清水ミチコが「顔マネ」で顔認証技術とガチ対決!?  “攻めるNHKバラエティ”がまたまた斬新企画! 

清水ミチコが「顔マネ」で顔認証技術とガチ対決!?  “攻めるNHKバラエティ”がまたまた斬新企画! 

『清水ミチコ物語』(ソニー・ミュージックダイレクト)

 昨今、バラエティ制作において民放以上に挑戦的な姿勢が目立つNHK。『バリバラ〜障害者情報バラエティー〜』や『ねほりんぱほりん』『着信御礼!ケータイ大喜利』あたりは、実験的な精神を放出しながら、世間から注目を集めることに成功した番組たちである。

 同局のこの方向性について「若年層に顕著な受信料の徴収率低下に歯止めをかけるのが狙い」と主張する人もいるが、何にせよ、そのチャレンジ精神が面白さにつながるのなら、文句のつけようはないだろう。

 そして、7月18日に放送された『(>O<)顔面白TV』。こちらも“冒険精神”と“知性”の掛け合わせが成就した、NHKらしいバラエティと相成っている。

 博多華丸・大吉や清水ミチコ、副島淳らが、顔加工アプリ「SNOW」でお互いの顔を交換する場面からスタートしたこの番組。ここから、人間の「顔」の不思議さや面白さを追求する展開へとつながっていくのだ。

 例えば、番組はある1枚の写真を紹介。男女のツーショット収めたものだが、背景の木々に“人の顔”としか思えない部分があるから恐ろしい。思わず「心霊写真か!?」と身の毛がよだってしまうものの、実はそうではない。人間の脳には“顔を見る”専門の領域があるとのこと。あらかじめ我々には「顔を見つけたがる」生理がプログラミングされており、それが作用したからこそ、なんてことのない背景も「顔」に見えてしまうのだ。


■NECの技術の前に敗北し、苦笑いが止まらない清水ミチコ

 続いて、なぜか番組は、あのNECへと出張する。顔認証技術に定評のある同社へ、清水が訪れたのだ。

 目的は明快。清水といえば、“顔マネ”の第一人者だ。メイクや小道具を駆使して大竹しのぶや草間彌生の顔を模写して見せる彼女。その芸の見事さは、あらためて言うまでもないだろう。

 NECと清水、両者を対峙させて番組はムチャをした。まず、NECの顔認証システムに、清水が藤田ニコルを“顔マネ”した写真を認識させる。そして、素の状態の清水と顔マネ写真が同一人物だと見破ることができるかどうかを試したのだ。

「世界一の顔認証 VS日本が誇る顔マネ女王」と銘打たれたこの対決は、0.03秒で写真と清水が同一人物だと見破ったNECの勝利に終わっている。「面目丸つぶれなんですけど……(笑)」と苦笑いが止まらない清水であったが、これは致し方ないだろう。デジタルが完膚なきまでにアナログを打ち負かした様相だ。

 それにしても、なんとバカバカしくて面白い企画なのか。しかし、正直言って既視感がある。この面白さは、いつかどこかで見た気がする。

 そうだ。これは、数々の“やらせ”が発覚して2011年に打ち切りとなった『ほこ×たて』(フジテレビ系)とベクトルが同じだ! “勝敗”ではなく“組み合わせ”の時点に面白のピークが来ている点は、明らかに異なるのだが。


■NHKの“フルスイング”で、20年以上前の企画もブラッシュアップ!

 後半では、また違った角度から「顔」にフォーカス。

 顔の研究者の中には、“平均顔”という概念があるのだそう。法律家や司書、ソムリエなど、それぞれの職業には「○○らしい顔」があり、その職に就くことで、無意識にその顔へ近づいていくらしい。

 例えば、ある顔学の研究者は13人分の銀行員の顔を集めて、それらを足し、13で割って銀行員の“平均顔”を作成している。この顔を見ると、いかにも銀行員っぽいのだ。一方、プロレスラー11人の顔を集めて“平均顔”を作成すると、やはりいかにもプロレスラーっぽい雰囲気になる。不思議だし、面白い!

 実は、この面白がり方にも既視感がある。約20年前の人気深夜番組『EXテレビ』(日本テレビ系)の、上岡龍太郎と島田紳助が司会を務めた火曜版に「顔顔DonDon」という企画があったことを思い出す。次々と人間の顔写真が登場し、この人たちがなんの職業に就いているかを当てるだけのクイズである。

 何も、ここにきて「パクったな!?」と糾弾するつもりはサラサラない。というか、パクったのではなく、たまたま似た内容になっただけな気がする。

 今回の『(>O<)顔面白TV』は、NHKらしい充実の番組だった。NECと清水ミチコを対決させるというフルスイングは、見ていて気持ちがいい。同局の“冒険心”が遺憾なく発揮されていて好感が持てる。

 すでに存在している企画も、情熱を注げば新しい質感となり得る。その好例として、この番組を評価したい。
(文=火の車)

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