日本映画産業の“縮図”「東京国際映画祭」を盛り上げるには

日本映画産業の“縮図”「東京国際映画祭」を盛り上げるには

(左から)湯浅政明監督、阪本順治監督、松岡茉優、岸井ゆきの、今泉力哉監督(C)日刊ゲンダイ

コラム【大高宏雄の「日本映画界」最前線】

 第31回東京国際映画祭のラインアップ発表記者会見が今週あった。国内最大の映画祭なので毎年注目している。今年は10月25日から開催される。終了した時点で総括を書くときもあるが、ひとつだけ、前もって注文を出したい誘惑にかられた。

 目玉は何といってもコンペティションだ。世界中から作品を集め、最優秀賞などを決める。問題は、そのグランプリ作品が例年あまり話題にならないことだ。どんな作品なのか。そもそも受賞後、いつ公開されたのか、分からないことだらけ。ここのグレードを何としても上げたい。

 グランプリ作品は、受賞からそれほど経たない段階で、相応の宣伝費、経費を投入して日本で公開すべき策を練ってほしい。そこにかかる資金の一部は、ごちゃごちゃと多い他の企画ものを減らして少し余裕をもたせた運営費から出す。国の助成金をあおぐことも検討していい。公開の規模は海外に広げてもいい。

 そこを大々的にうたうのだ。公開面まで、徹底して受賞作を大切にする。それが国内ばかりでなく、海外の映画人たちの間で話題になれば、おのずとクオリティーの高い作品だって集まると思う。コンペのグレードが上がり、映画祭自体の注目度も増すはずだ。

 筆者は、東京国際映画祭が世界市場になかなか出て行かれない日本の映画産業の縮図と考えている。映画界が国内の映画市場で結果的に充足してしまっているので、世界と渡り合おうという危機感が希薄だといつも感じる。だから、世界視野を目指す突破口として、映画祭の改革をお願いしたいのである。批判ばかりでは、何事も先へ進めない。

(大高宏雄/映画ジャーナリスト)

関連記事(外部サイト)