番組と局の垣根を飛び越えた、『YOUは何しに』ドイツ人カップルの『探偵!ナイトスクープ』愛

番組と局の垣根を飛び越えた、『YOUは何しに』ドイツ人カップルの『探偵!ナイトスクープ』愛

TVer『探偵!ナイトスクープ』より

「『探偵!ナイトスクープ』を見るために日本に来ました」

 ドイツ人の大学生カップルは「YOUは何しに日本へ?」と尋ねられ、そう答えた。

『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)を見続けていると、そういう「そんなことで、はるばる日本まで来るの?」という事例は少なくない。佐世保バーガーを食べるために来たとか、お祭りに参加するために来たとか、ゲームセンターで対戦プレイをするために来たとか、一体どこでそんな情報を? と思うようなことばかりだ。

 時はインターネット時代。少なくとも“情報”という部分においては、遠く離れた場所にいようとも、それを入手するのはさほど大変なことではない。この『ナイトスクープ』好きYOUたちも、ネットの動画で番組を“発見”し、好きになったという。

『ナイトスクープ』は、言うまでもなく朝日放送が制作する人気番組。関西ローカルながら、全国に熱烈なファンがいる長寿番組だ。

 最初は彼女が見つけ、それを彼氏に紹介。すると、2人のデートは「『ナイトスクープ』を見ること」になった。

 2人は日本語を勉強し、いよいよ日本にその収録を見るためにやってきたのだ。

『YOUは〜』のスタッフは、当然のように密着取材を申し込んだ。

 番組観覧のために日本まで来るというのもクレイジーだが、他局の番組収録を見に行く相手に密着するのもクレイジー。だが、この番組、過去にはTBSの『SASUKE』に挑戦するYOUたちについて行ったこともあるだけに、局の垣根といったハードルを越えることへの躊躇はない。

 早速、彼らは大阪に向かい、『ナイトスクープ』を制作している朝日放送へ。だが、聞けば、アポなどを取っていないという。

「行って直接お願いしようと思っている」と。

 だが、この日はそもそも、収録日ではなかった。加えて、人気番組の観覧希望者は多数いる。特別扱いはできないと断られてしまうのだ。たとえ、テレビカメラが来ていてもそれは同じ。至極真っ当だ。

 落ち込んでいるように見えた2人だが、めげずに正規ルートで応募し、当選を待つことに。朝日放送に向かって「ABC、お願いしますー!」と祈る姿は、なんとも愛おしかった。

 その後、2人は奈良公園へ。実はここ、番組屈指の傑作と名高い「20年間会話のない夫婦」の仲直り現場となった場所だ。彼が初めて番組を見た回だという。2人は夫婦が座ったベンチを探し出し、夫婦になりきる「聖地巡礼」を果たす。その姿から、心底番組が好きなんだということが伝わってくる。

 これが『YOUは〜』で放送されたのは5月22日。その日以降、全国各地から同じ内容の依頼が『ナイトスクープ』の元に大量に届いたという。もちろん、このYOUたちを番組観覧させてやってくれという内容だ。

 視聴者からの依頼とあらば「特別扱い」ではない。ちょうど1カ月後の6月23日の放送で、番組は彼らに会いにいくことにしたのだ(※この放送は「TVer」で6月30日まで配信中)。

 邪推するならば、『YOUが〜』のスタッフも、この展開を望んでいたのではないか。番組をよく見ていればわかるが、この番組は収録から放送までの期間が長いことが多い。ヒドい時には、1年前に密着したものを放送することさえある。しかし、この『ナイトスクープ』好きYOUの場合、4月に密着したものを5月に放送している。かなり早いほうだ。彼らは2カ月日本に滞在すると言っていた。もし放送後、『ナイトスクープ』側からリアクションがあっても十分間に合う計算だ。

 そんな思惑があったのか、なかったのか、『ナイトスクープ』から派遣されたハライチの澤部佑探偵は、テレビ東京に出向き、担当ディレクターに話を聞く。もちろん『YOUは〜』側も全面協力だ。そして、ついにYOUたちは、澤部探偵と対面したのだ。さらにロケ準備中のカンニング竹山探偵や、「アイドルみたいな存在」という番組常連のパティシエ・林裕人先生などに会いに行く。

 2人は目をキラッキラに輝かせ、「人生で一番素晴らしい日」と満面の笑顔。そして、そんな愛情を受けた探偵や出演者たちもうれしそうだ。

 そこにあふれていたのは、“テレビを見る”という喜び、そして、テレビの力だ。テレビが夢のおもちゃ箱だった時代を呼び起こすようなダイナミズムを感じさせてくれたし、今だって十分、テレビは夢のおもちゃ箱だと思わせてくれた。

 局の垣根だとか、地方局とキー局だとか、タブーだとか、そんな大人の事情なんて関係がない。そんな軽やかさと自由さが、2つの番組にはあるし、それを飛び越えるに足るYOUたちの愛の力があった。

 後日、ついにYOUたちの夢がかない、『ナイトスクープ』収録の観覧へ。

「あなたたちは面白い!」

 そんなふうに興奮して言う2人に、感極まって秘書の松尾依里佳も局長の西田敏行も涙を流した。

 局長が泣く姿を見てどう思うかと聞かれたYOUたちは、見慣れた光景に笑って言った。

「泣くのはわかってた」
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)

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