『人は見た目』『逃げ恥』ミステリアスな役で物語をかき乱す、俳優・成田凌の存在感

『人は見た目』『逃げ恥』ミステリアスな役で物語をかき乱す、俳優・成田凌の存在感

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星野楽人 #ニワトリスター

成田凌さん(@_naritaryo_)がシェアした投稿 – 2017 5月 10 6:16午前 PDT

 成田凌が出てくるとドラマがざわつく。例えば、この間まで放送されていた『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)。“女子モドキ”を自称する、城之内純(桐谷美玲)たち冴えない理系女子研究員たちが、メイクやファッションといったオシャレの研究をして女子力を高めようと日々奮闘するドラマで、成田が演じたのは城之内があこがれるイケメン美容師の榊圭一。

 榊は自分に自信のない城之内にとって王子様的存在で、やがて榊に告白され2人は付き合うことになる。しかし、榊に別の彼女がいることが判明。そこまではよくある展開だが、恋人がいることをあっさり認めた榊は「2人とも彼女ですよ」と、二股を前提として付き合いたいと言うのだ。

 これが最終話の手前で起きたのだから、多くの視聴者が「え〜!」と、SNSで反応した。正直言うとドラマ自体に関しては、企画先行のバラエティ的作品で、ブルゾンちえみをうまく使いこなせていないことも含めて不満が多かったが、この展開によって、妙な爪痕を残す作品となった。

 二股とわかっていながら榊としばらく付き合う城之内だが、榊がパーティに行く城之内のメイクや洋服を選び「理想の美女」に仕上げることで、彼女から主体性を奪っていく姿は、今まで本性を隠していたラスボスの攻撃が始まったという感じで、とても面白かった。最終的に城之内は榊と別れて自立するが、榊が立ちはだかることで「オシャレは自分のためにするのだ」という本作のテーマが、より際立ったと思う。

 成田は榊を演じるにあたって、最初から最後までふわっとした同じトーンを保っている。そのことのよって、善人とも悪人とも言い切ることが難しい、何を考えているのかわからない不気味さを倍増させていた。後から考えると、こういう役に起用されるのは、実に成田凌らしいと言える。

 例えば、出世作となった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、2016年)で演じた、会社員の梅原ナツキも面白い役柄だった。石田ゆり子が演じる女上司の土屋百合のことを好きなのではないか、と物語上で匂わされたまま、最終話で意外な真実が明らかになり、多くの視聴者を驚かせた。

 『大貧乏』(フジテレビ系、17年)でも企業犯罪に立ち向かうシングルマザーと弁護士とチームを組む、敵か味方かわからない謎の男・加瀬春木を演じていたが、変幻自在でつかみどころがないミステリアスなイケメンを演じさせたら、今一番面白いのが成田だろう。彼がドラマに登場すると、何かとんでもないことが起きるのではないかと思って目が離せなくなる。

 成田凌は現在23歳。美容学校在学中に就職活動をしていた際、ファッション雑誌「MEN’S NON-NO」(集英社)のモデルオーディションを受けて見事、合格。以降はファッションモデルとして活躍する一方、俳優志望であることから、2014年にフジテレビNEXTで制作されたオリジナルドラマ『FLASHBACK』で高梨臨とのダブル主演を果たし、これが俳優デビュー作となる。

 以降は『学校のカイダン』(日本テレビ系、15年)や映画『キセキ―あの日のソビト―』などに出演し、俳優としてのキャリアを積んでいく。特に、安達奈緒子脚本のドラマに立て続けに出演していて、失踪した女子高生の恋人を演じたドキュメンタリータッチの学園ドラマ『She』(フジテレビ系、15年)、長谷川京子が演じる専業主婦と恋愛する年下男性を演じた不倫ドラマ『ふれなばおちん』(BSプレミアム、16年)、そして『大貧乏』だ。

 三浦春馬が高校教師を演じた『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系、11年)や小栗旬がITベンチャー企業の若手社長を演じた『リッチマン、プアウーマン』(同、12年)など、イケメン俳優の見せ方に定評のある安達作品と成田の相性はよく、それぞれ印象深い役を演じている。

 そして、7月期にも安達が脚本を手がける月9ドラマ『コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐ 3rd season』(同)が決まっている。救急救命センターを舞台にした医療ドラマの第三弾となる人気作で、成田が演じるのは新レギュラーとなるフライトドクターの候補生・灰谷俊平。

 真面目で優しいが医師としてのスキルに劣等感を持っている青年とのことで、山下智久、戸田恵梨香、新垣結衣、といった豪華俳優陣が名を連ねる中、どこまで存在感を見せることができるのか楽しみだ。おそらく成田が大きく飛躍する勝負作となるのだろう。

 『大貧乏』以降、フジテレビのドラマに連続して登板していることから、おそらくフジは自社の看板となるような若手イケメン俳優として、成田を育てたい思惑があるだろう。過去の成功体験に縛られて低迷続きのフジテレビに今一番必要なのは作家性の強い脚本家が物語を紡ぎ、若手俳優が面白い役を演じるフレッシュなドラマである。安達奈緒子のドラマに出演する成田が、その期待に応えることができるか、じっくり見守りたい。
(成馬零一)

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