山は裏帳簿の1ページ目を破りとり、その切れ端に金崎の血液が付着してしまったのです。

 金崎が殺人罪で捕まれば、山田をはじめとした政治家や警察組織の闇も暴かれてしまう。それを阻止するために、松山の死は自殺ということで処理されました。この隠蔽の秘密を共有したことで、学園と警察組織とのつながりはより強固になったというわけです。

 警察組織の汚いやり方に香坂は怒りを覚えるのと同時に、疑問を抱きます。金崎の血液が付着した裏帳簿の切れ端を、捜査一課長の小野田義信(香川照之)はなぜ今も金庫の中に大事に保管しているのかということを。そこに何かを感じ取った香坂は、正義感を盾に小野田に食らいつきます。17年前の真相を暴くため、その証拠となる裏帳簿の切れ端を渡してほしいと頼みます。それに対して小野田は「青臭い正義」と罵倒し、感情的になった結果、「殺人の証拠を捨てろと言われた」と、つい口を滑らせ隠蔽工作を認める発言をしてしまいます。そこで香坂は隠し持っていたICレコーダーを取りだし、それをダシにして捜査に協力するように脅します。

 観念した小野田は、警察組織をスキャンダルから守るために殺人事件を隠蔽せざるを得なかった捜査一課長としての立場と、それを許すまじと考える正義感との間で揺れ、苦しみ続けてきたことを涙ながらに吐露します。

 小野田の協力を得た香坂は金崎を任意同行するのですが、金崎は自供せず。山田も議員職を休んで雲隠れと、結局、17年前の真相はウヤムヤに。そして、所轄署長への人事異動を自ら願い出た小野田の代わりに、香坂山田が捜査一課に戻ったところでドラマは終了となりました。が、これで納得した視聴者ってどれぐらいいるのでしょうか?

 悪人だと思っていた人物が、実はそうではなかった。ありがちなオチではありますが、脚本や演出が巧妙であれば大団円が期待できます。つまり、その人物が悪人にならざるを得なかった理由や、悪人に思えたのはこちらの勘違いだったのだと思わせるような巧みなストーリー構成や人物描写ができていれば、大きな効果を発揮したと思うのです。

 しかし、それを小野田に当てはめるのは無理があると感じました。これまで香坂の捜査を妨害し続けてきただけに、最後の最後に“悩める捜査一課長”に変身しただけでなく、ドン引きするほどに大号泣をされても感情移入できません。しかも、17年前の事件は何も解決されないまま、香坂が捜査一課に戻り、再び出世コースに乗って終わりというのは、あまりに早急で強引な幕引きだと思いました。

 ラストだけでなく、『豊洲署編』に突入してから、なんだかストーリーがごちゃごちゃになってしまった印象なんですよね。森友、加計学園問題が世間を賑わせていたため、強引にストーリーに絡ませようとしたのではないかと疑ってしまいます。ストーリーの整合性よりも話題性重視で、時事ネタを盛り込む方向へと強引に舵を切った結果、伏線投げっぱなしの駆け足ゴールになってしまったのではないでしょうか。

 ただ、幸か不幸か最終回の視聴率が良かったため、これに味を占めて続編が制作されるのではないかという気がしないではないのですが、どうなんでしょう。放送枠が同じで共通のスタッフやキャストが多いことから“警察版・半沢直樹”と呼ばれていた今回のドラマ。その“本家”最終回の視聴率42.2%には遠く及ばなかっただけに、もし続編が制作されるならば『半沢直樹』の方をお願いしたいです。
(文=大羽鴨乃)

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